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05 はあああああ、しあわせすぎる。生きててよかった……


 真っ白なプレートの上に幸せの象徴とも呼べる真っ白なクリームが添えられているのは、三段重ねのパンケーキフルーツ添え。

 文字が羅列されただけのモノクロメニューでは、量も見た目もわからなかったし、たくさんは食べられないと遠慮するわたしにセルヴィス様が半分以上請け負ってくれることを確約してくれたので、注文することが出来たものだ。


「ふおおおおおおお」


 これは大変素晴らしい造形であると感激していれば、給仕してくれていたカフェの奥さんがにこにこと笑ってくれた。

 

「そんなに感激してもらえるとわたしも嬉しいわ。あ、取り分け用のお皿はこちらに置いておきますね、ヴィスくん」

「ああ、ありがとう」


 微笑ましいものをみるような顔で奥さんはもう一度わたしをみると、ゆっくりしていってねと声をかけて離れていく。

 町の中をあちこちと見て回って、休憩にと誘われたカフェはいろんな赤で彩られたレンガ壁の可愛らしい外観で、わたしたちは店内ではなくウッドデッキで作られたオープンテラスの席へと案内されていた。

 表の通りに面してはいるけれど、間に緑地帯ともいえる芝のスペースがあって距離があり、他のお客さんとも離れているため気兼ねなく会話が出来そうだ。

 いや、でも、なんかやたらとチラチラされてるな?

 カフェ内の少し離れた席の老夫婦とか、あっちの通りをお母さんに手を引かれてるこどもさん、指さしてきてません? しかもピンポイントでこっちに。

 思ってセルヴィス様をみるけど、特に気にした様子もないようだ。


「失礼しますね」


 不思議に思っていたら、またもや奥さんがやってきた。

 テーブルの上にはすでに注文したパンケーキがひとつと、わたしたちそれぞれの紅茶が並んでいるけれど、中央に置かれたのはシンプルなクラフト用紙みたいな包装紙でくるまれ、青いリボンで巻かれたなにか。


「これは?」

「可愛らしいカップルさんにサービスすることになっている、当店自慢のチョコチップクッキーとバタークッキーです」


 そっと耳打ちされた言葉にわたしはその場でひっくり返るかと思った。

 え? カップル?


「えっ、いや、わたしたち」

「いいんですいいんです、もうね、せ……ヴィスくんにはいろいろ町のみんながお世話になってるし、こんな可愛い女の子と一緒にいるところもはじめてでね、だから、大丈夫よ」


 カップルではないという否定すら有無を言わせない笑みで封じられ、セルヴィス様の方をみればカップル云々が聞こえてなかったのか妹の土産にしようとか呑気なこと言っていらっしゃる。

 ていうか妹って、あなたお忍びで来てる自覚あります?

 そこまで思ってはっとした。

 そういえば、さっきの紙屋のおじさんとかも意味深なこと言ってましたよね。


 ――ちょっと抜けてるところもあるけど、仕事は真面目だしいいやつなんだよ。


 これ、領主さんの屋敷に勤めてる庭師見習い設定の青年に言うにはちょっと不思議だなって思ったのよ。

 気づいて周囲を見渡せば、あらあらうふふと言わんばかりに優しい温度の目線たち。

 そういえばセルヴィス様外見は取り繕ってるけど立ち振る舞いなにも変わってないわ。しかもこどもの頃から住んでいたなら、こうやって町に出てきていたのなら、正体がバレバレでも不思議ではない。……というか、バレるわ。

 思って奥さんに視線をやれば、困ったように眉を下げてしーと内緒のポーズ。

 あ、はい。

 なんだかんだ、この若き領主さまは町の人間たちにも愛されている。そういうことで納得しようとわたしも腹をくくった。

 どう誤解されたって実害はないし。

 真面目な話をしているときと、いまとのギャップとかがちょっと可愛くみえたなんてことはない。断じてない。

 二次元で好きな男性のタイプは筋肉マッチョの包容力と父性と兄貴力にあふれた男性だけど、次点でへたれわんこにも弱い。なんてことを思い出してはない。ないったら。

 では今度こそごゆっくりー。なんて離れていく奥さんを見送って、改めて雇用主様をみる。

 うん、大丈夫、目隠れ系イケメンではあるけどわんこには見えない。


「ここはそこまで大きな町ではないが、住民は親切で美味いものを出してくれる店ばかりなんだ。出来れば、あなたにも気に入ってもらえると嬉しい」


 サービスされたクッキーの包みを、目を細めて優しい笑みを浮かべながらセルヴィス様が言う。

 本当にこの町が好きで、大切なんだってわかる。

 初対面のときの冷たい無表情が嘘のようだ。

 

「そうですね、まだわたしはこの町のことも世界のことも全然しらないですけど、今日少し歩いただけでもなんか楽しいですよ。お店の人も親切で、それは多分ここを収める領主様の人柄がいいからかなって思いました」

「…………」


 わざと悪戯っぽく笑って言ってみれば、お行儀悪く手の中のフォークを左右に振ったセルヴィス様がその先端をテーブルの上のパンケーキに向けた。


「――冷めるぞ」


 わかりやすい話の逸らし方ではあるけど、そんな掘り下げて話したいわけでもない。やっぱり臆面なく人を褒めるのってなんか照れるし。そう思うとマリエルちゃんの賛歌は我がことではあるけどすごいな。

 なんて思いつつ、わたしもそれに乗っかることにした。

 やぶ蛇になりそうだし。

 

「……じゃあ、すみませんけど、半分、いや、三分の二くらいお願いします」


 フォークとナイフをぎこちなく使いつつ、少し薄くて綺麗な焼き色のついたパンケーキを切ってお皿に取り分ければ、セルヴィス様がそういう約束だからなと真面目ぶった表情で返してくれる。

 なにせわたし食べられる量が少ないので、カフェに入る入らないの押し問答の結果セルヴィス様に食べられない分を押しつける形になってしまったのだ。

 ……押しつける。は、よくないな、わたしの気持ちとしては食べられるんなら全部食べたいし、本当は他の味だって試したいんだから。


「とはいえ、本当にそんな量で足りるのか? マリエルでもまだ食べるが」

「あー、はい。こどものときからずっと質素な食生活を強いられていたせいか、あまりたくさん食べられないんです。これでも多少は改善出来たんですが、今日はまだ食べ歩きしたいので」


 答えつつ、湯気が立ち上るパンケーキをぱくりと頬張る。

 っ、美味しい……!

 バター香る生地は薄くてもちもちしっとりで、大変わたし好みだった。


「はあああああ、しあわせすぎる。生きててよかった……」


 ほっぺが落ちるとはまさにこのことだと思いながら、噛みしめるようにゆっくりと咀嚼しては飲み込む。生地は甘さが控えめで軽いクリームとの相性もばっちりで、本当、いま、わたしは自由でしあわせなんだなって思えてしまう。

 長らくいろんなことを我慢した甲斐があった。

 静かなばかりで無為に過ぎていく部屋の中で、膝を抱えてじっと息を殺していた日々。

 静かに心が死んでいくようだった。

 空っぽで、なにもなくて、なにも――。


「それで、この後だが」

「っ、ぅあ、はいっ!」

「…………どうした急に」


 不意に賭けられた声に慌てて姿勢を正してしまったのは条件反射。

 びっくりした様子のセルヴィス様に、そうですよねわたしも驚きましたとは言わない。言えない。


「いや、なんでしょう。パンケーキ美味しすぎて多分ちょっと意識飛んでました」


 へへっと軽く笑みこぼしてみせて、残りのパンケーキを食べる振り、いや、食べる。食べるんだけど、食べることでセルヴィス様の微妙に納得いってなさそうな視線から逃げる。

 さっき、一瞬だけ浮かんだイメージに心臓がばくばくと鳴っていた。

 ひとりきりの生家の部屋の中、質素なベッドに座り込んだときの自分の小さなつま先。

 意識が暗転していくときのような消失感、喪失感。

 それって、どういうことかしら?

 なんて、誰に聞いたって答えが返ってこないのはわかるので、自分の中に落とし込む。


「なら、もう少し何か頼むか? 俺の分もまだ手をつけていないから戻すことも出来るが」


 あ、誤魔化されてくれた。

 直感的に気づいて、でもそれに気がつかれないように笑う。


「いいえ、なんだかんだちょっと物足りないくらいが、適量だと思うんです」

「ならいいんだが」


 郷に入っては郷に従えなのか、大きな口でパンケーキを平らげたセルヴィス様はすまし顔で紅茶に口をつける。

 シンプルなものが好みだと言ったわたしに合わせた、お店独自のお茶の葉を使ったストレートティ。

 ダージリンを思わせるような、懐かしい味だった。


「――ヴィスさん、もう少しこの町を見て回った後、もしよかったらなんですけど」


 町を歩きながらちょっと思いついたことがあったので、ダメ元で聞いてみた。

 忙しいであろう人の時間をこれ以上使わせるのも申し訳なかったので、断られたら次の機会にか、一人で歩き回れるようになったら。と、思ってはいたんだけど。



 

「……まさか、帰りに町を見晴らせる高台に行きたいと言われるとは思わなかったな」

「あははー。すみません、町を見て回って人とお話したりしていたら、全体像がみてみたいなって、そう思ったんです」


 この町の全体がみたい。

 そんなわたしの申し出に目を丸くしたものの、セルヴィス様は二つ返事でOKをくれてカフェの後いくつかの屋台を巡ったその足で、わたしたちは町全体を一望できる丘の上へとやってきた。

 小さい町であると領主であるセルヴィス様は言うけれど、わたし基準ではそれなりに大きな町なんじゃないかしらって思うのだ。噴水広場を中心に四つに分かれた大通り。そのどこにも用途に分かれたお店が軒を連ねていて、前世に住んでいた街の商店街だってもう少し慎ましやかだったように思う。

 逆に、本当の都市部ってどんななんだろうなって気になってしまった。もしも行くことがあってもお上りさん間違いなしだし、出来れば田舎でひっそりと暮らしていたいけど。

 屋敷に戻る途中の道を逸れてしばらく歩いた先にある丘の上、町と屋敷と両方がみえるところまでやってくる頃にはさすがに息も上がるし汗ばんでしまっていた。

 そういえば、いまは秋なのだろうか、春なのだろうか。

 遠くの山々は紅葉こそしてないけど、体感的には秋かな? って感じではあるけれど。

 背丈の高い草も木もない草原の上からみると噴水広場を中心に広がっている町の様子がよくわかる。太い大通りがそこから縦に上下伸びていて、その先には町の入り口だろう門があってちょっと前世の中華街を思い出す。

 あっちには見張りなんていなかったろうけど。


「治安がそう悪いわけではないが、ここは王都から距離のある町だからな。野盗やなんかがたまに出る」

「そうなんですね」

「マリエルも、そういうピンと来ない顔をしていたな。あなたたちがいた世界は平和なんだろうと、そう思った」

「わたしたちのいた国は、まあまあ平和でしたね。少なくとも事故や事件や病気なんかがなければ、こどもは当たり前に大人になって好きな職業を選択することが出来る。そういう国でした」


 わたしはしばらく町を見下ろしてから、先ほど頂いたペンと自由帳とを取り出した。


「それは?」

「町の全景を、大まかに描いてみようかなと。なにかに使うとかそういうのは考えてなかったんですけど、さっきカフェでわたしにとってははじまりとも言えるこの町を、描いてみたいと思ったんです」


 あ、このアングル。異世界乙女ゲームの説明書きとか世界の成り立ちが書いてそうだな。なんて、こっそり思って笑ってしまった。

 新しい紙もペンも使いにくさは感じなくて、少しずつ描いていって昔の感覚を取り戻せたらなと思う。

 やっぱりちょっと、昔に比べたらぎこちなさはあるから、数を描いて脳内の自分絵とのギャップを少しでも埋めていきたかった。


「これは、仕事とは別のことだし無理なら断ってくれても構わないんだが。いつかあなたのいた世界も絵に起こしてもらえないだろうか」

「構いませんけど、マリエルちゃんの前世のことをわたしはなにも知りませんよ?」


 手を動かしながら町の全体像を書き込んでいけば少しの間。

 がっかりさせてしまっただろうかとセルヴィス様を見遣れば、なんとも言えない表情がわたしを見下ろしていた。


「あれ、違いました?」

「……そこまで考えてはいなかった。もちろん気にならないわけではないが、俺がマリエルと過去を共有出来るわけでもないから、ただの好奇心だな。カコモチの存在は知っていたが、マリエルがそうとわかるまで関わったこともなかったし、マリエルはまだ幼いからか断片的にしかその説明を出来ず上手く汲んでやれないことが多くあって」

「……ああ」


 初めて出会った日、マリエルちゃんがセルヴィス様が自分がカコモチであることに懐疑的だと言っていたのを思い出す。

 あれはもしかしたら、伝えているつもりのことが上手く伝えられていないもどかしさや悔しさが、言わせてしまった言葉なのかもしれない。セルヴィス様が真剣に耳を傾けていたことに気がつけないくらい、幼いマリエルちゃんの心に影を落としてしまったのかもしれない。

 だってこの人は、わたしに対してさえこんなにも真摯だ。


「空を飛ぶ鉄の塊や、山よりも大きな建造物があるんだろう?」

「想定してる山のサイズにもよりますけど、まあ」


 ここからみえた町の全景を描き切ったら、ページを変えて今度は真上からの全体図だ。フロアマップではないけど、自分でいくときにはきっと役に立つ気がしたから、記憶が新しいうちに色々と書き込んでいく。

 広場のたこ焼きに似た食品を扱っていた屋台は、中身がベーコンとチーズで、それはそれで美味しいけどちょっと残念だったな。雑貨や食器なんかを扱うお店が集中していた通りはさらっと抜けてしまったけど、店先に立っていた女の子が可愛かった。セルヴィス様とわたしを二度見して、手に持ってた商品落としてたけど大丈夫だったのかしら。


「へえ、たしかにこういう案内板が町の入り口にあれば、初めてやってきた旅人にもわかりやすいかもしれないな」


 描いてるものを覗き込んできたセルヴィス様が、ここは通っていないが宿屋や飲み屋が集まっている。なんて注釈を加えてくれる。それは見た景色をそのままとかじゃなく、自分が歩いて町の人と触れあってきたエピソードを添えて。

 この店の店主は甘味が好きでよく店を空けては広場の屋台に顔を出すとか、ここの夫婦には三人のこどもがいてよく喧嘩をしているとか。ここの娘さんは将来ボートウェル家で働きたいと言ってくれているとか。

 マリエルちゃんに対するものとはまた違うけど、優しくて温かい言葉で語る様は本当にここを愛しているんだなって伝わってくるものだった。


「……さっきの話題蒸し返すようですけど」

「うん?」

「やっぱり、セルヴィス様が領主でこの町の人しあわせだと思います。この世界のことわたしはなにも知らないけど、自分たちを統治する人が愛情を持ってくれていることって、多分、すごく嬉しいことだと思うから」


 もちろん愛情だけじゃ駄目だろう、それだけじゃお腹だって膨れない。

 でも、一緒に頑張ってくれようとするんじゃないかなって思うんだ。あの町の人たちは。

 たった一日歩いただけでそんな風に思ってしまうくらいには、なんだろうな、町の空気が優しかった。


「わたしも、成り行きみたいにお世話になってしまってるけど、これからも誠心誠意お仕事させてもらいますね。出来ることは少ないですけど」


 その合間に、マリエルちゃんに気に入ってもらえるかわからないけど絵くらいは教えてもいいかもしれない。同人誌初心者のためのはじめての印刷所利用講座だの、お絵かきメイキングだのをやったこともあるし。

 長い前髪と分厚いレンズの向こう側で少しだけ呆けたようにわたしを見ていたセルヴィス様は、変装姿であるヴィスさんの姿のまま、そっと手のひらを差し出してきた。


「ああ、よろしく頼む」


 直感的に握手を求められていると理解して、拒否する理由もなかったので、そっと指先だけを重ねるようにすればぐっと強く握られた。

 熱くて、固い手だ。


「マリエルの神様だという君にそう言ってもらえると、心強い」

「あはは、橋渡しみたいなことはちょっと難しいかなと」


 マリエルちゃんの気持ちもあることだし。

 言外に伝えれば心得ているとばかりに頷かれた。

 

「そんな風に、出来ないことはきちんと伝えてくれようとしてくれる、マリエル自身の気持ちを尊重しようとしてくれるからこそ、君を受け入れることを決めたんだ。そうでなければ、いくらマリエルがどれだけ泣いても適当なタイミングで理由をつけて国預かりになるよう手配をしていた」


 わずかにすまなそうに落とされた視線は、わたしたちのつながったままの手を通り過ぎて足下に注がれている。


「それでいいと思います、というか、そうでないと困るというか」


 わたしの言葉にぱっと視線をこちらに向けたセルヴィス様は、もしかすると人の上に立つには優しすぎるのかもしれない。なんて、大規模戦争ものジャンルで軍部の上層部に身を置いていた過去の推しの一人に思いを馳せてみたりして。


「わたしは、あなたたち兄妹とは無関係の他人です。たまたまああいった形で出会って、マリエルちゃんの過去と重なる部分があるだけで、本来ここまで面倒をみてもらうような立場じゃないことを理解してます。生まれや育ちに関してだって、わたしがカコモチでなければそこまで問題視されないでしょう?」


 この国の価値観はわからないけど、優しさだけで世界は回らないこともしってる。

 そっと逸らされた黒色の瞳が答えだ。


「なのでまあ、マリエルちゃんがもう少し大きくなるまでか、あなたたち家族やこの町に迷惑をかけない範囲で、今後ともよろしくお願いしますってことで」

「――……君は」

「はい?」

「いや、俺も出来るだけ君に愛想を尽かされて出て行かれないよう努めよう。家で預かることになったとはいえ、こうもいろいろなアイディアや技術を持っているとしれれば引く手数多になりかねないからな」


 もう一度だけ強くお互い手を握り合って、離す。

 てのひらに移った熱が名残惜しく感じるだなんて、ちょっと勘弁して欲しかったけど、うん。


「就職予定先が多いのは大歓迎ですけど、いまのところはセルヴィス様のところが一番ですよ」


 わざとおどけて笑って、自由帳を畳んだわたしは先に立って歩き出す。

 胸に灯る小さな予感に全力で目をそらしながら、休みにはならなかった今日一日だけど、なんだかんだでとても楽しんでしまった。なんて、一日を振り返りながら。


「じゃあそろそろ戻りましょうか。色々試しに描いてみたいので」


 青く透き通った空と草原と、遠く見える町並み。

 そういうものの前に立ったセルヴィス様は、目隠れ変装姿のままでも文句なしにイケメンで、うん、目の保養だななんて胸の奥に灯った熱を萌えへ変換する努力をしながら、わたしはくるりと彼に背を向けた。

 

 

 

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