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42 好き?①(※アリサ視点)

 日曜日の夜、小暮くんから平沢獅子が雫に告白するという連絡が来た。

 告白するにはちょっと早いような気もするけど悪いタイミングではないと思う。

 

 告白かぁ。今までたくさんの男子に告白されてきたけど、みんなあんな感じで恋をしていたのだろうか。

 最近は告白されても一切心が揺れず、好意を抱かれることに嫌悪を感じていたけど、少し変わっていったように思える。


「ねぇアリサ。アリサったら、聞いてる?」

「ああごめん雫。なんだっけ」


 日曜日は家事代行のバイトのため雫は家で私のお世話をしてくれている。今日の晩ご飯も美味しかった。


「最近アリサが冷たい気がする。喧嘩前まではわたしにべったりだったのに」

「え、雫のこと大好き! 雫に対して怒ってるとか全然ないよ!」


「そこは心配してないよ。単純にわたし以外に親しい人が出来た影響かな……って。まさか膝枕までしてもらうなんてね」

「うっ……」


 みんなで行った遊園地の午後。小暮くんの肩に寄り添った時、ドキドキを通り越して爆睡をやらかしたことを思い出す。

 彼が喜んでくれるんじゃないかとか関係なく、肌を出した格好で寄り添ったのに寝てしまったのは失敗だった。

 結局何かされたことはなく、上着で体を隠してくれてたみたいだし、目が覚めた後の彼の優しい笑顔に胸が響いてたまらなかった。

 でも少しのいたずらもされなかったことに自分がいかに女として意識されてないかを痛感する。あらゆる人からアリサに落とせない男は存在しないって言われてきたのに何で彼は全然意識してくれないんだろう。


「アリサはまだ自覚しないの?」

「じ、自覚って何。何度も言うけど私は小暮くんのことなんて好きでもなんでもないんだからね!」

「そんなテンプレツンデレはどうでもいいよ」


 雫にばっさりと切られてしまった。本当のことなのに信じてもらえない。


「ま、まぁ向こうから告白してくるなら考えてもいいけど。男子の中では一番仲がいいのは間違いないし」

「あっそう。でも別に嫌いじゃないならアリサから告白したらいいんじゃないの。小暮くんのこと友達としては好きでしょ」


 それは認めてもいいかもしれない。

 私の初めての男友達。ついつい声を聞きたくて毎日連絡しちゃうくらいだし、そこは認めるべきなんだろう。

 だけど……。


「しない。告白してフラれてたら死を選びかねない」

「アリサって恋愛とか友情系のメンタルが弱々だもんね。喧嘩した時あそこまで弱るなんて予想外だった」


「自分でも驚きだったわ。だから自分から告白するのは避けようと思ってる」

「アリサだったら待っていても十分だと思うけど小暮くん……鈍感っぽいよね。アリサと長時間側にいて何も手を出さないって……やっぱり平沢くんが好きなんじゃって思うくらい」

「私も最近そう思うようになってきた」


 あの二人仲が良すぎる。普段からも夜は一緒に過ごしているみたいだし、男同士でいったいナニしてるのって思う。だからこそ平沢くんには雫をゲットしてもらわないといけない。


「それでわたしの話なんだけど……その、やっぱり平沢くんってわたしに好意があるのかなって」

「恥ずかしがってる雫たんかわいい」


 雫は恋愛方面で困惑している顔はほとんど見せないのでとてもレアだ。こういう顔の雫はマジかわいい。


「よくよく考えるとやっぱりありえないよ。あんなに格好いい人が可愛くない、スタイルも悪いわたしを好きになるはずない」

「何言ってるの。雫は世界一可愛い」


「それはアリサ視点だからであって。アリサの方が美人でスタイルもいいし。わたしが出会った男の子、みんなアリサしか見てなかったじゃない。静流さんぐらいだよ、ほんと」

「でも平沢くんは私のこと心底どうでもいいって思ってるわよ。駅で集合した時も雫しか見てなかったし」


「注視されてびっくりした。肩出してえっちな格好して誘っているアリサを見向きもしないんだって」

「その言い方はちょっと止めて」


「ふふ、小暮くんにアプローチするためだもんね」

「だから違うからぁ!」


 そりゃ可愛いって言ってもらいたかったし、実際言ってもらって凄く嬉しかったのは間違いない。


「再来週の土曜日に部活の試合があるって言われて、是非見に来て欲しいって言われたの。それで、その後時間が欲しいって」

「十中八九告白ね」


 ま、私は小暮くんから聞いているんだけどね。


「あ、あの! アリサはさ、男の子からの告白を断る時はどうするの?」

「断るの!?」


「分からないの。確かに平沢くんは人気とか容姿とか抜いても素敵な人だと思うし、アリサと同じでお世話甲斐がある人だって分かった」

「お世話甲斐かぁ」


 私には理解できない感覚だけど、雫にとって何より重要なことなんだろうと思う。


「まだわたしの心の中には静流さんがいるし、でも好意を抱いてくれるのは無碍にしたくない。わたしが彼を好きになっていたら良かったんだろうけど」

「仲良くなってまだ少しだし仕方ないと思うわ。実際告白を受けてから考えてもいいんじゃないかしら。あとで返事してもいいと思うし」


「そうだよね。逆に受ける場合は何て答えたらいいんだろ。ねぇアリサ、小暮くんから告白されたら何て答えるの?」

「え」


 そこまでは考えていなかった。でも。もし小暮くんがいつもと違ってはにかみながらもまっすぐに。


『朝比奈さん、あなたが好きです。僕とお付き合いしてもらえませんか』


 クールに手を差し伸べる彼の姿を想像し真っ赤になってしまう。


「きゅう」


 そんなことを言われたら答えは一つ。


「お、お願いしましゅ……」

「やっぱり好きじゃん!」

「違うの! これはイメージの彼に押し負けただけで実際は断るもん!」


「ほんとかなぁ。でもわたしこんなに可愛く返せるかな。勉強になるよ」

「わー! わ、忘れて、今の間違いだから!」


 こんな感じで告白の予行練習などしつつ、当日を迎えた。

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