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23 僕と天使とポンコツ美少女⑤

 何だか朝比奈さんも変に意識しているようだ。

 超美人だから忘れてたけど、男慣れしてるわけではないって言ってたもんな。

 大月さんじゃなくて、朝比奈さんを想っていたらもっとそれらしくなったんだろうか。

 でも……それだときっとこうやって遊びにいく関係にはならなかったと思う。

 互いに好意がないから気楽にいられる。変に意識をするのは止めよう。

 彼女だってそう思っているはずだ。


「キュアキュアショー始めるよ!」

「わーーー! わーー!」


 魔法少女キュアキュア。昨今でわりとメジャーになりがちな物理系魔法少女。

 魔法の力でバフをかけて、物理でぶん殴る。

 ひよりと一緒に見た時はなんだこれはと思ったけど意外に奥が深い。

 今回は着ぐるみのキュアキュア達が悪の組織と戦うシナリオだ。


「ほわぁ」


 ひよりは毎週、録画したキュアキュアをリアタイで一回、録画で二回見ている。

 僕もそれに付き合うことが多いので結構キュアキュアのことなら詳しいつもり。

 その知識者としてこのショーは結構デキがいいなぁ。

 脚本がしっかりしている。恐らくキュアキュアをよく知っている人が書いたシナリオに違いない。


「子供向けと思っていたけど結構設定がしっかりしてるんだね」

「ええ、面白いですよ。子供向けってバカにできないですね」


「日曜の朝だっけ。見てみたいけど起きれないのよね」

「ブルーレイ貸しましょうか。揃えてますし」


「揃えてるんだ」

「ふっ、ひよりの笑顔が得られるんですよ。発売日に店頭で買いに行くことだって躊躇しません」


「兄の鏡だね。堂々としすぎているのがちょっと気持ち悪いけど」

「小声でボソって言うのやめてくれます!?」


 ショーも終盤になってきた。オリジナルの怪獣を前にキュアキュア達は大苦戦。


「みんなキュアキュアを応援しよう!」


 このあたりは予定調和。司会のお姉さんが客を煽ってくる。ひよりを含む、子供達は大声でキュアキュアを応援している。


「あの~」


 いきなりショーの逆から声をかけられびっくりする。スタッフのお兄さんだった。


「もし宜しければそちらのお嬢さんに怪人の人質役で出演して頂けないでしょうか」

「え、私?」


 朝比奈さんも気づいてこちらを振り向く。客を人質に取って盛り上げるショーの演出。わざわざ朝比奈さんに声かけるなんて……もう分かってやってるようなものじゃないか。


「みなさんはどういったご関係でしょうか」

「えっと一応兄妹です」


「そうですか。であれば……あのパターンでいけますね」


 てっきりひよりとの関係を聞かれたと思ったけどもしかして違う? まぁいいか。朝比奈さんは立ち上がった。


「子供達のために出来る事があるなら」


 朝比奈さんも結構ノリノリじゃないか。基本立っているだけでいいということでお兄さんが別のスタッフに合図をした。


「こんなことあるのね」

「多分トラブルか何かで急遽なのかもしれませんね」

「ひよりちゃんの格好のおかげかな」


 それもあるけど、多分大部分はあなたの美貌だと思います。

 その内にピンチになった怪人が客席に降りてきて、朝比奈さんの所まで来た。


「ぐひひひ、来てもらうぞ!」

「きゃーあ~れ~」


 そして棒読みだ!


「にーにー、おねーさんが連れていかれちゃった!」

「大丈夫。キュアキュアが何とかしてくれるよ」


「弟さんも是非とも出演しちゃってください」

「え? 僕。っていうか弟って」


 もしかして僕と朝比奈さんの関係を姉弟と勘違いしてる? さっき聞いてきた関係ってそういうことか。断ろうと思ったけど。


「にーにー、おねーさんを助けて!」

「任せろ!」


 愛するひよりに懇願されて行かないわけにはいかない。

 スタッフさんに連れられて舞台に上がる。

 でもこれはあくまでキュアキュアショー。

 エキストラが目立つことはない。


 怪人に掴まれてる朝比奈さんが客席の方に顔を向ける。朝比奈さんは祈るように声を挙げた。


「助けて、キュアキュア!」

「うおおおおおおおおおおっ!」


 おっさんの野太い声が聞こえてくる。

 そりゃアイドル顔負けの可愛い子にお願いされたら盛り上がるよな。

 朝比奈さんも上手くやってる。

 さて、僕はどうしたらいいんだ。

 スタッフさんがゆっくりと後ろから声をかけてくる。


「キュアキュアが怪人を倒したら人質を助けてください」 

「はいはい」


「お姉さんを抱き抱えてあげてくださいね」 

「分かりました。っては? 抱きかかえる!?」


 ちょっと待って。

 抱きかかえるってどういうことだ。

 そりゃ確かに姉弟の関係だったら別に抱きかかえても何の問題もない。

 僕と朝比奈さんは実際そんな関係じゃないし、言えば彼氏彼女の関係でもない。

 そんなのできるわけがない。


「ええ!?」


 奥から朝比奈さんのつぶやきが聞こえ。僕の方をチラチラ見ている。

 もしかして……スタッフから抱きかかえることを聞かれたのだろうか。

 迷ってる内にキュアキュアが怪人を蹴り飛ばしてしまった。


「さぁ弟くん! 今よ、お姉さんを助けよう!」


 弟じゃない。でも行くしかない。ばっと走って朝比奈さんの所へ行く。


「大丈夫ですか」

「うん……その抱きかかえるって言われて」

「それっぽくやってここを離れましょう」


「よーし、弟くん、お姉さんをお姫様だっこして救いだそう!」


「お姫様」「だっこ!?」


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