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時間と体

僕らは異常な興奮と感度と喜びに近い広い心を手に入れて、僕は彼女、彼女は僕だけしか見えない狭くとも幸せな世界にいた。

僕らは同時に想像を絶する様な想像力と引き換えに羞恥心を忘れきっていた。日常からは考えもつかない程の変態的な行為を10時間以上も繰り返していた。

と言うより、腰を降り出して既に6時間...まだいかない...しかし、それでもいつもの10倍位の気持ちよさだ....

彼女も勿論、同じようだった。彼女に僕は「外でしよう..」自分でもびっくりする様な事を言っていたが彼女も「うん、じゃ服だけきるね....」

とあっさり承知した。

太刀川に言われた「外出禁止」など忘れてしまっていた。

日頃しない様な激しい体位を色々試したり近くの公園のトイレでやってみたり、気付けば休日も昼間になっていた.....


まだまだイってないが薬をしに家に戻った。...その後はまた布団の上で同じ事を繰り返し....遂にイッた。

初めてイく時に声を出してしまった。

気がつくともう夕方だ....

2人とも、時間の概念が無茶苦茶になっており正直、少し休みを無駄にしたかもと思った。

それからは2人とも今度は無言でそれぞれが別の事を黙々と始めた.....僕は家中の埃を裸のまま拭き取り始め彼女は台所を片付け始めた。

 2人が各々、各自の仕事の様に作業を始めて4時間がすぎ辺りが暗くなっていた。


するとまた、薬を始め.....抱き合い始めた。2回目にどのくらいお時間をかけたかはもう分からない。

終わった後は2人とも寄り添う様に、とても仲が良くなっていた。

考えるとほぼ丸々一緒に居たのだ、濃厚な時間はいい薬になったのかもしれない。

結局そのまま、2人で無言だが幸せな気分で朝までずっと一緒に布団に入っていた。


しばらくすると携帯の目覚ましが鳴りハッ!とした。

なんと、もう月曜日の朝だ。

彼女は横で裸のまま僕を見つめていた。

「おはよう...って寝てないか」といって微笑んだ。

「何か飲む?」

「んじゃ、コーヒくれよ。目は覚めてんだけどね。」

「今日の仕事大丈夫?居眠り運転とかしそうだったら絶対、車は止めて電話してね。」

いつになく彼女は優しかった。

「うん、今日は仕事中はこまめに電話するよ。」

と言ったあと続けて言った。

「ごめん、携帯で警察に止められたばかりだ、注意して止めといた方がいいかもね。」

彼女がキスをしてきた、そして続けた

「あぁ、テレビでも言ってたけど薬した人って警察はすぐに気付くらしいよ、コウちゃん今日は無理しないで。」

「あぁ、そうなの?んじゃ早く帰ってくるよそのあと店に送るね。」

「うん、でも私、今日店に行く前に京子の買い物について行くから夕方前には出てるかも。」

と言うと何やら鞄から取り出しそっと鍵をくれた。

「無くさないでね。」

正直言って嬉しかった。


彼女は不景気のさなか月〜金まではフルに店に出ているが土曜日は予約のある時や他の子が休みの時などしか店に出ていない。

また、浮気相手に呼び出された時は無断欠勤もたまにあったようだがお客さんからの評判は悪くはなかった。何とも器用な女だ。

僕はコーヒーを飲み終えタバコの火を消すと彼女にキスをして「行ってくるね」と言い残し会社へ行った。

彼女の家からだと少し遠いので早めに出ないといけないのが難点だが鍵をもらったことの方がそれ以上に嬉しかった。


会社につくと、いつもの光景だ。

タイムカードを押してコーラを買ってスポーツ新聞を読んでいた。

疲れているのか薬のせいかコーラがおいしくない、それに対しいつものタバコがきつく感じ久々にクラ〜ッとした。

不景気で最近は朝一発目の配送現場がない事もあるし、どうかすると一日会社で洗車や倉庫整理と言う日もある。

流石に月曜日の朝に仕事がないと言う事は少ないがそれでも不景気なのはドラーバー達は肌で感じている。

「さて、朝礼を始めるか」社長が大きなこえで入って来た。

特別なにということもなく10分程度で終わった。

僕は事務員のおばさんから伝票をもらい営業の波多と少し今日の打ち合わせをしてトラックに向かった。

寝ていないせいか、少し体が火照っている。出発前に彼女にメールを送った。

すると、2,3分で返事が来た。『今からお風呂に入って、少し寝てみるね運転気を付けてね』と色々な絵文字とともにハートマークがついていた。

太刀川のいう通り彼女はこのまま浮気相手から離れて行くかもしれない....そう思った瞬間だった。

トラックを出発させようとした時、すれ違いにトラックへ歩いて行く太刀川の姿が見えた。

一瞬では合ったがヤツもこちらを見てニヤッとして手を振った。

「信用はしてないがさすがは詐欺師だな」と気付けば言葉にしていた。一瞬ヤバい!と焦ったが誰もいないのに安心した。


午前中の配達を終え昼だ。いつもなら弁当とおにぎりをコンビニ買って食後は少し昼寝なのだが今日は仕事以外では車から降りたくない。

そもそも、腹が減っていないのだ。これでは体がもたないと思い薬局の前で駐車し栄養ドリンクと水を買ってトラックにすぐ戻った。

ドリンクを飲み終えるとタバコをすいながら昨夜の事を思い出し少し興奮していた。

当たりをミラー越しに見回すと誰もいない.......思わずトラックの中で、自慰を始めた。

 1時間?いや2時間くらい経ったろうかフッと我に帰り時計に目をやった。

「やばい!」思わず声がでた慌てて伝票を確認しすぐにトラックを出した。


 夕方、少し時間を押したが無事に事務所へ帰り着いた。

すると駐車場に部長がよってきて少し不機嫌な顔で僕を見ている。

「お疲れさまです。」と少し愛想笑いをしながらいうと怒った様な声で

「中央区の現場に遅刻したろ、さっき監督さんに営業が電話したら怒られたそうだぞ。」

「すいません、お腹の調子が悪くて.....」とっさにベタな嘘が口から出た。

「どうでもいいんだよそんなの、大体よ〜何故先に電話でも入れないんだ?お客さんにかけづらいのなら事務所に電話して報告すればいいじゃないか。」

「はい、すいません。」...その後少し説教をされたが自分でも当然だと思いもう一度頭を下げ事務所に行った。

もう、既に帰宅した連中も居るようで電灯が半分消えていた。明日の伝票を確認していると太刀川が帰って来た。

「いや〜、午後からいきなり県外だったよ。波多がサバヶね〜からって俺たちが迷惑するのはどうかと思うぜ。」

と僕に言ったのか事務員に言ったのか分からないが大きな声だった。僕が伝票を確認...というかただぼんやり見つめていると太刀川はさっさと事務所をでた。

はっ!とした伝票を10分程度だが見つめていた。いつもなら30秒も見ないのに.....

少し自分の脳がおかしくなってるんじゃないかと心配して僕も事務所を後にした。

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