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01 ……およめにいけない

本編からの続きのお話となりますので本編読了後にお読み頂いた方が中身がわかりやすいと思いますが、読まなくてもなんとなくで読めるような気がします。


 マリエルちゃんの魔力暴走と、セルヴィス様からのこ、こ、こく、……こくはく、めいた、あれやこれやを経た翌朝。わたしはと言えばいろいろなことがありすぎて脳みそキャパオーバーしてしまったので、諸々の寝支度をすっ飛ばし早々に布団ひっかぶって現実逃避していたらそのまま眠ってしまいました。

 最低限頭からすっぽりかぶるタイプのシンプルワンピース式パジャマ(支給品)は着たけれど、夕食もまだだったので目覚めたときの空腹感といったらなくて、夜明けより早く目が覚めてしまった。

 きゅうきゅう鳴るお腹に耐えかねて目を開き、重たい身体に鞭打ちながら自力で食べられるものを用意すべきか。だなんて、まだ夜明け前の暗い窓の外を尻目にベッドから起きようとしたときだった。

 

「っ――」

 

 ニンゲン本当に驚いたとき、サケベナイ。

 薄ぼんやりと暗い部屋の中で、真っ黒なシルエットが入り口の辺りにいた。

 脳裏をよぎったのは以前に聞いていたカコモチの末路。

 その希少性と知識の有用性から誘拐されたりなんだりかんだりで悲惨な最期を遂げた人がいたという。

 そこまで考えたとき、ぱっと部屋の明かりがついたことでわたしは人影の正体に気がついた。

 

「……なにを、してるんですか、サラ先輩」

 

 心臓がバクバクと鳴っているのを感じながら問う。

 いやもう待って、めちゃくちゃ怖かったんだけど?

 止まらない動悸を押さえ込みつつ震える声で尋ねた。

 そう、謎の犯人みたいなシルエットの正体は、昨夜いろいろなヘキや特殊技能が発覚したサラ先輩だった。いやいやいや、ていうかなんで?

 ひとりテンパっているわたしをよそに、いつものポーカーフェイスで仕事着であるメイド服を隙なく着こなしたサラ先輩は、朝礼でもしている風な顔つきである。

 まあこの人ポーカーフェイスというか、無表情がデフォルトなんだけど。

 百歩譲ってこれが廊下ならまだわかるけど、ここは鍵のかかったわたしの部屋なんですけど?

 

「おはようございます。昨夜お伝えしました通り、本日リディーナさんにはマリエル様のお相手をして頂くことになりましたので迎えにきました」

「いやいやいやいやいくらなんでも早すぎません? わたし昨夜お風呂も入り損ねてますんで出来たらご飯食べて身支度整えた後で改めて来て欲しいんですけど?」

 

 上司だけど、尊敬すべき先輩だけど、飲み込めなかった怒濤の突っ込みくらいは許してください。だって普通に怖いでしょ。鍵かけ忘れた可能性も考えたけどばっちりかけてるわ。

 

「私は有事に備えて女子寮のマスターキーを所持しております」

「いやあのこの世界に魔法があることは納得してますけど超能力とかもあります? 的確にわたしの心の声聞こえすぎじゃないです?」

 

 そんなごくごく一般的だと思う指摘に、サラ先輩はなにを言ってるかわかりませんとばかりに小首をかしげてみせた。

 なんでわたしがおかしいみたいな流れにしようしてるの!

 

「リディーナさんにはマリエル様が起床されるより先に、マリエル様の部屋で待機して頂きます」

 

 世界の常識ですよみたいな口調と表情で言われるのは、なかなかな暴論だ。

 けれどもそれを言わせてくれないのがサラ先輩という人だということは、昨日知った。

 

「って、ちょ、待っ」

 

 サラ先輩が動いた気配とともに腰辺りをがっしり捕まれる。

 あ、既視感。

 気づいたときにはすでに視界が揺れて胃の辺りを圧迫されていた。

 そう、担がれたのです。

 有無を言わさぬ実力行使に出来る抵抗がないことは、昨日の今日なのでよくわかっている。

 自分より少し背が高い女性にすんなり担がれてしまうほど体重が軽いわけじゃないはずなのに、サラ先輩は驚異の安定感でこちらの制止なんてまるで無視してわたしの部屋を出て行く。ご丁寧にも施錠までして。

 だというのに、わたしが寝起きパジャマ姿であることはまるで意に介してくれる様子がなかった。

 これ、ごく一般的な価値観で育った女の子にやったらお嫁に行けないとか言ってさめざめ泣けてしまうシチュエーションなのでは?

 わたしに限って言えば、この姿をどこの誰に見られたとしてもどうということもないのだけれど。

 …………いや、ちょっと嘘です。まるで油断しすぎた寝起き担がれパジャマ姿はセルヴィス様には見られたくないです。

 なんて、現実逃避的にあれこれ考えている間に、サラ先輩は女子寮を出てしまっていた。

 まだ暗い外をなんてことのない様子で進む足取りはよどみなくて、昨日みたいに走ってもいないのに流れる景色は早くて、改めてこの人の得体の知れなさを思う。

 マリエルちゃんに対してのみなんとも言い難いヘキを見せてはいるものの、いい上司だと思っていたのに。こんな形で振り回されることになるとは思ってもみなかった。

 なんて、現実逃避を兼ねて考えにふけっていたら急に周辺の湿度が変化した。

 んん? 湿度?

 何事だと周辺警戒してみれば、いつの間に建物内に入っていたのか、目の前には大浴場と呼ぶには狭いが一般家庭のお風呂ですと言われれば大きすぎる! と突っ込んでしまうサイズの浴場があった。

 え、高級温泉宿の室内風呂みたい。

 旅行雑誌のパンフレット知識で思って気づいた。あれ、これ、もしかして。

 

「ご安心ください。マリエル様の起床前に私が責任をもって身支度を整えますので」

 

 いやそれなんの安心も出来ないやつーーー!

 そんな叫びは封殺され、わたしは見事なサラ先輩の手腕によってきれいさっぱり洗われてしまったのだった。




「……およめにいけない」

 

 行く予定はないけど、顔を両手で覆って状況把握するのを拒んだ湯上がりのわたしが爆誕したとしても、誰にも文句を言われる筋合いはないと思うんだ。

 抵抗は! しました!

 でもそんなのそよ風が吹いてますねくらいの涼しい顔で押さえつけられた挙げ句、洗われましたよそれはもう。なんなら色々と手入れまでされてしまったし。

 ……詳細は、控えさせてください。

 バスルームの続きの部屋、脱衣所と呼ぶにはちょっと豪華すぎるし広すぎる気がしないでもない空間で、椅子に座らされたわたしは顔を両手で覆ってさめざめと泣いた。涙は本当にほんのちょっとだけ出てたよ。

 だって前世含めて物心ついてから全身洗われた経験なんてないもの。

 抵抗してもぽんぽん脱がされるのとか普通に怖かったし。

 いまは肌触りのいい若草色っぽいワンピースを着せられて、リクライニング出来る美容室の椅子を豪華にしたような椅子で髪を乾かされています。

 エステ? エステなの?

 利用したことないから想像で言ってるけど。

 

「将来的にボートウェル夫人になれば専用メイドが複数つきますし、風呂だけでなく着替えも手伝われるようになるのですから練習と思えばいいのではないでしょうか」

 

 この世界のドライヤーは静かなのでサラ先輩の淡々とした言葉も聞き漏らすことはない。ないけれど。いまなんておっしゃいました?

 

「昨夜私たちが執務室を出た後でセルヴィス様に求婚されていたでしょう」

「きゅ、きゅ、求婚は! されてないです!」

「似たようなものでは。セルヴィス様のことですから結婚を視野に入れているでしょうし、リディーナさんも憎からず思っていらっしゃいますよね」

「断定やめてください……これでも自分の気持ちにあらがってるところなんで」

「どうして?」


 本当に不思議そうに問われたけれど、こっちがどうしてだ。サラ先輩恋バナとか好きなんですかね。とっても意外なんですが。


「……なんていうか、自分のことをきちんと考えようって昨日の夜に気づいたばっかで恋愛とかに脳みその容量使えるほど器用でもないし、そういう経験とかも皆無なので、あと、昨日マリエルちゃんが侯爵家って言ってましたけど、貴族階級とかよくわからないけど、そういうお家に入るの普通に面倒くさそうだなって」

「ああ、そういう」

「え? 他になにかありますっけ」


 座り心地のいい椅子で優しい手つきで髪をいじられると、段々眠くなってくる。

 あっ、マッサージ絶妙ですねサラ先輩。

 めちゃくちゃ気持ちよくて瞼が段々下りてきてしまう。


「地位のある相手から好意を寄せられたら、疑う気持ちが起きたりはしませんか?」

「あー。そういう? 相手にもよりますけどセルヴィス様に関して言えばあんまり。……なんていうか、あのひとすごいシスコンじゃないですか。それでここの町の人たちも大好きじゃないですか。屋敷の人に対してもめちゃくちゃ誠実で。なんか、短い期間ではありますけど、そういうところ見ちゃってるので、人の気持ちをもてあそぶような揶揄いとか嘘とかはしないんだろうなって」


 長い時間を一緒に過ごしてきたわけではないし、初対面時はイケメンだなあと思いこそすれそれ以上も以下もなかった。単なるシスコンてだけならまあ、あれだけ可愛い妹がいればと納得だけして終わったんだろうけど。

 あの人は、わたし相手でさえ誠実だった。

 言葉を聞いて、気持ちを聞いて、その上でいろいろ考えてくれるような人だった。

 だからそんなセルヴィス様がわたしを好きだと言うなら、それはそういうことなんだろうと素直に納得も出来る。


「そう思われるのであれば、受け入れてみるのもいいのではないでしょうか?」

「簡単に言いますね」


 まあ、昨夜ベッドの中でも色々考えたけど。

 打算も、気持ちも、いろんなことをひっくるめて。

 その上で答えなんて出なかった。


「…………なんていうか、セルヴィス様はたしかにイケメンだけどわたし自身が好ましいなって思う男性の外見タイプとはまた違ってて、ああいう百人がみて百人が格好いいって言っちゃう人どちらかというか忌避感みたいなのあったので、そういう意味での気後れとかがないとは言わないんですけど。……めちゃくちゃ不敬なこと言うと、かわいいひとだなって思う瞬間があったし、正直そういうところにときめきもしました」


 だからって、前向きに発展させようとは思えなかった。

 恋愛偏差値も経験値も皆無なわたしは、生まれ育ち胸の奥で鳴る恋の気配を必死に押し殺そうとしたし、それ以上大きな気持ちになる予感に恐怖に似たものさえ感じていた。


「……ちなみに、後学までにお聞きしたいのですが、リディーナさんが好ましいと思う男性はどういった方なんですか?」

「えー、なんか、プロレスラーで愛妻家みたいなひとですかね。見た目厳ついけどめちゃくちゃ優しいみたいな。大きなくまのぬいぐるみみたいな、包容力あるひとっていうか」


 体格としてはがっちりめ。なんか絵にすると四角い感じというか、笑うと目がなくなる感じの人とかいいよね。まあ、付き合いたいとかそういうんじゃなかったんだけどそこは言わなくてもいいかなあ。

 というか外見だけだとセルヴィス様、カロリーが高いよね。

 チャーシューましまし豚骨ラーメン大盛りみたいな。


「あ、ラーメンたべたい。ジャンクな感じの……お好み焼きもいいなあ」

「……リディーナさん、寝てます?」

「起きたいですね」


 いやでもずっと施されてるマッサージが気持ちよすぎて、これは普通に寝てしまう。

 そもそも目が覚めた時点で推定深夜でしたし、早く眠れたわけでもない。あれ、騒動が収まった時間こそ覚えてないけどわたしこれほとんど寝てないに等しいな?


「セルヴィス様の外見のよさは認めていらっしゃるようですが、そういう見目のいい異性と歩くことで優越感を持てるという一般論もありますし、お試しにどうです?」

「えーーーー?」


 サラ先輩ずいぶんと食い下がってくるな。

 ああ、でもたしかにこの話の発端はマリエルちゃんだもんなあ、それでか。

 うあああ頭を絶妙にぐりぐりされるの気持ちいいー。

 おかげでちょっと頭が冴えてきた気がする。

 ……つまりはしゃべらせたいんですねわたしを。


「たしかにそういう人もいるでしょうし、一概に否定するもんでもないかもしれませんけど、わたしはそういうのあんまり」

「そうなんですか?」

「一生懸命自分で働いて買ったブランドバッグとかを見せびらかすんならわかるけど、付き合ってる人を装飾品扱いするのってなんていうか、その人が綺麗だったり格好良かったりするのって本人の資質なわけで。……いや、ワシがこいつを育てた的な? 後方プロデューサー顔出来るなにかがあるなら別ですけど、セルヴィス様に関していえばセルヴィス様が素敵なことにわたしなにひとつ関与してませんし」

「――なるほど、理解しました」


 マッサージが終わったのか、サラ先輩の手が止まったのを合図にわたしは椅子の背もたれから上体を起こす。うおお、短時間だったとは思うけど、なんかめちゃくちゃ身体が軽いような気がする。

 思って伸びをすれば、使った物を片付けているサラ先輩を振り返った。

 

「それで、いまの質問の目的ってなんだったんです?」

「そうですね、マリエル様にそっと耳打ちをして押せばいけそうですとお伝えすることでしょうか」


 しれっと答える上司は当たり前のようにぶれないし、悪びれない。

 この人の行動原理がマリエルちゃんだというのは、昨日と今日とでしっかり理解しましたけれど。


「あとはまあ、ちょっとした賄賂の意味も込めて」

「え、なんです?」

 

 ぼそり呟かれたらしい声は、片付けの音に紛れて聞こえなかったけれど。


「というかサラ先輩、マリエルちゃんのことをとても大切にしてますけど、やっぱり小さな頃からお世話をしていたからこそだったりするんですか?」


 あのくらいの年の女の子はすべて宝です。

 くらいの回答がありそうだなとは思ったけれど、自分のことばかり話す羽目になってしまった意趣返しで聞いてみた。答えが返ってこなかったとしても気にするつもりはなかったけれど。


「私が直接マリエル様とお会いしたのは半年ほど前でしょうか」

「えっ、けっこう最近ですね?」


 わたしがこの屋敷に来て三ヶ月だから。

 その更に三ヶ月前。

 それであの熱量?


「……わたしのこと騙そうとしてます?」

「事実ですので」


 まあそうだよな、嘘を吐く理由もないもんな。

 そんな短期間でメイドを取りまとめる役職を与えられ、セルヴィス様にとっても大切なマリエルちゃん専属になれているのだから、伝説のメイドさんとかだったのかもしれない。

 身体能力もめちゃくちゃ高いもんな。


「いまの仕事に就く前、私は軍隊……の、ようなところに務めておりました。というのも、ボートウェル家は国防や要人警護に深く関わっている家系ですので」

「いやいやいやいやお待ちください情報量が多い多い! というか、それ多分わたしが聞いちゃ駄目な過去じゃないですか?」


 思わずストップをかければ、心底不思議そうな顔が首をかしげた。


「いずれはしれることです」


 あなたはこの家に嫁いでくるでしょう?

 そんな副音声が聞こえた気がするけど聞かなかったことにしたい。


「まあ、話を続けますけど、ある日自分が所属しているチームにある極秘任務が入りまして。ボートウェル家のご息女が行方をくらませたと」

「え――?」


 それは、マリエルちゃんのことだ。

 真っ先によぎったのは自分がここへやってくるきっかけになった取り調べ。

 もしかしてあの人たちは、マリエルちゃん自身も危険に晒そうとしたんだろうか。


「なにやら誤解されてるご様子ですが、単なる家出ですのでご安心ください」

「…………だからわたしの心の中を読むのはやめてください」

「ですが、マリエル様が家出に至ったのは例の家庭教師が原因とのことでしたので、間違いというわけでもありません。私も直接それと顔を合わせてはおりませんが、教育という名の下に行われる言葉の暴力に耐えかねたマリエル様は家を飛び出してしまわれたのです。結果、事態が発覚したのは不幸中の幸いだったんでしょうが」


 さらっと無視されてしまったけれど、続いた話にそれ以上の言及は出来なくなってしまった。

 

「……マリエルちゃんは、大丈夫だったんですか?」

「外傷という点では。侯爵家の令嬢の身体に傷を残す暴力は不味いと判断する程度の知能はあったようですね。それが事態発覚が長引く要因にもなったのでしょうが。当時この屋敷にいたのは奥様とカコモチであることが発覚したばかりのマリエル様や使用人だけで、指導という名の言葉の暴力は日々エスカレートしていたようです」


 記憶ももうおぼろげになっている、クソババアを思い出す。

 あのひとは、言葉で、暴力で、リディーナが従順になるよう躾けるのが好きだった。

 ねっとりとした語り口でいかにリディーナが愚鈍で出来が悪く、教育者たる自分がどれだけ素晴らしいか語るのが好きな人で、少しでも反抗されたと思うと急に激昂してくる。ヒステリーを擬人化すればあのババアになるだろうとわたしは思っていた。いまでも。


「マリエル様をみつけたのは私です。詳細は省きますが、幼い肉体に少女の心を宿したマリエル様に心酔した私は、所属する組織の最高責任者たる立場にあったセルヴィス様に直談判したことで、いまの立場を与えられたのです」

「……はしょられた部分とても気になるー。けど、まあわかりました。わからないけど」


 あまり突き詰めて聞くと、知っちゃいけない話まで聞いてしまいそうだしな。

 それは取り敢えず遠慮したい。

 

「雑談はこのくらいにしてマリエル様のお部屋へ向かいましょうか」

「えっ、さすがにまだ早くないです?」

「寝室へはもちろん入りませんが、前室の応接スペースでお待ち頂きます。マリエル様が目を覚ますより先にリディーナさんには待機してもらいたいので」


 そう告げられて、ふと目の前に差し出された鏡を見たわたしは絶句した。

 伸ばしっぱなしだった髪の毛が綺麗に編み込まれていたから。

 どうやってるのかはわからないけれど、頭の後ろでぎゅってされてまとめられている。どうりで首回りがすーすーすると思った。

 え、ここまでされる必要があるんです?

 聞きたいけれど呑み込んだのは、サラ先輩がわたしを持ち上げる動きをはじめたからだ。

 

「ちゃんと自分の足で歩いて行くので、担ぐのやめてもらっていいです?」


 どうせ抵抗は無駄なのだ。

 そう理解させられてしまっているわたしは、ホールドアップでそう告げたのだった。



 

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