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15 空気な僕は親友が少ない

 獅子を中心とした五人の男子グループ。

 休み時間は僕の席の近くでベラベラ喋るんだが、お昼は食堂へ行くことが多い。

 僕は弁当を作る時もあるけど、やっぱり朝の時間が厳しいこともありお金をもらって学食で取る方が多い。

 会話はいつも通り、獅子の言葉に他の三人が同調して話を広げていく。

 今日、一足先に食事を終えた獅子が食堂の席から立ち上がった。


「悪い。ハラ痛くなってきたから先戻って、便所行ってくるわ」

「いってら~」


 だから最後の方は食べるのが速かったのか。

 食事中にハラが痛くなるのって地獄だよね。せめて食べ終わってからにしてほしい所。

 その後すぐ、一緒に食事を取る三人が食べ終わってすぐ立ち上がる。

 そして僕はまだすすってるうどんを食べおわっていない。

 さて……この後の展開はよく分かっている。


「先行くわ」


 三人は立ち上がり、足早と教室へと戻っていく。

 あの三人はあくまで獅子を慕って近づいているのであって僕のことは何とも思っていない。

 なので獅子がいる時は獅子が立ち上がるまで待っているが、いない時は僕を置いて教室へ戻ってしまう。

 彼らからすれば僕は友人……下手すれば知り合いレベルなのかもしれない。

 まぁ実際……陰キャラの空気キャラだしね。

 獅子のおこぼれをもらう凡人としか見られてないのだろう。


「はぁ……」


 だから僕は学校で親友と呼べる友人が獅子以外にはいない。

 陽キャグループゆえにそれ以外の生徒から敬遠されて、グループにいるのに陽キャ軍団から空気のように扱われる。

 部活動でも似たようなものだ。ほんと僕は存在感ないな。早く昼食を食べ終えて教室に戻ろう。


「小暮くん一人?」


 はっきりとした口調の女子の声に僕は視線をすすってるうどんから外して、見上げる。

 そこにはプラチナブロンドの髪色をしたエライ綺麗な女の子がいた。


「朝比奈さん」 

「小暮くんも学食なんだ」


 そう、学校で最も人気の女の子、朝比奈アリサが立っていた。

 さすが学校一の美少女。まわりの生徒から視線が急に集まり始めた。

 芸能人レベルの美貌だもんな……そりゃじろじろ見てしまうもんだろう。

 男子で一番人気の学食メニュー、大ラーメンを選んでいる所もさすがだ。


「ええ、朝比奈さんこそ食堂で食べているイメージはありませんでしたが」

「普段は弁当なんだけど、月一くらいは学食で食べてるの。たまに温かいご飯食べたくなるしね」


 朝比奈さんは僕と同じテーブルに学食を置く。

 なぜそこに置いたし。


「あ、アリサ……こんな所にいた」


 側にやってきたのは大月さんだった。さすが仲良し幼馴染。食事も当然一緒だ。


「小暮くんこんにちは」

「うん、こんにちは」


 大月さんは朝比奈さんの隣の席に腰掛ける。

 まさか一人の学食だと思ったら同じクラスの女子が近づいてくるなんて意外な展開だ。

 大月さんは小さなかけ蕎麦を頼んでいた。


「大月さんは少ないですね……。全然大きさが違う」

「普通だよ。それにアリサの食事を基準にしたらみんな太っちゃう」


「ちょっと! 一応お昼は節制してるんだから」


 節制していて大ラーメンなんだ。本当にこの人よく食べるなぁ。

 朝もしっかりパンケーキを食べたらしいし。

 すぐに食べ終えた僕はいつでも立ち上がれるんだが……喋りが盛り上がってる手前帰るわけにはいかないよな。


「ふーふー」


 小さなお口で食べる大月さんの姿が何だかリスっぽくって可愛らしい。

 こういう所は妹のひよりを思い出す。

 早く家に帰ってひよりを愛でたい。

 ふと視線を戻すと朝比奈さんがにやりとしていた。

 そのまま立ち上がってテーブルを移動し僕の横に座る。


「ねぇ小暮くん」


 朝比奈さんがぐんと顔を近づけてくる。


「ふふ、愛しの雫のことを見てたでしょ。二人きりにしてあげよっか?」


 僕をからかおうしているんだろう。それよりめちゃくちゃ顔が近い。そんなぐいっと来られたら照れてしまう。


「いや、そういうわけでは」

「もう照れなくていいのに」


 違う。照れている理由はあなたが至近距離で声をかけてくるからだ。

 僕が大月さんに恋愛感情を抱いていると思われてるからこんなことをするのか。あと良い匂いがする。

 女の子って何かすげー!


「アリサって小暮くんと仲良いいよね」

「へ?」


「男子の側にそこまで寄ってるとこ初めて見た」

「あ」


 そこで朝比奈さんは男の僕が至近距離にいることに気づき、顔の赤みが一気に広がる。

 見て分かるくらいの変化だが……僕もそんな余裕あるわけじゃない。朝比奈さんはばっと僕から離れた。


「わわわっ!」 

「からかうなら近づくんじゃなくてラインでしてください」


「ご、ごめん」


 大月さんだけは分からず首を傾げていた。

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