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122 僕とアリサは互いに誰よりも近い存在になった(終)

「やっば、遅刻するなんて! この僕が」


 待ち合わせの場所まで走って移動する。あの家で待ち合わせたらいいだけなんだけど、僕達はやっぱりここから始まったのだからここで待ち合わせしないといけない。

 卒業した高校から徒歩圏内にあり、住宅街の中にある若干古めかしい様相のカフェ。初めて出会って五年経つがそこに存在するのは変わらない。


「いらっしゃい」


 出会った時から姿の変わらないマスターの声に安心感を覚える。そしていつもの席へ向かうとたくさん角砂糖を入れたコーヒーを啜る最愛の恋人がいた。


「ごめん、遅れた!」

「涼真が遅れるなんて珍しいね」


 朝比奈アリサ。僕の最愛の恋人で大学に通う合間に起業し、二足わらじの生活を行っている。

 歳を重ねるごとにどんどんと美しくなり、通りがかる人は皆はアリサを見て振り返る。

 魅力的な体付きはさらに豊満に成長し、この世のあらゆる女性の中で一番魅力的な女性ではなかろうかと最近よく思う。


 初カノが極上すぎて、他の女性に一切興奮しなくなる病気にかかってしまったくらいだ。

 アリサと別れたら僕は二度と女性と付き合えないだろう。交際は当然順調。二人きりの時は常に体を寄せ合って映画見たり、話したりして過ごしている。


「ひよりが最近僕を疎む言動を始めてね。ショックを受けて気づいたら三十分経過してた」

「ひよりちゃんもそんな年かぁ」


 にーにー過保護、キモいと言われた時には血反吐を吐くかと思った。

 最近、言動が天使っぽくなくなってるんだよなぁ。

 多分、サークルクラッシャーの紬と心さんのせいだ。あの二人がひよりを変えてしまったんだ。ひよりの奴、紬に毒されてるからな……。


 静流さん、そして紬と心さんは同じスポーツで有名な大学に通っている。

 静流さんと心さんは水泳の世界選手権でトップクラスの成績を収めて有名人となっている。

 紬もチアの大会で好成績を収める活躍を見せており、その美貌もあって学内で大人気だ。ミスコン取ったって言ってたっけ。


 もう弱気だった頃の紬の姿はない。男女共に手玉に取りだし、小悪魔な面が加速している。ようやく女子との付き合い方が分かったと言った時、幼馴染みはどうなるのだろうかと心配してしまった。まぁいいや。


「仕事で行ったアメリカはどうだった? 雫さんと獅子にも会ったんだよね」

「相変わらずの仲よ。その内結婚するかもね」


 バスケ部で全国優勝を成し遂げた僕の高校はそのエースだった獅子が卒業後にアメリカの大学に留学。

 雫さんはそんな獅子を支えるためについていったのだ。今や通訳、栄養士、整体、メンタルケアまでも行っている。雫さんがすぐ側にいるおかげで獅子もまた全力を出すことができるのだ。NBAの選手になるのも夢ではないのかもしれない。


「雫はいいなぁ、婚約指輪を付けてたし」

「どきっ」


 アリサに睨まれて、言葉に詰まる。


「熱々のパンケーキでございます」


 マスターが良いタイミングで頼んだパンケーキを持ってきた。相変わらず良い匂いだ。そしてアリサのお気に入りの甘いシロップも置かれている。やっぱりアリサといえばこれだよね。


「恋人いるのに口説いてくるのよね。俺の方が金あるとかイケメンとか……私が欲しいのは甘やかしなの!」

「そうだよね。アリサは甘えん坊だからね」


「だから……」

「アリサもうちょっとだけ待って。必ず、君が望む形で成し遂げてみせるから」


 恐る恐る言ってみる。まだ学生の身分。正直アリサの両親にも認められているんだけど後一押しが欲しい。アリサにプロポーズするにはまだ僕の力が達していない。


「涼真のこと信じてるから。いつも私のお願いをちゃんと叶えてくれるもんね」

「ああ、君は()()()()()()()()()()()()。今度は僕が君のお願いを叶えてみせるよ」


 お互いがお互いを必要としている。僕達はそういう関係だ。


「初めて涼真とまともに話したのはここだったわね」

「僕が雫さんのことが好きだと勘違いしてた時だよね」


「もしあのまま、ここで涼真と知り合っていなかったらどうなってたのかしらね」

「僕はずっと影薄いままでいただろうな。アリサと深く関わらず、僕のクラスにすんごい美少女がいたんだぜって知り合いに話してたと思う」


「獅子は初めから雫のこと好きだったよね。さすがに雫もあれに押し押しだったらその内落ちてたでしょ」

「雫さんってほんと面食いだからね」


「雫と獅子が付き合いだして、私に構ってくれなくなって……そんな時、獅子が構ってくれなくてふてくされる男の子と出会う」

「アリサ……」


「幼馴染みと似た雰囲気を持つ男の子と話すことで心地よさを感じて、一緒にいたいって思うようになる」

「でも男の子はまさかあのアリサがそんなこと思うはずないと思って、もう一人の幼馴染み」

「その幼馴染みは登場させなくて宜しい。不要」

「はい、すみません」


 僕の幼馴染みがアリサと会うたびにまだ別れてないんだって冗談言うからその内にアリサに埋められるんじゃないかってヒヤヒヤしてる。

 女子との付き合い方が上手くなったとはいえ、女子から嫌われなくなったとは限らないからね。

 アリサは紬を見て、人との付き合い方を学んだと言っていたからある意味反面教師なのかもしれない。


「だからきっと私達は時間がかかっても結ばれる運命だったと思う。運良く最速で付き合えるようになったけど、私達は最高の相性なんだから」

「そうだね。アリサは僕の料理や甘やかし無しで生きられなくなったし」

「涼真は私のカラダなしでは性欲を満たせなくなったもんね」

「ぶふっ! ここで言わないで」


 事実なのがまた何とも言えない。離れた時間が長い分だけ再会した時にアリサを抱きたくなる。やはり僕はもうアリサ無しで生きられないだろう。

 正直ご飯食べたらすぐにアリサの家でベッドに入りたい。彼女の敏感な体を余すことなく味わい、性の疼きを発憤させるのだ。


「涼真からとてもえっちな視線を感じる」

「付き合ってからずっとそんな視線を浴びせてるからね」


「まったくもう。涼真はほんと私のことが世界で一番好きなんだから」

「その通りだよ。っていつのまにお代わりのパンケーキが! 二十歳超えたんだし、押さえていかないと後が怖いよ」


「むっ、じゃあ半分は涼真が食べて」

「じゃあ貰おうかな」

「私が食べさせてあげるから、あーんして」


 アリサにあーんしてもらいパンケーキの美味が口の中で広がった。

 パンケーキで思い出す。とある恋愛相談から始まったこの長い長い物語。

 紆余曲折、いつのまにか目の前の女の子が誰よりも近い存在になっていた。


本編完結となります。

ではまた次の作品でお会いしましょう。

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