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06 お二人とも、理想的な反応をありがとうございます



 場所が用意されてしまった上にお裾分けからも逃げられなかったけれど、決まってしまったものは仕方がないので腹をくくって調理を開始しようとしたところで、いくつか問題が浮上してしまった。


「というか、女子寮のキッチンにある食材を利用しようと思っていたので材料が足りないんですよね。あと、せっかくマリエルちゃんに用意してもらった服、汚してしまうのも嫌だなって」

「でしたらお任せください! あたし、サラに言って必要な材料とエプロン用意してもらってきます!」


 どーんと胸を叩いたマリエルちゃんが呼ぶよりも先に、そこに待機していたサラ先輩にはもう驚きませんけども。

 お好み焼きに必要な材料というか、どういうものかを口頭で説明しつつ現地人なら多少の無茶ぶりもいけるかも? と、あれこれ言ってみたらかしこまりましたと即答されて、さすがに山芋や顆粒だしはないだろうと思いつつ待ってみれば、百点満点の材料が作業台にあがってしまった。

 さすがに頼むのは気が引けたのでやめたけど、もしかしてイカとかエビとか頼んだら類似品がいけたのかもしれない。なんて、ついうっかり考えてしまったのは許してください。

 前世でも簡易版お好み焼きは作っていたものの本場の人には絶対怒られるレシピだという自覚はあって、でもここは異世界なのだからと自分流でいかせてもらうことにした。

 尊敬する料理研究家が美味しければ手順やなんかは自分にやりやすく変えてしまっていいって言ってたし。

 懸念ははじめて使うキッチンであるということだな。

 一応材料を待つ間にコンロの使用感とかは確かめてみたんだけど。


「あたし、家で作るお好み焼きってはじめてです」

「だいぶ簡単にしたものだからあくまでお好み焼き風って感じだけど、小麦粉に出汁入れてキャベツと混ぜて焼いてソースとマヨネーズかけたらそれっぽくなるよ」

「わー、やっぱり手際いいですよね。前世では一人暮らしもされてたんでしたっけ」

「いやでもやっぱ火加減調整難しいし鉄のフライパン慣れない……テフロン加工の発明を急いで欲しい。ソースはともかくマヨネーズ、生クリーム絞るやつで代用させてもらっていいかな…」

 

 わたしが料理作ってるところなんて細かく説明してもどうしようもないので、こんな感じでつつがなくお好み焼きは出来ました。お口に合うかどうかは別にして。

 真っ白な大きめな丸いお皿にみっつ、三ツ口コンロのおかげでほぼ同時に出来上がったお好み焼きが三人分並んでいる。材料を使い切るつもりで作ったので、一個一個が大きくて食べきれるか一瞬不安になったけど、ちょっとずつ食べればなんとかなるといいな。頑張ろう。

 部屋に持ち帰るわけにもいかないもんな。

 昨日一日過ごして知ったんだけどマリエルちゃんは小さな身体で意外とたくさん食べるので、きっとよほど不味くなければペロリと完食してくれるだろう。

 なんでも魔力量が多いとその分食欲も出るらしくて、とても、とても羨ましくなりました。

 この身体いまだに量を食べられないの、魔力がまるでないことも影響している気がしてきた。質素で少ない食事での軟禁生活もそれで乗り切れたんならありがたいけど、自由を手にした今はとてももどかしい。

 そんなことを思いつつ作業台をそのままテーブルとして使うよう椅子を並べて、何度も何度も味の保証はしないと連呼しながら配膳したわけだけど、自分の適当料理を振る舞うのはやっぱりなんとも言えない気持ちになる。

 見た目だけはそれっぽくしたけれど、匂いもお好み焼きだけど。


「うわあああああ、お好み焼きだ。もう食べることないと思ってたから嬉しい。しかもリディーナさんの手作り。嬉しい」


 正面のマリエルちゃんが語彙力をなくしたおたくみたいな喜び方をしてくれる一方で、その隣で見慣れぬ食べ物を前にしてるだろうセルヴィス様をちらりと窺う。表情から嫌悪感は見えないけどこの人ポーカーフェイスくらいはお手の物だろうし。なんて、疑う気持ちも出てきてしまう。


「リディーナ」


 呼びかけられ、お皿をこちらに寄せられてしまう。

 あ、やっぱりここは戦略的撤退をされるわけですねわかります。ちょっとのショックを呑み込みつつセルヴィス様のお皿を引き取ろうとすれば、不思議そうに首をかしげられた。


「君にその量は多いだろう? 食べられない分を俺の皿に移してくれてかまわないぞ」

「え、あ、そういう?」

「そういうもどういうもないだろう。俺は君の手料理が食べたいと最初から伝えていたぞ」


 なんでもないような顔で言われて、ひっそりと反省する。

 見くびるなと言外に告げられたような気がして。

 もちろんセルヴィス様の態度に責める様子はないし、なんなら優しく微笑んで仕方がないな言ってるようでもあったし、わたしがひとりで勝手にそう感じているだけなんだけど。


「――失礼いたします」


 セルヴィス様のお皿に自分のお好み焼きの半分ほどを乗せたところで、ギルバートさんが一礼して入ってきた。

 ぴんと背筋を伸ばしたナイスミドルの登場にときめく間もなく、セルヴィス様に何事かを耳打ちをする。


「すまないが、このオコノミヤキは別室で頂くことにする。ふたりはゆっくり食べてくれ」

「えっ、あ、いってらっしゃいませ」


 さっと立ち上がったセルヴィス様がわたしの目の前からお皿を取り上げて、キッチンから出て行くのをわたしとマリエルちゃんはふたりで見送って、それからお互いにみつめあう。


「気にしなくても大丈夫ですよ。なにかあったんだとは思いますけど、よくあることなので」

「そうなの?」

「はい。お兄様、食事はなるべくあたしと食べるようにしてくれますけど、そう出来ないことも度々あるので」


 あっさり告げたマリエルちゃんはお好み焼きを一口食べて、薔薇色ほっぺを抑えてにこにこ笑った。


「リディーナさん、これ、美味しいです! お好み焼きです! 嬉しい! 涙出ちゃう」

「そう言ってもらえたならわたしも作った甲斐があったな。わたしこそ食べてくれてありがとうね」


 ちょっとだけセルヴィス様の反応もみたかったかな。

 駄目でもよくても、きっとあの人はなんだかんだで笑ってくれるんじゃないかなって。

 そんなことを考えつつわたしもお好み焼きを一口食べて、熱くて舌をやけどしてしまったのは、まあ、余談である。

 

 

 

 そんなお好み焼き騒動から二日ほど経ったけれど、セルヴィス様とは顔を合わせていない。

 マリエルちゃんも会っていないらしくて、やっぱり忙しいんだなあといった感じだ。

 あの日からわたしは通常業務を午前中だけこなして、午後からはお勉強をさせてもらうことになっていた。なんと家庭教師はギルバートさんである。優しい。目の保養。最高。

 なにか知りたい事柄はありますかとのことだったので、先日気になった地理的な話を聞くことになったわけです。

 マリエルちゃんと一緒に。

 そう、マリエルちゃんと一緒にです。

 教師を招いて座学をするためにあるらしい部屋に結構ごつめな木彫の机をふたつ並べて、正面にはホワイトボードのようなものを背にしたギルバートさんがにこやかに立っている。


「どうしてマリエルちゃんも?」

「復習をしよう月間を個人的にはじめたんです」

「……復習をしよう月間」


 完全にこちらの戸惑いを笑顔で黙殺するつもりらしく、マリエルちゃんの言葉を繰り返しただけのわたしに元気よくそうなんです! なんて答えてくれた。

 うん、可愛いは正義。

 ギルバートさん的にも問題ないようだし、まあ、いいのかな。

 

「では、マリエル様、リディーナ様、はじめましょうか」

「はいって、えっ」



 空気を読んで声をかけてくれたギルバートさんに返事をしかけて、ぴゃっと肩を跳ね上げたとしてもわたし悪くない。

 ギルバートさんと個人的にお話ししたことはないけれど、様付きで呼ばれていた記憶もない。はずだ。

 けれどこちらの戸惑いは微笑みで黙殺してさっさか授業をはじめてしまうつもりらしく、ギルバートさんは大きな紙のようなものをホワイトボードに貼りつけた。

 あっ、みんな笑顔でこっちの疑問封殺してくる構えだ。なんか有耶無耶にしてしまうやつだ。

 わかっても、わたしにはどうすることも出来ないんだろうことも、わかる。

 ので、突っ込まず大人しく授業を受けるべく姿勢を正した。


「……世界地図、ですか?」

「この世界すべてのとは言い難いですが、我が国のある大陸と周辺の島などを記した地図です。ちなみにこの地図をはじめて作ったのは、この国で初めて女性が王となった時の伴侶であると言われていて、お二人と同じカコモチだったそうですよ」

「へえ、すごい」


 しらなかったのか、マリエルちゃんがそんな声をもらす。

 地図なんてどう書くかよくわからないけど、一歩一歩大陸の縁をなぞるようにして距離を計りながら書いていったんだろうか。

 想像しか出来ないけどすごいなあって、月並みな感想しか出てこないけれど。

 

「なんでも彼はこう言ったそうです。自分はカコでも初めてその国全体を実際に計って地図を作ったのだと」

「えっ、松尾芭蕉!?」

「マリエルちゃんそれ人違い人違い!」


 あれ、違う人でしたっけ!

 そう目をぱちぱちと瞬かせるマリエルちゃんはとても可愛い。ではなくて、そうそうと頷いてみせはしたものの、あれは前世の人なのでいまさら訂正してもな。という気持ちにもなる。

 でもまあ一応、正解は伊能忠敬であるとは言っておいた。

 中途半端に放っておくのって実は一番気持ち悪いもんな。


「などというと、自分と同郷のカコモチがそういう反応をするだろう。と、仰っていたそうです。また、なりすまし対策にもなるとか」

 

 にこにこと笑うギルバートさんに顔を見合わせるわたしたち。


「一度カコモチに出会ったら試してみたいと思っていたのですが、お二人とも、理想的な反応をありがとうございます」


 あれ、ナイスミドルな印象は変わらないけど、意外とこの人もお茶目な性格をしているな?

 なんていう感想を持てたのは最初だけで、その後怒濤の知識詰め込み授業が開催されてわたしもマリエルちゃんもアップアップすることになるのは、まあ、予定調和みたいなものですよね。

 余計なこと考えなくていいのは大変ありがたいけれど。

 国の成り立ちやなんかを交えながら話される地理や歴史は大変興味深かったのだけれど、やはり耳慣れない名前ばかりで覚えるところからはじめないといけないのは大変だなと思った。

 そもそもわたし、この国の名前すらしらなかったんだから。

 ギルバートさんがしてくれた授業のなかで一番興味を引いたのは、この国初の女王様と伴侶となったカコモチさんとのラブロマンスでしたね。

 わたしのようなカコモチが身分を保証されているのも、手厚いとさえ感じるカコモチへの保護体制も、その人からはじまったんだとか。

 足向けて寝られないなあ、数百年前のひとらしいので会うことはないだろうけど。

 そもそも身分が違いすぎるからお目通りだってかなわないだろうその人は、まだカコモチというものがインチキみたいに受け取られていた時代に強力な魔力と計り知れないほどのカリスマ性を持っていた豪放磊落な人物だったらしい。

 力はあるものの嘘つき呼ばわりされていたその人を初代女王となった当時の王女様だけが信じ、自らを守る騎士として任命したとかで、ふたりでそれまでのしきたりを吹き飛ばすような新しいことをいくつもはじめ、反発する声を実力で黙らせ、政敵の罠は力によって押しのけ、そうして恋に落ちて結婚したらしい。

 というところで、今日はこの辺りにしましょうかとギルバートさん改め先生がにこりと微笑んだので、ついうっかりわたしたちは席を立ちありがとうございましたと一礼してしまった。

 いやだって、机並べて座るとちょっと学校ぽいって思ってしまったんだもの。


「それでは、私は先に失礼いたしますね。わからないところや気になったことなどございましたら、次回までにお声がけください」


 そういって部屋を出るギルバートさんを見送ってから、わたしは手元のノートと参考書として渡された書籍とを見比べた。

 

「すごいなあ、これだけで長編漫画とか描けそう」


 初代女王様とその伴侶となったカコモチとの大恋愛や冒険譚に、思わず呟いてしまった。

 なんかあれだ。

 転生した俺がチートで愛した王女と無双するみたいなタイトルでありそうなやつ。センスがないのは許して欲しい、作品タイトルを考えるのって難しくない? 前世交流のあった創作者だいたいみんなタイトルで苦しんでたと思う。


「漫画はさすがにないですけど、小説や舞台は何度もリメイクされているそうですよ。あたしも詳しくはわからないんですけど、作家さんや劇団によってあらゆる解釈がされていてるそうです」

「えっ、それはちょっと気になるかも。舞台って大きい町でやってる?」

「この辺りだと西の都、ラーフルトですね。舞台もいわゆる劇やミュージカルなど色んな公演がされてるそうです。こっちは魔法もありますし、ステージもかなり迫力があるみたいですよ」


 マリエルちゃんの解説に、ぴゃっとおたくの血が騒いでしまう。


「ミュージカルまであるの?」

「あたしも詳しくはしりませんけど、カコモチの舞台作家さんだったか演出家さんだったかが来てから、劇場で公演される内容が進化したとか」

「やはり舞台とか作っていた人は自己表現にためらいがない……! 素晴らしい!」


 教室でノートに落書きしてもみられないよう全力ブロックしていた過去を思い出しつつ、文化の広がり方って本人の発信力とかもあるよなあなんて考えてみたり。

 だって絶対おたくいるって、わたしとマリエルちゃんがいるんだから今の時代にはいなくても絶対どっかにいたって。そう強く主張したいところではある。

 異世界転生や異世界転移は遡れば名作からなにからたくさんあるので、前世は隠すものって認識のあるおたくは隠れるよなあなんて、マリエルちゃんがあの日飛び込んで来なければ間違いなく沈黙を選んだわたしも理解は出来るんだけど。


「でもギルバートさんの授業はこっちの好奇心をくすぐってくれたり、話し方が上手だったりで楽しいね。カタカナ地名多すぎてその辺りはちんぷんかんぷんだったけど」


 今日はこの国でも小さなこどもにも共通認識とされている簡単ななりたちを教えてもらった。とはいえ四角四面な授業というよりは雑学なんかも交えて、わたしやマリエルちゃんの理解度に合わせてくれているのがよくわかって、不出来な生徒で申し訳ない。みたいな気持ちだった。


「なんか、こう、国同士を擬人化してわかりやすく歴史を教えてくれる漫画とか絵本とかあればいいよねえ」


 ノートに適当な人物を描き込んで、その下に国の名前なんかを書いていく。

 この国の名前のノイハイムと描いてから、少し考えて女の子にしてみたのはさっき聞いた話を引きずっていたからだ。一人称は妾にしてちょっと勝ち気で幼い雰囲気にしてみる。

 擬人化はありとあらゆるところで人気が爆発していたジャンルだし、そういうのが入口になって人生変わったってひともいたよなあ。


「あー、いいですねこれ。あたしもこれだったら覚えられちゃう」

「お隣のサノワは、鉱業が盛んだっていう話なのでこう岩タイプみたいなおじさまとかどう?」

「……リディーナさんの好みの男性って、やっぱりこういった筋肉質でニカっと歯と力こぶをみせて笑う男性ですか?」


 じーっとマッチョ男性を描いているのをキラキラした瞳で覗き込みながら、マリエルちゃんがそんなことを言うものだから、タンクトップに見事な上腕二頭筋。……上腕二頭筋でいいんだっけか、を、描く手が止まる。


「似たようなことをサラ先輩にも聞かれたんだけど、正直二次元の好みはいくらでも語れるのに三次元はあんまりなんだよねえ」

「それは、ちょっと、わかるような。多分あたしは恋愛とかじゃなくて、家格とか相性とかみつつ嫁入り先を家が決めるでしょうし」

「ええええええ、お嫁にいっちゃうのやだーーーー。でもウエディングドレス姿は見たいいいいいい」


 がばりと机に突っ伏すけれど、わたしがどうこう言っていい話ではないこともわかってる。

 マリエルちゃんはたしかに前世の記憶を持っているけれど、貴族令嬢として教育された記憶だってしっかりその身の内にあるので、考え方もわたしよりしっかりしているように感じるときが結構あった。


「あたしも、リディーナさんのウエディングドレス姿みたいなあ。あ、お兄様とかどうです?」

「……ダイレクトマーケティングにもほどがない? 話の脈略ってあるじゃない?」

「あたしも日本に生きた現役女子高生だった記憶があるので、リディーナさんが嫌がってるわけじゃないことくらいはわかるんですよね。だったら早いところくっついて頂いて、実質どころか法的にお姉さんになってもらってもいいなって」

「えー」


 きらきらの笑顔でそう言い切ってしまうところは、なんていうか貴族の女の子っぽいな。イメージだけど。


「この間も言いましたけど、妹の贔屓目を除いても条件だけならとてもいいと思っています。この町はこの世界のどこよりもあたしやリディーナさんには優しいけど、他の町がそうだっていう保証はないから」

「マリエルちゃん」

「ていうか、リディーナさんもお兄様のこと結構好きだと思うんですけどあたし」


 ちょっとシリアスな空気を醸し出したかと思えば一転、きっぱりさらっとマリエルちゃんは言い切る。

 いや空気よ、いいんだけど。

 

「好きか嫌いかで言えばきっと好きだけど、じゃあお付き合いしましょうっていう気持ちになるかというとよくわからない」

「えっ、そんなことあります?」

「あるあるー。現在進行形であるー。理屈で言えばわたしだって、よろしくお願いしますって言えばそれでハッピーエンドですってのはわかるんだけど、自分の生活維持とか安定のために利用してるみたいにも思えてなんかいやだなーとか、余計なことをぐるぐる考えてる感じ」


 自分でも面倒くさいなと思うけど。

 そうこぼして机にべったりと懐いてマリエルちゃんを見上げる。うん、美少女。


「これでも前世では社会人だったからかな。自分でね、ちゃんと立って歩けるようになってからそういうのを考えたいなって気持ちもあるのかなあ」


 いまだってここで働けているのはマリエルちゃんがいたからで、マニュアルやパンフレットの仕事がもうちょっとちゃんと出来たら大丈夫ってなるんだろうか。

 いかんせん経験値がなさすぎてわからない。


「……あたし、大人だった記憶がないからリディーナさんの気持ちわかってあげられないけど、あたしだったら大好きな人と一緒にいられたら嬉しいです」

「そうだね。……そうなんだよね」


 マリエルちゃんの言うことはわかる。

 というか、わかりみしかない。

 

「二次元嫁相手だったら俺が養う、お前はしあわせでいてくれって思うからそういうことだなって理屈は理解出来るのに、大人になると面倒くさいね」


 リディーナはまだ十七歳だけど。


「あたしは、そんなリディーナさんも好きですよ」

「天使かな?」


 わたしのいつもの問いかけに、マリエルちゃんは眉を跳ね上げて得意げに笑って見せた。


「友達です」

 

 

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