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06 学校一人気のあるボスに目をつけられた件②

「でも小暮くんが理解してくれる人で良かったわ」


 朝比奈さんの口頭が少し緩んだ気がする。警戒を少しは解いてくれたということだろうか。


「せっかく来たのだし注文しましょうか、マスター」


 朝比奈さんが手を挙げるとさっとこの店のマスターが近づいてきた。


「日替わりコーヒーをお願いします。小暮くんはどうする?」 

「じゃあ同じので」


 メニューは机の上に置かれていたがまったく目を通してなかった。

 初めてだし、慣れてる朝比奈さんと同じのでいいだろう。

 マスターが席を離れたのを確認し、しばし僕と朝比奈さんの間で会話が止まる。本題に入るべきだ。


「それで僕に話とは何でしょうか。大月さんのことですよね?」 

「そうね」


 口頭が緩んでいたはずの朝比奈さんの目が鋭くなる。


「小暮くん、雫のことをどう思ってる?」 

「へ?」


「最近仲がいいみたいね。朝に声をかけてくるようになったって聞いたわ」

「もしかして僕って大月さんに迷惑をかけてたりします?」


「雫が迷惑してたら問答無用で地獄行きよ」

「こわっ!」


「もう一度聞くわ。私の大事な雫に何の意図があって近づいているの?」

「な、何か……怒ってません?」


「怒ってないわよ。ただ雫は私の幼馴染で大親友。どこぞの男に盗られるなんて絶対あっちゃだめなの。分かるわよね」


 うん、分からない。けどそれは口に出せない。


「あなたは人畜無害の顔をしているけどあの平沢獅子と同じグループだしね」

「あの……って獅子はそんなに信用ないんですか?」


「私は軽薄で上から目線の男は嫌いなの。平沢獅子はその筆頭でしょ? 私はあの男の取り巻きに付きまとわれて迷惑してるのよ」


 鈴木や佐藤、田中のことだろう。あの三人は朝比奈さんに好意を持っていてぐいぐい行ってるらしい。ゆえにグループのトップの獅子に偏見を持っているんだ。


「連絡先を教えろだの、遊びに行こうなどほんとしつこい。言っておくけど私は高校の間は同級生と接点を持つ気はないし連絡先も教えないわ」


 確か朝比奈さんは連絡先を誰にも開示していないって聞いている。

 クラスのグループラインにもいないし、多分一部の女子だけしか連絡先を知らない。

 それでもカーストトップでいられるのは彼女の才覚と美貌ゆえか。

 こういう子は社会人か大学生あたりと付き合ってるのが相場だ。


「じゃあ……本当に学校の男子の連絡先を一人も知らないんですね」

「ええ、私には必要ないから」


 この強固な意志。ここまでいくとちょっと格好いいな。

 だけど僕は少しだけ腹が立っている。このカフェに身を隠すことになった朝比奈さんの気持ちも分かる。だけど……。


「獅子はそんな悪い奴じゃないですよ。正直、友達を悪く言われるのは嬉しくないですね。そこは分かってほしいです」


 ありのままの気持ちだ。理解されなくても構わない。


「そっか。平沢くんはあなたにとって大事な友達だものね。よく知らないのに悪口を言ってしまったわ。ごめんなさい」


 素直な発言だった。まさか謝られるとは思っていなかったので不愉快な気持ちが消え去ってしまった。正直僕も朝比奈さんは近寄りがたい女性と思ってたし、言わないだけでお互い様だったかもしれない。


「大事な友達を思うこと、それは大切よね。私も雫を侮辱されたらそいつを八つ裂きにしたくなるし、昔、雫をバカにした男子がいた時は徹底的に泣かしてやったのを思い出したもの。それと同じよね」


「そこまでは思ってませんけどね」


 この人どれだけ大月さんが好きなんだ……。


「話を戻すわ。あなたが雫に近づく理由。私はそれを知らないといけない」


 これはどう回答するか考える必要がある。

 獅子に悪感情を持っている朝比奈さんに正直に話すのは駄目だ。

 それは間違いない。だけどこれはチャンスと言える。

 大月さんに近づくことをボスが許してくれるなら今後の活動もやりやすくなる。

 二人まとめて獅子の良い所を伝えていけばきっと最後は分かり合えるはずだ。

 獅子は本当に良い奴なのだから。

 だから今できることは僕を信用してもらうしかない。


「恥ずかしいんですけど……その、実は大月さんをちょっと気になっていまして、仲良くなりたいなって思ったんです」 

「へぇ! どこっ、どこが気になる!?」


「朝比奈さん?」

「ごほん。ごめんなさい。ちょっと雫という最カワの推しを共有できた感覚に喜びを隠せなかったわ」


 何言ってんだこの人。



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