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35 恋愛相談再始動②

「これからは獅子と朝比奈さんで直接やりとりしてもらって大月さんにアタックするのがスムーズでしょう。僕を挟む意味はないと思いまして」

「ねぇ小暮くん」


 朝比奈さんの目が何だか笑っていない。僕はおかしなことを言っただろうか。


「それは駄目。平沢くんが私を通す際は必ず小暮くんを同行させること。それが唯一の条件よ」

「えぇ!? それは意味なくないですか」


「意味はあるわ」

「どんな意味です」


「……言えない」

「ええー」


 朝比奈さんはぷいと顔を紅くしてそっぽを向いた。可愛いけどマジで意味が分からない。


「涼真、俺も朝比奈と二人だと喧嘩になりそうだし、できれば一緒にいてくれ」

「そ、そう! そういうことよ。喧嘩はよくないから」


「絶対違う意味でしょ。はぁ、分かりました。みんなで協力してがんばりましょう」

「……私だってあなたのことをもっと知りたいもん。今更いなくならないでよ」


 朝比奈さんのつぶやきが当然聞こえるはずもなく、気にすることは止めた。

 

 朝比奈さんと獅子が手を結んで数日、ある程度打ち合わせをして獅子の恋愛大作戦が始まることになった。

 本格的に朝比奈さんが手伝ってくれるようになったため男性陣、女性陣で上手く連携が取れるようになる。


 まずは一発目、大月さんが毎日校舎裏でやっている園芸部の土いじりを利用することにした。


 明朝、いつも通りに僕が大月さんに話しかける。

 ある程度話が弾んだ後に朝比奈さんが僕と大月さんの話に加わり、その次に獅子が僕をエサに会話に入って四人仲良くするって作戦だ。


 この作戦の提案者は朝比奈さんだけど……。


「これ、朝比奈さんが来る意味ありました?」

「あるもん」


「この場面って朝比奈さんをすっ飛ばしても支障ないですよね」

「雫と二人きりで何を話すか気になるし」


「へ?」


 朝比奈さんと小声で話しているとばっと大月さんが顔を寄せてきた。


「最近、アリサと小暮くんって仲が良いよね。やっぱり妹さんが一緒とはいえ遊びに行ったから関係が変わったのかな」

「え~。もう雫ったらそんなことないわよぉ、へへへ」


「ええ、そんなことまったくないですね」


 ぐにっと思いっきり太ももをつねられる。


「いっつっ!」

「なんでそんなこと言うの」


「ちょ、今は僕達のことはどうでもよくて、ほらっ、獅子が入ってこれなくて困ってるじゃないですか!」


 真顔の朝比奈さんに恐怖を覚えながらも作戦であることを伝える。

 僕達の話で盛り上がったら意味がない。

 あくまで獅子と大月さんを喋らせるってのが目的なのだから。

 僕は獅子にスマホでメッセージを送った。そしたらすぐに準備した獅子がやってくる。


「お、おう……。涼真、ここにいたのか」

「獅子、おはよう」


「ふん、平沢くん。悪いけどこれ以上近づかないでくれる? この前食堂で私に怒鳴ったでしょ。まだ許してないんだから」


 さすが朝比奈さん、淀みのない言葉を並べてくる。でもアレはガチで文句を言ってる気がする。

 獅子は少し躊躇したフリをして、強く頭を下げた。


「悪かった」

「……雫にも謝って。怖がらせたんだし」

「アリサ! わたしはいいよ」


「いやすまなかった。大月にも悪いことをしたよな……本当にごめん」

「あ……うん」


 大月さんは戸惑いながらもその謝罪を受け付けた。

 思ったより上手くいったな。朝比奈さんが獅子にストップをかけたのが良かったのかも。

 もしかしてそれを見越していた? 

 僕は小声で朝比奈さんにしか聞こえないように声をかける。


「このために朝比奈さんはここに来てくれたんですね。当初は大月さんに獅子が直接謝罪する形で終わる予定でしたけど、朝比奈さんを通せばもう少し強引に関係を進められる」

「え? そこまで考えてはなかったけど」


「ここで朝比奈さんが傲慢に罰としてパンケーキを奢れとかいえば獅子はそれをやらざるえなくなる。そして接点が生まれるってことですよ。さぁ、朝比奈さん、いつも通り偉そうに獅子に言ってください」


「小暮くん、私のことそんな風に思ってたんだ。ちょっと……傷ついたんだけど」

「初対面の時五メートル離れて歩いてとか言ってたじゃないですか」

「むー」


 っていうか朝比奈さんが積極的に僕に話してかけてくるな。最近朝比奈さんとの会話が以前の倍くらいあるような気がする。


「じゃあ平沢くん、罰として私と雫にクレープを奢りなさい。それでチャラにしてあげるわ」

「え、ちょっとアリサ。さすがにそれはやりすぎだよ!」


「いや構わねぇ。俺もあれは大人げなかったと思うし……」

「でも……」


「大月さん、獅子に奢らせてやってくれませんか。獅子はこういうのしっかりするタイプなんです。奢ってもらった方がすっきり終わらせられるんで……お願いしますよ」

「分かったけど、そんないいのに」


「じゃ、今日の部活が終わった放課後に宜しくね」


 よし上手くいった。これで今日獅子は大月さんと一緒に下校することが確定する。

 クレープ屋に行くまで、食べてる間……いろいろ話せるはずだ。頑張るんだよ、獅子。僕は一人で帰るから。


「小暮くんも放課後付き合うよね」

「え? これこそ僕いらないんじゃ」


「私が同行する時は絶対来るって言ったじゃない」

「これ……獅子と大月さんの問題ですし、朝比奈さんも行かなければいいんじゃ」


「嫌よ、クレープ食べたいもの」

「それが目的っすか……」


「それに平沢獅子を認めるかどうかここで見極めるわ。雫にとってプラスになるかどうかね」

「なりますよ。獅子は僕の一番の親友ですから」


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