表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/17

06 …………なにやってんだ、わたし



 新人向けのマニュアルと、手順のある作業をわかりやすくまとめたポスター、その両方の完成稿納入を済ませたわたしはそれはもうご機嫌だった。

 なにせきっちり対価を頂戴出来たので。臨時収入である。

 就職から二ヶ月ほどでボーナスをもらったようなものなのですよ、そりゃあ浮かれもする。

 前世では給料日にひっそり浮かれるタイプの人だったので。

 新規マニュアルにせよ、ポスターにせよ、制作した人間を知られるわけにはいかないので、作業は早上がりが出来るようにと調整された仕事の後、セルヴィス様の執務室の一角に用意された机で。だった。

 自室だと誰かが入ってくるかもしれないもんな、わかるわかる。って、納得はした。

 めちゃくちゃひとりでいたたまれなくなってたけど。

 なので、セルヴィス様の仕事内容しらない方がいいんじゃ? なんてもっともらしいことを言って、作業スペースに仕切りと、防音魔法なるものをかけてもらった。別室でってお願いもしたけど、用意が出来ないから待ってくれとかなんとか。

 そこまでがっつり専用の部屋をもらうようなものでもなかったから、結局辞退したんだけど。

 多少の手直しはあるだろうけど、マニュアル作りきっちゃったら後はもう要らないだろうし。

 

「…………」


 買い物の日から一月近く、セルヴィス様とは同じ室内で別々のお仕事をしていた。

 毎日ではないけどそれに近い期間、わたしが描いたラフに意見をもらったりもしたし、話す機会は格段に増えて、なんならマリエルちゃんとよりも多く言葉や意見を交わしてきたし。

 いい人なんだよなあと、率直に思う。

 外見のよさは言うに及ばず、こちらの言葉を汲み取って提案以上の回答をもらえたりもするし、かと思えばマリエルちゃんの話になった途端ポンコツになるのは、ちょっとこう。

 ……ギャップって、ずるいよなあ。

 ああ、そういえば、今週はマリエルちゃんとのお茶会が出来ていない。

 忙しいとかなんとか言っていたから、貴族令嬢って大変だなと思いながら受け入れたけど、落ち着いたらいろんな話をしたいなあと思ったりもする。年は離れてるけど、なんだかんだ同じ趣味を持った友達っていう感覚で、マリエルちゃんと話していると楽しい。

 ……あなたのお兄さん最近なんかちょっと可愛くみえてしまうんですよね。とは、言えないけど。


「……なんていうか、充実してるよなあ」


 業務を終えた夕刻、本邸から離れて女性使用人の寮へ戻る道すがら、ぽつりと呟く。

 生きているのか死んでいるのかもわからないような日々を送っていたのが嘘のように、自分の技術でお金が稼げること、完全自由行動はまだ許されないにせよ、次のお休みには町に出て買い食いをする許可も頂けたことで、わたしの機嫌はすこぶるいい。

 一応完成ということになった使用人向けマニュアルは、実際に使ってみてブラッシュアップすることになっているから、次は町のガイドマップかなということで話をしている。

 セルヴィス様曰く外部の人もそれなりに立ち寄るらしいのと、なにより自分が町ブラするのにも使えそうなので。

 前世で架空の街に住んでる推しカプの同棲本を出したときに得た技術を、存分に活かそうと思っている。

 なんて、考えている間に女子寮にたどり着いた。

 観音開きの扉の片方をそっと開けて、階段を目指す。わたしの部屋は二階の右奥だ。

 充実、……そうだなあ、充実してるなあ。

 やってみたいことがある。食べてみたいものもある。恋に似た感情まで持ってしまっている。

 そういえば、セルヴィス様には一応時間をみてはお絵かき講座に似たことをしている。

 有言実行とでも言うのか、紙屋さんで呟いていたのは本気だったみたいでイラストを描いてるとちょこちょこみにくるんだけど、別室用意を拒否されたのの理由は多分こっちだろうなと思うような熱心さだった。


「……わたしの模写じゃ意味なさそうだけどなあ」

 

 思わず呟いて笑ってしまう。

 萌えとかそういう感情をしらない人が妹のためにしている努力も方向性もわかるけど、斜め上すぎてマリエルちゃんがきょとんとしてしまいそうだな。そんな顔もきっと間違いなく可愛いだろうけど。

 セルヴィス様には模写見本用にって、初めて同人誌を出すくらいおたくにずぶずぶ沼ったきっかけの作品、まあ、カゼハナなんだけど。それの鼻が特徴的なキャラクターの全身絵を渡してあるので、頑張って欲しい。

 鼻の彼、名前なんて言ったかな。

 そういやカゼハナでオールキャラギャグ本出したときにめちゃくちゃ熱い感想を頂いて、それまで感想なんて無縁だったのでとても励みになったっけ。その鼻のキャラクターが好きだっていう子で――。


「んん?」

 

 ……わたしの部屋の前に、女の子の集団がいる。

 いや、嘘、ちょっと盛りました。

 三人だけです。

 食堂とかでかち合ったらヒソヒソしてくる人たちだ。

 気づいたのが女子使用人寮の直線上の廊下なので、向こうもわたしが来たことには当然気がついている。

 この寮はこれ単体でそこそこ大きなお屋敷というか建物で、二階建てのコ型の建物に、女性使用人の部屋と共用の水回りとかお風呂とかそういう設備がそろっている。

 一番奥にあるわたしの部屋の扉と隣室とは多少離れているし、現在そこは空き部屋になっているので他の誰かの部屋と間違えてってこともないんだろう。

 うーん、どうしたものか。

 ここでくるっと反転しても問題はなさそうだけど、先送りにしたからって解決するものでもないし、ヒソヒソされる以外は彼女たちからは敵意のようなものもやっぱり感じないんだよなあ。


「――あの、もしかしてわたしになにかご用ですか?」


 となるともう先手必勝、安全距離を意識して離れた場所から声を張って問いかける。

 やはりこちらを害する気はないのか、こちらの問いに三人の女の子たちは気まずげに眉を下げて互いの顔を見合わせていた。

 なんだろうな、この学生ノリのような、なんとも言えない感じ。


「あの、リディーナさん。私たち一般庶民ではお力になれないかもしれないんですけど、やっぱり見て見ぬ振りは出来なくて」

「え? なんの話です?」


 意を決したように口を開いたのは、濃茶のウェーブがかった髪を一つにくくった……名前、しらないな。

 一応お互い名乗って挨拶はしたはずだけど、まったく思い出せない。

 言い訳をさせてもらうとカタカナ名前覚えるの苦手なんだもの、正直ひそひそされてばかりで印象もよくなかったし。

 三人でよく組んでるし、ランちゃんスーちゃんミキちゃんとかじゃ駄目かな。世代じゃないけど。


「リディーナさん、本当は貴族でセルヴィス様の婚約者なんですよね? でも、マリエル様がお兄様離れ出来なくて反対をされていて……。せめておそばにいるために使用人としてこちらにいらっしゃるんですよね?」

「はいいいいいいい?」


 背の高いスレンダー眼鏡前髪ぱっつんさんが悲壮な表情で続けたけど、え、それ、誰のなんの話?

 少女小説とかだったらよくみかける設定だけど、本人が望んだとしても婚約者使用人にして働かせる貴族男はやめとけ? ってわたしなら言うな。

 いや違う、落ち着いてわたし、そんな事実はない。


「私たちなんの力にもなれないし、でも黙っているのもつらくて。せめて愚痴くらいは聞けたらって思ったんです」

 

 最後に、小柄ショートカット栗毛のお目々まん丸な彼女が言って、こちらの返答を待っているようだった。

 いやいやいや待って。本当に待って。

 いくらなんでも予想斜め上すぎる展開が起きると頭まったく回らないんだな、これなら圧迫面接尋問のときの方がまだ余裕あったよ! わたしに!


「…………あの、大変申し上げにくいのですが、そのような事実はありません。わたしはセルヴィス様と婚約していませんし、こちらで働かせて頂けるようになったのはマリエル様の口添えがあったからです」


 いやいやいや、そう言うようにって強要されてるんですねわかります。みたいな生ぬるい目線はやめてください! マジで!!

 いいんです、いいんです。わかってますから。

 そんな声すら聞こえてくるような気がしているけれど、なにもわかってないんだよなーー。


「私たち、リディーナさんが屋敷にいらっしゃる前日に、客間を一つ妙齢の女性用に整えていたのです。けれどその部屋は使われることなく、リディーナさんが新たな使用人として雇われました」

「来客の予定がなくなってしまったとも考えましたが、同じタイミングで急遽雇い入れられたリディーナさんを見ていて気がついたのです」

「あの部屋を使うはずだったのは、あなたなのではないか。と」


 うううんんんんん、そこだけ正解だなああああ。

 めちゃくちゃに渋い顔をわたしはしていたと思う。

 漫画で言えば顔のパーツを中央に寄せた上で口をギザギザにするような。


「仕事のあと、度々居住スペースへ足を運んでいらっしゃるのも、せめてもの逢瀬をセルヴィス様とされているんだと思ったのです」


 なーるほどなー。

 散りばめられた疑問やヒントをつなぎ合わせるタイプの解釈、とても理解出来るけど実際にやられると困るな。実際の人物団体にはやらないようにして欲しい。ナマモノの場合ご本人の耳に入らないように。

 いや違う、ここは現実逃避をする場面ではない。

 これ、どこまで話していいんだろう。

 前世のことは話せないにせよ、ある程度納得してもらえる形での説明はきっと必要だ。吹聴なんてされたら、それこそ目も当てられない。

 とはいえその辺り打ち合わせもなしに勝手に話を作るのもちょっと憚られる、マリエルちゃんのこととかどのくらい明かしていいかもわからないし。

 おたく、仲良くなった人の個人情報伏せがちなのよ。


「……気にかけて頂けるのはとても嬉しいです。けれど、わたしの口からみなさんに説明することは出来ません、出来ませんが、本当に違うんです」


 結果、こんな説得力もなにもない「言えません」になってしまった。

 マリエルちゃんとどっかで偶然出会って仲良くなった結果雇ってもらいました? 無理でしょ。普段の様子を見ていて思うけど、彼女はめったに外出をしない。しても一般人設定のわたしとの出会いはない。

 かといって言葉を重ねたところで空虚だし、下手なことを口走るなら沈黙するしかないんじゃないのか。そう、腹をくくったときだった。


「ごめんなさい、リディーナさん。わたしたちリディーナさんを追い詰めたいわけじゃないんです、ただ、もしなにか悩んでいることがあるなら、話を聞くことくらいは出来るんじゃないかって、そう思っていただけなんです」


 前髪ぱっつんさんがそう言って、他のふたりがコクコクと頷く。

 あーーーー、いい子ーー。

 言い分を信じるならだけど、間違いようもなく彼女たちは善人だ。

 根拠もまあ、ある。

 ヒソヒソされていたのはまあまあ居心地悪かったけど、今の話を聞くにどうする? 話聞きに行っちゃう? 的なやりとりだったんだろうって想像も出来てしまった。

 この場合、それが逆に厄介な事態を呼んでるけど。

 正真正銘の十代、わたしの常識に照らし合わせれば女子高生かそれよりちょっと上くらいの女の子たちであるなら、そういうのもあるだろう。感情と欲求と正義感が暴走してしまうような、大人になってから一呼吸置けばよかったと後悔で頭を抱えちゃう感じ。

 それがことごとくわたしの感情とかみ合ってくれないだけで。

 

「――ありがとうございます、みなさんのお気持ちは、本当に嬉しいです」


 これは、心からの気持ち。

 気遣われること、優しくされること。

 そういうのは、ずっとなかったので、想定外の勘違いさえなければ嬉し泣きすらしていたかもしれない。


「ただ、本当にわたしはただの使用人として雇い入れてもらっただけで、みなさんが思うようなことはなにもないのです。だから、これまで通りでお願いします」


 よし、現状言えるのはこれだけだ。

 後はもう上に申し送りして対応を丸投げしよう。

 ぺこりと頭を下げたわたしに三人はなにか納得したように頷きあって、それからわたしに向き直った。


「わかりました。でも、なにか、なにかつらいってなったらいつでも言ってください。こういう風に言うのも不敬になるのかなって迷ったんですけど、私たちここで働かせてもらったとき仲間が、友達がいたから、つらいこととか乗り越えてこられたんで。……だから、あの、リディーナさんとも、いつか、そうなれたら嬉しいです」

「――」


 それを三人のうちの誰が言ったか、正直覚えていられないくらいには胸に刺さった。

 失礼しますと礼儀正しく頭を下げて、まだ仕事があったのか去って行った三人の足音が聞こえなくなるまでたっぷりその場に立ち尽くして、わたしはよろよろと部屋に入るなりその場にしゃがみ込む。


「…………なにやってんだ、わたし」

 

 明かりもつけずに部屋の中でひとりごちる。

 なんというか、ずっと宙に浮いていた足が地面についたというか、リディーナという少女の人格があまりにも希薄で、わたしという前世の濃い記憶がずっと自分の中を占めていて、気がつかないまま今日まで来てしまったこと。

 一月前、セルヴィス様と出かけた日に一瞬心を覆った空虚。

 現実逃避みたいなものだろうか、それともやはり夢の中にいるような心地なのか。我がことながらわからないけど、多分わたしは前世の記憶を得てから今日まで、リディーナという人間が自分とイコールだっていう感覚がないまま来ていた。ように、思う。

 そもそも、わたしが知ってる前世のわたしはもうこの世にいないのに。

 わたしはもう、リディーナなのに。

 彼女に対してわたしはずっと他人事だった。

 だからこそ今日まで正気でいられたのかもしれないけど。

 自立したい、自立したいと言いながら、それ以前の問題だったんじゃあないのか。


「あーーーー、よくない。これはよくない」


 現実逃避が必ずしも悪い訳じゃあないけど、いま現在わたしはリディーナという女の子で今生を終わらせるまではそのままだ。この世界の平均寿命はしらないけど、まだまだ生きていかないといけないのに、このていたらく。

 いま、わたしは、ここで生きてる。

 呼吸をして、楽しみを見出して、たまに嫌な思いもしながら、生きてる。

 ――生きて、いくんだ。


「――っ、うっし!」


 ぱちんと両の頬をてのひらで張って、気持ちを切り替える。

 地に足をつけよう。

 リディーナとして生きていく覚悟を、決めよう。

 お客さんのような気持ちでこの世界にああでもないこうでもない言うんじゃなく、人と関わって、もしも可能なら誰かと一緒に笑って手をつないで生きていく覚悟だ。

 その相手は、いま脳裏をよぎった人とは別の人になるけど。

 部屋の明かりをつけて、身だしなみ確認用には使っていたけれど、客観的に姿を確認するばかりだった姿見の前に立つ。

 薄い茶色の長い髪の毛、前世ではありえない緑色の瞳。

 肌は白いし線も細い華奢な少女がそこにいた。

 これが今現在のわたしである。


 「……リディーナは、いまどうしてる?」


 わたしという人格が表に出てから、すっかり存在が希薄になってしまった女の子に問いかける。

 部屋でひとり膝を抱えて時間が過ぎるのを待つばかりだった少女は、いまもここにいるのだろうか。それともすっかりわたしに塗り替えられてしまったのだろうか。

 自分のことなはずなのにわからない。

 だから、これから向き合っていかないといけないんだろう。 

 鏡に映った『わたし』に触れて一呼吸。

 なにをどうすれば正解かなんてわからないけど、考えるよりはなにかをしたくて、逸る気持ちのまま部屋を出るべくドアを押し開いた。

 

「――え、サラ先輩?」


 一歩踏み出すよりも真っ先に視界に入ったメイド服、背の高い無表情の女性は尊敬すべき上司である。

 彼女はノックでもしようとしてたのか、左手をあげた姿勢でわたしをじっと見下ろしていた。

 わたしの呼びかけにサラ先輩はなにも言わず、じっと観察するようにわたしを見つめるばかりで。

 結局、先に口を開いたのはわたしだった。

 

「……ええと、なにかありましたか? どこかで欠員が出たとか」


 仕事での呼び出しとかであるなら、まだ着替えてすらいないので即対応可能だ。

 あの三人とは顔を合わせるかもしれないけど、気まずさを感じているわけでもないし。

 けれどそうではなかったようで、先輩は首を左右に振った。


「マリエル様よりあなたに変わったことがあれば気をつけるよう言われておりましたので」

「変わったこと」

「先ほど、三人に囲まれていたでしょう。彼女たちが立ち去った後に空気がこわばっていましたので」


 つまり三人とのやり取りをみられていたというわけか。

 ……どこから?

 わたしの部屋は一番奥まった廊下の突き当たりにあるし、廊下は曲がり角こそあるけどそこまではそれなりに距離がある。しかもあの三人が戻るときに通っているんだから、サラ先輩がそこにいたのなら挨拶などのやりとりが発生してるはずだ。

 聞こえなかった可能性だってあるけど、物陰からこっそり窺っていました。みたいな話しぶりでもない。

 

「………………」

 

 いや、そこを深く考えるのをやめよう。

 異世界転生だって魔法だってある世界だもの、なにかしらの手段がきっとあるんだろう。

 そう自分を納得させたそのときだった。

 サラ先輩の表情が厳しいものに変化して、廊下の窓を開く。

 その直後、屋敷から轟音が響いた。


「っ、なに地震?」


 咄嗟に避難経路を探して目線を動かそうとした瞬間、視界が大きく揺らいだ。


「っえ、なに、え? えっ?」

「舌を噛まぬよう気をつけてください。マリエル様が魔力暴走を起こしているようですので、このままあなたをお連れします」

「マリエルちゃんがなんですか?」


 その問いに対する返答はなく、視界がまたぶれた。

 開いている窓、身を乗り出す動きをしているサラ先輩。

 そこから導き出される次の行動を答えよ。


 いやいやいやいやいや、嘘でしょ待って待ってそれは無理。



「サラ先輩! おろ、おろして、おろしてくださいっ!!」

「申し訳ありませんが、マリエル様の一大事ですので」


 こちらの主張にぴしゃりと返したサラ先輩に、いつかのセルヴィス様の彼女はマリエルちゃん専用みたいな言葉がよみがえる。

 いや、待て、回想モードに入ってる場合じゃない。

 思ったときにはもう、身体全部が浮遊感に包まれていた。


「っ――」


 息が詰まる、心臓が嫌な音を立てた。

 おっそろしいほどの安定感で俵担ぎされているわたしに抵抗など出来るわけもなく、そのまま二階からノーロープバンジーに似た体験を余儀なくされたのだった。


 人間、本当にこわいときって、身体がこわばって悲鳴すら出ないんだね。

 そんなこと、実感を伴って理解したくなかったよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ