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53 あなたに甘えたい(※アリサ視点)

 それは数日前に遡る。


「ええっ! 家事代行を辞めるっ!?」


 夜、いつも通りご飯を作ってくれていた雫から突然の言葉に思わず声を荒くしてしまった。


「辞めはしないよ。さすがにあの金額は高校生にとっては魅力的だし」

「じゃ、じゃあどうして」

「だって獅子くんともっと一緒にいたいもん」


 ああああああ!

 私の可愛い雫が完全にメスの顔してる!

 最近はずっと平沢獅子の話しかしないし、あきらかに雫の優先順位が今までダントツ1位だった私が2位に成り下がってしまった。


「朝は結局、一緒に食べることになるし、昼も三人分のお弁当を作ることになるから。大きくは変わらないと思うよ」

「でも……お弁当だって今までは私好みの弁当だったのに最近は男の子が好みそうなものに変わってるのは気のせい?」

「……」


 雫は思い当たる所があるのか、目を反らしてしまった。

 うぅ、悲しい。


「ま、まぁ……獅子くんと付き合ったとしても私にとってアリサは大事な親友なのに変わりないから」

「うん……」

「そんな寂しそうな顔しないで! じゃあ家事代行の仕事を減らした分を小暮くんに補ってもらったらいいじゃない」

「え」


「アリサって小暮くんのこと好きでしょ?」


 はっきり問われて、私の頭に涼真の姿が浮かぶ。

 平沢くんと雫の告白シーンでのこと、彼と名前で呼び合うようになった時のこと。

 もう隠すつもりもないくらい私は涼真が好きになってしまっている。


 私は頷いた。顔が赤くなってるのを自覚しながら。


「認めてよろしい。これを機会に小暮くんにグイグイいけばいいと思うよ」

「グイグイって……どうしたらいいか分からない」

「その顔と胸があって何を困るの」


 自分が容姿に秀でているのは分かっている。

 でも恋なんて初めてだからどうすればいいかなんて分からない。

 涼真がそばにいるだけでドキドキするし、私の名前を呼ぶ声を聞くと頭がとろけそうになる。


「もうアリサから告白したら? お互い名前で呼び合ってるんだし、少なからず向こうも好意を抱いてると思うよ」


 それはちょっと考えたことがある。

 彼を呼び出して、この胸の想いを全部吐きたい。


「……でも成功するイメージがないの」

「……」


 涼真からありがとう、付き合おうなんて言葉が出てこないような気がする。

 多分戸惑って苦しそうな顔をしてちょっと考えさせて欲しいなんて言われそうだ。


「それでごめんなんて言われたら……やっぱり私、死を選ぶ」

「重い」


「だってぇ……初恋なんだもん」

「小暮くん、多分恋愛関係で中学時代に何かあったみたい。獅子くんにそれとなく聞いてみたんだけど教えてくれなかったんだよね」

「そうなの?」

「獅子くんがあいつを許せないって言ってたくらいだから気になったけど追求はできなかったよ」


 その話は初めて聞いた。幼馴染だけが知っている秘密というやつだろうか。

 うーん、でも涼真に直接聞くわけにはいかないし……。


「だったら家事代行を通じてさらに仲良くなって過去の恋愛を忘れさせよ。アリサを好きにさせて告白させるんだよ」

「おおっ!」


 雫は少し考えこんで、声を挙げる。


「思い切ってそれもお仕事にしようか」

「え?」


「アリサは思い切って小暮くんに甘えまくる。それを小暮くんは仕事として受け入れさせる」

「あ、甘えるってどうすればいいか」

「体を密着させればいいよ。わたしの貧相な体でも獅子くんがドキドキしてくれるんだからアリサの体なら一発でしょ」


 ちょっと照れるけどこのままだったら先に進めない。私から押しまくるしかない。


「アリサのドスケベの体なら絶対大丈夫!」

「ドスケベって言うのやめて」


 でも涼真って私の胸とか見てるの知ってるし……。興味持ってくれるなら、体型を強調させる服とかは持ってるからさっそく着てみよう。


「だったら思い切って体を触ってもらうとかどう……かな」

「結構ノリノリだね! そのまま既成事実を作っちゃえばいいよ。襲った責任を取らせたら勝ちだよ」


「お、襲われるのはちょっと怖いんだけど」

「大丈夫だよ。最初は痛いけど、慣れたらそうでもないし」

「なにその情報!? その話だけは聞きたくなかったぁぁぁあっ!」

「スキン渡しておくね。ちゃんと使わせるんだよ」


 ◇◇◇


 雫がすでに平沢くんと体を重ねてる事実にびっくりした。しかも誘ったのは雫かららしい。

 平沢獅子は今でもモテてるから早い内に手をつけておかないと奪われるかもしれないからだって。

 雫の打算的な面を垣間見れた気がする。


 私服に着替えた私は一階に降りていく。

 正直、恥ずかしいけど……、涼真の気を引けるなら頑張るしかない。


「涼真おまたせ」

「ああ……って! アリサ、その格好っ」

「え、私服だよ。雫と一緒の時はいつもこの格好だもん。涼真は雫の代わりをしてくれるでしょ」


 涼真が慌てふためいていて可愛い。

 私のこと意識してくれてる。ちょっと際どい格好で恥ずかしいけど……、どうせ彼と付き合ったら全部見せることになるんだし、やってやる!


「雫にしたみたいに一杯一杯甘えるんだから、覚悟してよね!」

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