1.プロローグ
1/29 完結致しました!よろしくお願いします:( ‘ᾥ’ ):
多くの学生が行き交う朝の学園で一際目を引く公爵家の馬車が学園の前に停まり、中から黒髪ストレートの女学生が降りて来た。よしよし、今日も注目度はばっちりね!
挨拶は「ご機嫌よう」よ。少し声を大きく。手の角度、姿勢、今日も完璧よ、アンリ!皆さーん、由緒正しき公爵家の長女、クレア・ミュレーズが登園致しましたわよー!
心の中で盛大に“彼女”の登園をアピールする。周囲が認知して数分、そろそろ頃合いね。今日も気合いを入れなくては。
隠れていた生垣からこっそり這い出て、さも今来ました!という感じで走って学園へ向かう。凄く上手いですって?当然よ。公爵令嬢足るもの、数歩走るだけで息が切れるのは常識でしょう?ゼェゼェ。
「リリアさーん!」
「あら、ご機嫌よう。」
「…ごきげん?」
「っ!おはよう!おはよう!おはようございます!!」
「うふふ。今日もリリアさんは元気いっぱいね。」
危なかったですわ。最初から躓く所でしたが、何とか誤魔化せましたわ。
「ねぇ、今日もお義姉様とは別々に登園なの?」
「え?ええ。用事が有るとかでお先に行かれたの。」
「そんな事言って…本当は馬車に乗せてくれなかったんでしょう?」
「違う!全然!えっと、公爵家のご飯が美味し過ぎてちょっと太っちゃったから、ダイエット出来て助かってるの。」
本当の事よ。尤も太った原因は食事より義妹のリリアと食べるお菓子のせいだけど。
「リリアさん…何て健気なの…。」
うおおい、何故そこで涙ぐむ。「辛い事があったら力になるわ」って、うん。とても嬉しい。
でも、まただわ。どうしてなのかしら。何もしてないのに、やっぱり“私”が悪者になってしまう。
これも皆、お父様のせいよー!