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41 お昼過ぎて二人きり②

「えっと僕の女の子の好みは……。何で急にスマホ出すんです」

「一応メモっておこうかなって」


「あ、もしかして知り合いの女の子とか紹介してくれる、いてててて!」


 何で腕をつねるの、わけが分からない! 朝比奈さんの機嫌が悪いので本筋に戻った方がよさそうだ。


「いいから早く話して」

「はぁ……そうですね。まぁかわいい子、スタイルが良い子ってのは月並みなので……お世話しがいがある子が好きです。大月さんほどじゃないですけど、僕も人の世話をするのが好きな方ですし」


「ふむふむ」

「結局は話をして楽しい子、落ち着く子ですかね。怖がったり、怒ったり、笑ったり、悲しんだり……そんな子がいいかもですね。ある意味獅子みたいな女の子なのかもしれませんが」


「そこまで思ってるなら小暮くんは恋しないの? みんな恋してるのに」

「そうですね。って獅子や大月さんはともかく、朝比奈さんも恋してるんですか?」


「私の話はノーカウントで」

「ずるっ」


「で……恋しないの?」

「僕はそう簡単に恋しないって決めてるんです。()()()()()に恋するのはごめんなんですよ」


「なにそれ、好きな人にフラれたとか?」

「まぁいろいろあったんですよ。だから人を簡単に好きにならないようにこんな口調で女子と壁を作るようにしたんです」


「気になる……けど、無理強いできないよね」

「面白い話じゃないので聞かないでください。この件は獅子以外知らないので」


「じゃあその口調じゃなくなればもっと先へ進めるってことかしら」

「どうでしょうね」


 少なくとも自分の中で折り合いをつけるまではずっとこの口調でい続けると思う。この口調は嫌いじゃないんだよな。壁を作ってしまっているのは事実だけど。


 話が終わり、僕と朝比奈さんの間で静寂が生まれる。親しくない人と二人きりだとこの無言の間って苦痛なんだけど……朝比奈さんとは無言の間があっても特に何か苦痛はない。

 思った以上に僕は朝比奈さんを信頼しているのかも。


「っ!?」


 こてんと朝比奈さんが首を預けてきたのでびっくりした。

 大きな声が出そうになったが朝比奈さんの小さな口から寝息が聞こえてきて、ふぅとため息をつく。ほどよい暖かさで陽も遮られている。

 朝比奈さんは昨日の夜に弁当作りを手伝ったらしいから睡眠時間が少なかったのかもしれない。

 寝かせてあげようか。肩を貸す睡眠はあんまり疲れが取れないイメージがあるので、僕は足を伸ばして朝比奈さんを太ももの上に寝かせた。

 風邪を引かないように上着を朝比奈さんの上半身にかけてあげる。


「むにゃ……」

「ふふっ、よく寝ている」


 ◇◇◇


 こうやって寝顔を見ながらまったりするのも悪くない。熱で倒れた時のように頭を撫でてあげると幸せそうな顔をする。


 ほんと喜怒哀楽の激しい子だよ。

 その後、夕方になるまでこの場所でまったり過ごしていた。でもね。


「いつまで寝てるんだこの子は……」


 もう四時間近く寝ているんですが、何度揺すっても声をかけても起きる気配がない。安心しきってるのは嬉しいが屋外でここまで寝ちゃダメでしょ。


「こんな所にいたのかよ」

「もう……アリサったら爆睡して」


 このままじゃまずいので二人きりの所を申し訳ないが大月さんに連絡を取って、ここまで来てもらった。


「幸せそうに寝てるね。こうなったアリサはなかなか起きないよ」

「足がそろそろ痛いです……」


「上着は被せてるとはいえ、この格好のアリサに手を出さないなんて。胸ぐらい触ってもバチは当たらないよ」

「なんつーことを」


 ちょっとそそられたけど、寝ている女の子に手を出すのはさすがに宜しくない。寝顔と髪に触れるくらいで十分だ。


「それでどうやって起こすんです」

「さすがに四時間も寝れば……ちょっとの刺激で起きると思うよ」


 大月さんは眠っている朝比奈さんの上に覆い被さって、腋の下あたりに両手を差し込む。

 そしてそのままぐりぐりと両指を動かした。


「うひゃあああ!?」


 朝比奈さんは飛び起きた。


「アリサはここがすごく弱いから覚えておくといいよ。いつか使う時が来ると思うし」

「どこでですか……」


「あひゃひゃ、雫やめぇ! 無理ぃ、死ぬっ!」

「そんな腋を晒した格好したらこうなるって分かってたのに……今日はお説教です」

「ごめんなさあぁぁぁい!」


 普段この二人がどういう遊びをしているのか見えてくるやりとりだった。

 とりあえず僕の上で暴れ回るのやめてください。


「こ、小暮くん……助けてぇ。ひゃあああん!」


 そんな悶えた姿を見せられるとイケナイ気持ちになってくる。

 悶えた姿がたまらなく魅力的だ。

 顔立ちは神がかってるし、プラチナブロンドの髪はすごく綺麗で、肩が出てるのはとてもセクシー、身を捩るたびに胸元が大きく開いて揺れているのをめちゃくちゃ凝視したい。


「ふわぁ」


 親友の獅子はマジで興味ないのか欠伸していた。それはそれですげぇ。


「も、もうだめぇ。ひゃぅ」

「アリサは可愛いなぁ。もっと笑顔にさせてあげたい」

「やめてあげましょう」


 二人の女の子の絡み合いをもっと見ていたいけど、劣情が浮かんでしまいそうだ。

 そんなこんなで僕達は遊園地を後にした。


 駅で朝比奈さんと大月さんと別れて、僕は獅子と一緒に家までのんびり歩いて帰ることになる。


「今日は楽しかったね」


 女の子二人もそうだけど、こうやって幼馴染と一緒に遊べたのは非常に楽しかった。

 家では一緒にいることが多いけど男二人で遊園地はなかなかいけることじゃない。

 獅子は帰り道言葉が少なめだった。

 何かを考えているのかそれとも……。

 僕は獅子が話してくれるまで待つつもりだ。そして獅子は立ち止まる。


「なぁ涼真」

「決めた?」

「ああ、決めたよ」


 幼馴染だしね、何となく分かってるよ。


「俺、再来週のバスケの試合の後、大月に告白する」

「そこでするんだ。でも意外に早かったね。あと前にも言ったけど……」


 大月さんは昔から朝比奈さんのお兄さんに好意を抱いていた、という件は獅子には伝えている。

 朝比奈さん曰く口では吹っ切った感じはあるらしいけど、長年の想いはそう簡単に消せるものではないらしい。

 だからこそごり押しで告白しても多分無理で、好感度をしっかりと稼ぐ必要があった。


「分かってる。今日もずっと二人で一緒にいたんだけど……やっぱ好きだ。あの子を好きで本当に良かったって思うくらい好きになった」

「うん」


「でも朝比奈の兄貴がまだ大月の心に残ってるなら、それを超えなきゃいけない。だったらまず告って、大月の心に俺の存在をいれてもらわねぇと話にならねぇ」

「もしかしたらフラれるかもしれないよ」


「上等! 一回フラれたくらいで諦めるかよ。嫌われてないのは間違いないんだ。だったら俺は好きになってもらえるまでグイグイ行く」


 親友の覚悟にすごいなと思うばかりだ。やっぱり僕の親友は一番格好いいよ。……決着の時が来たのかもしれない。

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