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18 集合

「にーにー! ひーすっごく楽しみ! キュアキュア!」

「うん。誘ってくれた二人のお姉さんにきちっとお礼を言うんだよ」


 時はあっと言う間に過ぎて、四人で遊びに行く日となった。 

 朝比奈さんが誘ってくれた夜、ひよりに話してみたら絶対行くって大喜びだった。

 こうやって喜んでくれるならありがたい。

 朝比奈さんには別で御礼をしないといけないな。

 ひよりと手を繋いで待ち合わせ場所の駅前までゆっくりと歩く。


 アメージングランドは電車で二十分くらい所にあり、交通の便も悪くない。

 僕以外が女の子という状況も気がかりだったし、妹を連れてこられたのは本当に助かった。


「二人は来てるかな」


 駅前の待ち合わせ広場に到着。

 まだ十時だというのにそれなりの人混みとなっていた。

 朝比奈さんの姿はない。待ち合わせ時間よりも十五分早く来たから、まだ到着していないのかも。


「にーにー。今日はれおと一緒じゃないの?」 

「うん。別の人だよ」

「にーにーのおともだち?」


 お友達と評していいのだろうか。

 異性だし、友達と言うほど仲は深めていない気もする。

 連絡先は交換したけど、さほどやりとりもしていない。

 朝比奈さんは男性が苦手と言っていたし、友情の無理強いはできない。あやふやに濁しておこう。


「そんなところかな」

「にーにー、れお以外にともだちいたんだね。びっくり」

「胸に刺さるからやめて」


 空気の僕に友達なんてできないんだよ……。僕の側にいつも獅子がいるせいだな。見た目陽キャのイケメンが僕から友達力を奪っていく。まぁいいや。


 そろそろ約束時間だけど見つからない。大月さんはともかく、朝比奈さんの外見の良さ目立つはずなのに。


「あの」


 ふいに声をかけられる。振り向くと思わずぎょっとしてしまった。

 帽子にサングラスにマスクで顔を隠した女性。

 声と肩幅で女性と分かったがその怪しさに警戒してしまう。

 ひよりを後ろに隠したが声に聞き覚えがあった。


「もしかして朝比奈さん?」


 その声の主は朝比奈さんだった。

 そっと帽子を外すと背中まで伸びた綺麗なプラチナブロンドの髪がぱらりと広がった。

 さっきまで怪しさ全開だったのにそれらを外すだけでとんでもない美少女が現れたようだった。


「……ごくり」


 息を飲む音が体を通して耳に伝わる。

 いつもは制服の彼女しか見ていなかったから想像がつかなかったけど私服の姿は非常に新鮮だった。

 清純な白を基調としたシャツの上から淡い色のカーディガンを羽織い、いつもは付けてないヘアピンもパステルカラーで優しさを感じる。

 私服姿もここまでレベルが高いとは。

 学校の男子の半数以上が彼女に恋心抱いてしまう意味をまた一つ分かった気がする。

 小中といろいろあって美人に耐性があって本当に良かった。無ければ多分一目惚れしていたかもしれない。


「やっほー」


 そんな声と小さな手振りも魅力的だ。まわりの男性の視線が一気に朝比奈さんに集まる。

 それだけの美貌だ、当然と言える。

 顔を隠してたのは男避けなのかもしれない。芸能人でもないのに大変だな。


「ふわぁ……お姫様みたい」


 男兄弟しか知らないひよりも感慨深く見上げていた。


「ひ、ひよりちゃん! か、かわいいーっ!」


 そんな美少女も大声出せば崩れるわけで。ひよりを見た瞬間の卑しい笑みを見るとそんな尊い感情も霧散してしまうもの。


「はぅ」 

「ずっと会いたかったのー! 本当にかわいい、天使みたい」

「天使みたいじゃなくて、天使なんですよ」


「く、くるしい」

「は、ごめんなさい!」


 朝比奈さんがひよりを思いっきり抱きしめていたので我に返って離れた。ひよりが僕の腕を引っ張る。


「にーにー」

「どうしたのひより」


「おねーさん、おムネ凄かった。ママよりすごい」 

「やめなさい」


 そんなこと言われても困る。でもちょっとうらやましい。


「ひより、彼女は朝比奈さん。今日の遊園地に招待してくれたんだ。お礼を言って」

「ん! おねーさん、今日はありがとーございます」


「わぁ、礼儀正しいねぇ。今日は宜しくね」


 朝比奈さんは嬉しそうにひよりの頭を何度も撫でる。

 子供好きなんだな。声色も柔らかいし、また違った一面を見ることができた気がする。


「ところで大月さんは? 遅れてるんですか」

「えっと、実は……雫、昨日の夜から風邪を引いて熱を出しちゃって……」


「え、大丈夫なんですか? そういえば昨日は少し寒かったですしね。心配だなぁ、見舞いに行った方が」

「熱っていっても三十七度台だし、雫は家族が見てくれてるから大丈夫よ」


「そうですか、良かった」

「ちゃんと心配してくれるんだ」


「へ?」

「これで今日はどうするんですか? なんて言ったら張り倒そうかと思ったわよ」


「そこまで薄情じゃありませんよ」


 昨日の朝も大月さんとは話をしたし心配だったのは間違いない。


「でもそうなると本来の目的が出来なくなりますね。朝比奈さんも大月さんが心配ですし、今日は止めておきますか?」

「え……キュアキュアショー行かないの?」


 ひよりも大月さんが来られなくなったことに感づいたようで残念そうな声をあげる。

 チケットを用意してくれたのは朝比奈さんだし、僕から無理強いはできない。

 ま、自腹を切って二人で遊園地行ってもいいか。朝比奈さんは屈んでひよりと同じ目線まで腰を下ろした。


「大丈夫。三人で遊園地に行きましょう。キュアキュアショー見に行こう!」

「いいんですか?」


「ひよりちゃんは楽しみにしてたんでしょ? 小暮くんも最近構ってあげられなかったって言ってたし、悲しませたくないよ」

「いや、でも……朝比奈さんに悪い気が」


「もともと私はひよりちゃんと遊ぶために来たんだから。いこっ!」


 それだったら最悪来週でもいいはず。

 でもひよりが悲しむと思って朝比奈さんは来てくれたんだ。

 本当に良い人だな。初めは苦手と思ってた自分が恥ずかしい。


「ところで小暮くん。一つだけいい?」

「はい」


「そのクソダサの格好で雫とデートしようと思ってたの」


 朝比奈さんは腰に手をあてて、全身をじろりと見つめてくる。

 ジーンズとチェックシャツでまとめたんだけどダメだっただろうか。僕、外行きの服これしか持ってないんだけど……。

 冷めた視線はやっぱり怖さを感じる。


「今度コーデも見直した方がいいわね。雫が見る前で良かったわ」

「いやぁ……申し訳ないです」


「今度、買い出しに付き合ってあげるからって……嫌そうな顔しない!」


 う、表情でバレてしまったか。だけど朝比奈さんの表情は穏やかだった。


「電車も来るし行きましょうか」



妹連れて意図せぬデート編。

個人的にこのあたりはラブコメ要素の強い場面なので楽しんで頂けると嬉しいです。


ちょっとランキングが落ちてしまったので、ここまで読んで頂き序盤の流れで評価頂けるのであればブックマーク登録や下側の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして頂けるととても嬉しいです!

順位が上がれば作者も気合が入るので期待頂けたらお願いできればと思います!

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