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14 ぼく達は幼馴染の才覚に嫉妬している……でも

「朝からアリサったらパンケーキを四枚食べたんだよもう動けないって」

「予想以上の健啖家ですね」


「でもあのソースは凄いね。わたしも勉強になったよ」


 朝一、僕はいつも通り親友の想い人である大月雫と隣合わせで話していた。

 昨日、朝比奈さんと話した効果だろうか、大月さんと少し距離が縮まった気がする。

 朝比奈さんという共通話題が出来たのは大きい。


「でもアリサとあんなに仲良くなれるなんて凄いね。意外だったよ」

「水原さんも言ってましたけど、そんなに珍しいものなんですか?」


「うん。アリサって男子に対してはツンケンしてるでしょ。わたしからすればあれは本当のアリサじゃないんだよ」


 人気者ゆえの警戒って感じだろうか。ツンケンとしたクールな口調は一種の壁を感じる。

 朝比奈さんほど容姿が優れていれば仕方ない面も大きいだろう。


「でも本当は明るくて……ちょっと人懐っこい感じの性格をした女の子……ですか」

「お! いっぱい喋ったのって昨日だけだよね。そこまでは分かるんだ」


 確証があったわけじゃない。

 幼馴染の大月さんが言ってるんだから間違いないんだろう。ただね。 


「……あの人ちょっと抜けすぎだと思うんですけど」 

「あっ……」


「あんなに警戒しているわりに向こうから連絡先を教えてくるし、家の場所まで開示するってのはどうかと思います」


「アリサにはよく言い聞かせておきます……」


 やっぱお母さんだな。


「アリサのことは他の男子には」

「言いませんよ。それに言ったら目で殺されそうな気がしますし」


「そうだね。アリサは敵対認定すると容赦ないから」


 大月さんに迷惑をかけた人に相当攻撃したみたいだし、うかつなことはしない方がよさそうだ。

 大月さんは僕の顔をじっと見つめて、くすりと笑った。


「でもどうしてアリサは小暮くんに気を許したんだろうね」


 一番は僕が大月さんを好きであると思い込んでいることだろう。

 けどそれを言うわけにはいかない。言ったらその時点で告白だし!

 でもそれを差し引いてもたった一度出会っただけで男子の僕に連絡先を教えてくれるくらい気を許されるのは不思議だ。


 理由は……一つか。


「僕が男扱いされてないだけでしょう」

「ええー」


「昔から家事が得意で裁縫が趣味なのもあってよくからかわれたもんですよ」

「裁縫って服を作ったりするの?」


「大層なものじゃないですけど」


 スマホの写真フォルダを見せる。そこには僕の天使の画像がたくさんあった。


「かわいい! もしかして妹さん?」

「ええ、妹はアニメが好きなので衣装を作ってあげてるんです。買ったりすると高いですしね」


「へぇ……すごいね。これなんてすごく似合ってるよ」


 魔法少女アニメが好きなひよりのために僕が布地を組み合わせて魔女っ子の衣装を作って、着せていた。

 両親も喜んでくれるし、ひよりも笑顔になるし……最高だね。


「あまりの天使っぷりにたまらないですね。いや……ほんとかわいい」

「年離れたりすると可愛がるって聞くもんね。わたしは一人っこだからいいなぁ」


「やっぱり兄弟姉妹に憧れるんですか?」

「憧れるよ~でもね」


 明るい顔を続けていた大月さんの表情が若干曇る。


「アリサがね。わたしを妹扱いで抱きしめてくるのがちょっとね……」

「そうなんですか。でも……」

 

 百六十センチ半超えてそうな朝比奈さんに、百五十センチほどの大月さん。

 この身長差なら当然だろう。

 朝比奈さんは大月さんを溺愛している。

 感情として家族、悪くいえばペットみたいな感覚だろうか。大月さんが若干不愉快に思っているのが意外だった。


「あの朝比奈さんにあんなに好かれるのはすごいと思いますよ。水原さんも同じ感じでしたし」 

「そう……そうなんだ。そうなのかな」


 大月さんの表情に陰りが見えた。


「幼馴染のわたし達三人は幼稚園の頃からの付き合いなんだ。それこそ毎日毎日一緒に過ごしてきたの」


 太陽が照りつける朝の空、校舎裏のベンチで大月さんの言葉を僕は待つ。


「意外かもしれないけど小さい時はわたしが三人で一番背が高かったんだよ。同い年だけどわたしがお姉さんだねって親からも言われてた」

「……」


「怖いものが多くていつもべったりだったアリサに天然でマイペースな心。自分で言うのもなんだけどわたしはしっかり者のつもりだった」

「あの朝比奈さんを見ていると頷けますね。大月さん、しっかりしてるように見えますし」 


「うん、ありがと」


 毎朝早く来て、土いじりをしつつ、校内の清掃もしているようだ。ベンチの後ろにはゴミ袋があってそこには校内で出たゴミがまとめられていた。元々そういうきっちりとした性格なんだろう。


「だからずっとこのまま……そう思ってたけど、成長って残酷だよね」 

「ええ」


「アリサはあの通り、小学校高学年から急成長して誰よりも美しく、綺麗になった。頭も良くて、運動も出来て……変わらない所も多いけど男子からは絶大な人気を誇る女の子に成長した」 

「学校中の男子から好かれていますからね」


「心も小学校で始めた水泳で結果をだしてね。小学校で日本一になって……もう凄かったよ。トントン拍子で将来のオリンピック候補になった。おまけにアリサに匹敵するくらいに美人になってさ」

「地元の星って感じですよね」


「そして……何もないのがわたし。三人仲良しの幼馴染だったはずなのに、わたしだけが平凡だった。二人の光の影になっているわたし」

「そんなことはありませんよ」


「いいよ、気を使わなくて。誰が見たって醜い凡人の嫉妬だもん。アリサに妹扱いされるのもその嫉妬の表れ」

「でも二人のこと嫌いじゃないでしょ。むしろ大好きだ」


「……え」


 大月さんはびっくりしたように表情を変えた。想定していた言葉であれば流せたのかもしれないけど、そうでない言葉は流せない。


「好きだから一緒にいたいと思う。そしてそんな凄い二人に頼られていることを密かに自慢に思っている。違いますか?」

「どうして分かったの」


 本当に嫉妬して嫌になったら離れていくものだと思う。

 その輝かしい功績を見たくないって思うものだ。

 でも大月さんは朝比奈さんも水原さんも大切に思っている。

 嫉妬はしていても大切に思っている。

 そんな二人が頼ってきてくれること嬉しいから、ずっと側にいる。

 好意の表れだと思う。


「僕もそうなんですよ。僕も幼馴染がいて、小学校までは一番早く成長してたんです。でも高学年くらいから幼馴染の身長が伸び始めて才覚を表し始めた」

「……そっか。小暮くんの側には平沢くんがずっと側にいたんだね」


「中学の時から女子にモテまくってますからね。そんな獅子に嫉妬しつつも幼馴染として付き合ってますよ」

「何だか、わたしと小暮くんって似てるんだね」


 そう、僕と大月さんはよく似ている。学校で最も人気のある幼馴染がいるもの同士。立場もやれることも似ているんだと思う。だけど……。


「それでも大月さんの方がすごいと思いますよ」

「えー。それって幼馴染が二人いるからってことかな」


 それもあるけど大月さんが凄い人だと思うのは学校で一番人気の男子に好意を抱かれているってことだ。

 それだけで全然違う。

 あの獅子に好かれているだけで大月さんは十分魅力的な女の子だと思う。

 だから凡人の僕と大月さんは似ているようで違うんだ。


「そろそろ始業のチャイムが鳴りますし、戻りましょうか」


 やっぱりこの恋を成功させてあげたい。

 そうすれば大月さんも幼馴染二人と対等になれるって思うに違いないのだから。


似たもの同士二人。


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