買い物
ヨッシーはシミが迎えにくるのを通りに出て待っていた。
ヨッシーはいつも人の助手席にしか乗らない、というか乗れない。
くるまの免許を取った事すらないからだ。30も後半になろうかと言うのに情けない男である。
暫くするとシミが迎えにきた。
「ごめんね〜」と愛想笑いをしながらヨッシーは乗り込んだ。
シミが言う「金、ください。僕が取って来ますから」
冷めきっていた
するとヨッシーは自分の財布から1万円渡した。
「ねぇ、どこまでいくの?」ヨッシーが聞くとしみはあっさり
「近所っす」とだけ答えた。
少し走るとシミが電話をしだした
「あぁ〜、・・・そうっす、・・・・わかりました。」
というとコンビ二の駐車場にくるまを入れて「乗ってて下さい。」
といって外に出た。
ヨッシーは初めて見る薬の売買に興味津々だったが気が小さいのでシミの行き先を
じ〜っと見つめる事は出来なかった。
2〜3分待っただろうか、赤のくるまが入って来たと思うとシミの横に付けた
横に付けたかと思うとすぐに行ってしまった。
時間にして10秒いただろうか?一見すると、ただ赤い車が歩行者に気使って一旦止まったようなものだったがすぐにシミがこちらに帰って来た。
乗り込むや「はい」と小さな茶色い封筒を渡された。
中を開けるとパケに入った袋があった。
出してみて見ると中には不揃いな岩塩の結晶の様な物が入っていた。
シミが慌てて言った「こんな所で出さないで下さいよ!!!」
ヨッシーは初めて見るシャブにいささか興奮していた。
いま、手に持っているもので一発で警察に捕まるんだという恐怖となんだか自分もワルになったという感情が入り乱れている。
「次回はありませんので、自分で探して下さいね。」
シミが念を押す。
しかし、それには答えずヨッシーは言った。
「俺,これを渡した相手がパクられたら俺もヤバくね?」
「あたりまえっしょ」シミは少し呆れたと同時にその素人臭さが怖かった。
ヨッシーの携帯が鳴っていた。
相手は察しがつくがシミの手前もあるので店に着いてから架け直そうと思い無視した。
シミがくるまを止めて「つきました」
と言うとヨッシーが「ごめんね、助かったよ」
といい車を出て運転席の方に回ろうとした。
しかし、シミはよっぽど呆れたのかヨッシーの続きの言葉を聞かずに車を出した。
少しイラッとしながらヨッシーは張り紙を外し店へと入った。
ヨッシーは先ほどの薬のやり取りの早さを思い出していた。
”思ったよりあっさり終わるもんだなぁ”
又,電話が鳴った。
相手は波多だった。
「おい、どうだ?」
「はい、今手元にあります。でも・・・・」
「でも、なんだよ!」
「今店を空けられないんですよ僕一人ですから〜」
波多は少し怒った口調で
「あぁ?んじゃどうやって引きにいったんだ!」
波多も弱い奴には滅法強い奴である。
「いや、ですから今空けてたからっすね。」
「あぁ〜もういいや、んじゃ俺が取りに行くよ」
と言うと電話が切れた。
あれだけ離れられないと言っていた波多もシャブがあるとなると決断は早い。
ヨッシーは店の裏に行き小さな封筒からシャブを出し改めて眺めていた。
これやると廃人になるらしいなぁ・・・・
もし捕まったらやばいだろうなぁ・・・・
でも、これって効いたらどうなるんだろう・・・
少し,取っておいてもわかんないかなぁ・・・
様々な想像が頭を巡っていた。