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再びの出逢い

キャラクターの台詞は「ボイコネ」というアプリに対応した表記にしています。


何としてでもまた会いたいと思った彼女が、そこにいる。


言葉が出なかった私の代わりに、ミサキが先に声を発した。


ーー


エルナ:ミサキ…なの…?


ミサキ:まさかeLNAがこんな所で歌ってるとは思わなかったけど…本当にあなたなのね…


歌い終わった私の後ろにいたのは、紛れも無くミサキだった。私も驚いていたが、ミサキの方も困惑している様子を見せていた。


ーー


エルナ:もうずっと…会えないままなんて嫌で…だから探し出そうと思ってっ…!


ミサキ:…あれから、色々あってね…親と一緒に、他のエリアに行く事になって…


前のデバイスを使えなくなったから、新しい連絡先を伝えたかったけど、どう教えたらいいか分からなかった。直接エリア019に行こうとした事もあったと伝えた。


ミサキ:でも、あなたはeLNAとしてどんどん有名になって、どんどん遠くなってる気がして…


エルナ:…ここで、のんびりしよ?また、会いにくくなるかも知れないし


ーー


私達は2人で、静かに雪が降る中の夜景を眺めていた。エリア011は昔と比べて、何も変わっていない様に見える。


エルナ:最近は、治安が良くないんだよね…


ミサキ:昔は憧れの場所の一つだったんだけどね


ミサキはずっと、地上から離れる事を望んでいた。5年以上の月日が経った、今はどう思っているのかな…?


ミサキ:私ね…両親にあちこち連れ回されている間に、色々なものを見たよ


現在では多くのエリアが荒れていて、人々の間で混乱が起きているみたい…ミサキは、人々が罵り合い対立する様子を見て来たんだ。


ミサキ:あちらこちらの空で暴動が起きてる…それと比べると…


ミサキは振り返ってエリア012の地上を見つめた。綺麗な夜景ではないが、昔から変わらずに在ることが分かる。


ミサキ:昔は好きじゃなかったけど、ここは相当マシな場所なんだ。他のエリアとは違って、今でも平和が保たれてるから…


エリア012では、街行く人も、ラーメンの味も変わらない。こうした場所が残される為にも、地上は必要なのかも知れない。


エルナ:私も歌手になったけど、歌だけじゃどうしようもない事がある…なんて当たり前だよね


荒れつつある世界で、私たちにできる事は限られている。歌以外の事にチャレンジする勇気も、持てないし…


ミサキ:そっか…エルナも、色々と悩んでるんだね


エルナ:…ちょっと待って。私はそんな能天気じゃないよ?


…ミサキが以前と比べて、私に対してちょっと酷い気がする…前からこんなキャラじゃなかったと思うんだけどな…


ミサキ:だってエルナはクラスメイトのみんなの前ではクールなフリしてたのに、実際は真っ直ぐすぎるんだもん


エルナ:待て待て!流石にバカにしてるでしょ!


やっぱりミサキ、だいぶ容赦がなくなっているな…というかクールなフリ?私、どれだけ痛い子として見られてたんだろう…


ミサキ:だって、会えない可能性の方が高かったのに、一人で私に会いにきたんでしょ?…嬉しいけど


エルナ:ぐぐ…言い返せない


ミサキは嬉しいとは言ってくれたけど、同時に私の無鉄砲さを心配しているのだ。確かにまずかった気はするけど、立ち止まる事なんて出来なかったんだ。


ミサキ:それにあんな雑な変装で芸能人が地上をうろつくのもどうかと思うよ…私もすぐに分かったし…


エルナ:それはミサキだから分かったんでしょ。ラーメン屋の店主にもバレたけどそれはたまたま…


ミサキ:あ…クラリス


通行人A:ミサキ、急に走り出してどうしたの…って?!


ーー


通行人A:え?!…eLNA?!ホンモノなの?!何でこんな辺鄙なとこに?!


ヤバい…一般人に見つかってしまった…どうしよう。私が必死に打開策を考えている一方で、ミサキは彼女にフレンドリーな態度で接していた。


ミサキ:クラリス、静かに


クラリス:…ごめん。でも、よく騒ぎにならなかったね…


ちゃんとメガネと帽子で変装して来たから、大丈夫なはずだ。鏡で見たけどああしていれば、バレる事はないだろう…


ミサキ:エルナ…やっぱりその変装甘いよ


エルナ:そんな事ないよ。ミサキだから見抜け…


ミサキ:もうネット上で話題になってるもん…eLNAの所属事務所は大騒ぎじゃない?


クラリス:今、駅に近づくのはまずいかな…


……終わった…私の変装が云々以前に、明らかに浅はかな行動だったんだ。どうしよう…ママとパパ、事務所に説明して済む話じゃなくなってきたな…


ミサキ:…私の部屋に泊まっていて。ほとぼりが冷めるまで居ていいから


エルナ:またミサキの家にお泊まり…やった!


ミサキ:喜んでくれるのは嬉しいけど…そういう状況じゃ無いと思うな…


エルナ:でもっ、本当に久しぶりだから…


ーー


すぐに帰るわけにいかなくなった私は、ミサキと一緒にアパートに向かった。クラリスさんは空気を読んで自分の部屋に戻るらしい。


ミサキ:寒い…早く部屋に帰って温まりたいね


エルナ:うん…お風呂には二人で入る?


もう会えないかも知れないと思っていたミサキと一緒に過ごせる…それだけでも嬉しかった。


次回はただイチャつくだけでなく、それぞれの変化に戸惑う様子も書くつもりです。


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