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隙間

平日にさぼったのはいつ以来だろう?高校生以来かな?いや、さぼりではない。

一応は怪我してるからな....でも誰もニキビを潰してこんな顔になったなんて信じないだろうな。

誰に聞かせる訳ではないが気が弱いオトコとはそう言う者だ。

お昼を過ぎるとさすがに車も熱い。季節は秋なのだが車内はムッとした熱気が漂っていた。

「どうしよっかなぁ、何か食べ物を買って行ってやろうかな」

彼女の体調も心配だし今晩も店に出るのならなおさらだ。車の窓を開けたままにしてコンビニへよった。

昨夜の店員は交代してオーナー店長の夫婦がレジにいた。

手軽で栄養のとれそうな物を探した。


陳列棚をしばらく探すと『ウゥダー』

「?」

ゼリー状の栄養補給食だ。

「おぉ、これいい」

彼女は普段から余り食べる方ではないので弁当はきついかなぁ〜と考えていたのでちょうど良かった。

飲み物はポッカリスゥエットという、スポーツ飲料を選んだ。どちらも手軽に栄養補給が出来ると考えたからだ。

運動といえば運動をそれも過激に24時間休憩無しの様な状態でやっていたので間違ってはいないと言えばそうかもしれない。

あと牛乳180mlの小さなパックを買った。

彼女は牛乳を飲まない。これは自分用だ。

昔、人間にはタンパク質が一番必要だと聞いたので用心の為に飲んでおこうと思ったのだ。


車に乗り込み彼女の家へ向かった。

途中、渋滞気味で少し時間がかかっている。

平日の昼過ぎだ当たり前ではあるが仕事で渋滞を日常的に経験しているので休んでいる時の渋滞には少し苛立を感じる。

車内でここ数日の事を考えた。先週の今は普通に仕事してたよな。同じ渋滞を経験していただろうが状況が少しでは有るが確実に違う。

この少しのズレがこれから酷くなって行くのだろうか?と少し心配をした。

それはそうだ、3日前の少量の煙を吸ってから確実に生まれて始めての経験をしたのだ。

しかもそれは不思議な力や世界観を与えてくれたのだ。同時に自分の体のタフな事にも驚いていた。

「人間ってすごく強く出来てるんだな。」

これは過信かも知れないとこの時は思いもしなかった。


しばらくすると彼女の家に着いた。

駐車場に車を止め軽い足取りで階段を上った。チャイムを押さずに鍵を開けて中に入った。

冷蔵庫に買って来た物を入れると寝室を覗いた。

....彼女はいなかった。

「あれ?」

店に行くにはまだ早い時間だ。


感覚が一気に高ぶった


「オトコだ」


今までも,火曜日はよくいきなりいなくなった事があった。

それに薬の効果が残っていれば他のオトコを求めて出て行くのは自然な事かもしれない。

自分だけが愛情を感じているつもりだった。

いつもなら駐車場から彼女の家を見て居るかそうか分かっていたのだが体を酷使した後だ、ましてや薬が体内から抜け始めて軽い虚脱感が有るのだ感も鈍っているのだろ

また、いつもの様に悲しみと怒りが吹き上がる。しかし、今回は相手の言い訳を考えてはいない。

すぐに太刀川に電話をした。

「もしもし、太刀川?」

「おぉ、コウちゃん。大丈夫か?」

「あぁ、大丈夫それよりさ例のあれまだある?」

前回もらった物は量が少なくそれを素人2人が何も考えずに全て使ってしまったのでもう、残っていない。

「いや〜もうもってない。」

「あぁ、そう..そうりゃそうだよね。ごめんごめん」

少しだけ良かったと思った、しかし残念な気持ちもあった。

太刀川は続けて喋りだした。

「でも、コウちゃんなら知り合いだし信用してるからちょっと待ってて、手元にはないけど友達にいえば用意できるよ。」

太刀川はうさんくさい事を平然と言った。しかし、お人好しオトコはこれを聞いて少し彼を見直した。

「えぇ、無理しなくてもいいよ。」

「あぁ、いいよそれにコウちゃんの事は言わないからさ。こないだのは少なかったから物足りなかったんじゃない?」

そんな事はなかった、むしろ十分すぎるくらいに効いた。初めての人間には耐性(免疫の様な物)がないので少量でも効くのだ。

しかし太刀川はそれを知っていて言った。

「いや、こないだはすごく効いたよ。良かったよありがとう。ただ、もう無くなっちゃったんだ。」

太刀川は今日の休みの理由が何なのかは最初から分かっていたので怪我の事など聞こうともしなくなっていた。

「あれさ、今は仕事中で身動きとれないから。今夜なら何とかなると思うよ。」

「まじ、ごめんね。何時くらいにいけばいい?」

「まだそいつは寝てるから電話通じないんだ、連絡とれたらコウちゃんに電話する。」

「ごめん、ありがとね。」

電話を切り改めて部屋を見回し布団の上に大の字になった。ふと冷蔵庫に目をむけコンビにで浮かれて買い物をして来た馬鹿な若者を思い出していた。


何時間経っただろう、いつの間にか眠っていた。

こないだからの疲れを一気に回復させようと体がそう反応しているのか気がつけば寝てしまう。

怒りの感情は収まってはいないがこの状況に慣れてしまっている。彼女にうまく教育されてしまっていた。

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