eLNAとミサキ
キャラクターの台詞は「ボイコネ」というアプリに対応した表記にしています。
エルナ:gravitational、pull〜still「I」fight…
私が初めて歌ったオリジナルの楽曲が、ネット上で爆発的な人気となっている。私の動画を見て才能があるって言ってくれた作曲家と協力して、発表した楽曲だった。
ヘレナ:凄い人気になって来たわね!でも、どのレーベルに所属しているのかって言う質問も増えて来てるわ…
ノア:真面目どのレーベルに所属するのか、考える時期かもな…
エリア019で歌手活動をする上では、特定のレーベルに所属している方が有利だ。大手にするか、小さいレーベルでも将来性を信じるか…選ぶ点で重要なポイントだ。
ノア:やはり今後もジョルダーニさんに曲を書いてもらう為に、モノリスエンターテイメントに所属するのが良いんじゃないか?
ニック・ジョルダーニさんは、私の初めてのオリジナル楽曲「still fight」を作ってくれた人だ。彼への恩もあるし、今後も協力する為にモノに所属するのもいいかも…
エルナ:私、モノリスに所属したい
ノア:分かった。契約は僕主体でやるけど、お偉いさん方に顔は見せた方が良いよ
モノリスは小さい事務所だったが、設立者の経歴は確かだった。契約は順調に進んで、私はあっという間にモノリスエンターテイメント所属の歌手"eLNA"になった。
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エリア019に引っ越して来た私は、高校1年生になっていた。中学高校と友人に恵まれて、すっかり人気者になっていた。
リンダ:エルナ、すっかり大人気じゃない!
アミ:かっこいい曲ばっかりだし!
特にリンダとアミはオシャレのセンスも良くて、私にとっても勉強になる事が多かった。今では、彼女達と一緒にお出かけする事も良くある。
アミ:前はエリア012にいたんだよね。やっぱり色々不便だった?
エルナ:うん。多分歌手デビューは難しい場所だと思う…
転校して来たばかりの頃は地上からやって来た子という事で、かなり驚かれた。空中居住区からすれば、地上は貧乏な人が住む場所だからだ。
リンダ:でもこうやって才能を開花させたんだから、エルナは頑張ってるよ
そうやって私は、クラスにはすっかり溶け込んでいた。日常生活においても、012よりも便利なシステムを使えている。
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シェリー:エルナちゃん新曲の再生回数もうなぎ上りだね!
エルナ:ありがとうございます、シェリーさん
シェリーさんは新進気鋭のバンド"LEONheart"のボーカルで、何かと私のことを気にかけてくれている。私自身も、LEONheartの楽曲をカバーしてみたいと思っている。
シェリー:エルナちゃんを妬むような奴もいるけど…
エルナ:その辺の安全対策は、パパにも頼んでいます
パパは防犯対策として、色々なことを警備会社に頼んでいる。最近では、何とボディーガードまでついてしまっている。
シェリー:DJgiraffe主催のフェスにあなたも呼ばれてたよね。一緒に頑張ろ
エルナ:はい!
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ミサキとはデバイスのメッセージ機能を使って、互いの様子を聞いたりしていた。ミサキはエリア012の第四アカデミー高等部に進学していた。
ミサキ:「still fight」の再生回数、もう100万超えたんでしょ!凄いよ…
新人歌手としては異例のスピードで、私の人気は急上昇している。それ故に、色々と不安な事も増え続けているのだが…
エルナ:そっちは、どんな感じかな?
ミサキ:いつも通り…変わり映えが無いな
ミサキの声は以前と比べて、明るくないものになっていた。私は短い間しか暮らしていないから分からないけど、やっぱり地上での生活は楽とは言い難いものなんだ。
ミサキ:地上よりも、空中居住区の方に住みたいな…
それから少しずつ、ミサキとメッセージのやり取りをする事は少なくなっていった。結局は、心も離れ離れになる、という事なのかも知れない。
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ヘレナ:本当に大活躍ね…私も嬉しいわ
私がeLNAとして大人気になってから、ママはずっと機嫌が良かった。娘が大人気シンガーになって、将来安泰だと思っているんだろう。
エルナ:私ね、エリア012に行きたいんだけど
ヘレナ:駄目よ。今更あんな治安が悪いところに行くなんて
ママは一瞬で、私が012に行くのを駄目だと言って来た…ここは下手な事は言わずに、友達に…ミサキに会いたいと伝えよう。
エルナ:私、ミサキに会いたいの。とっても仲良くしてくれたの、ママも覚えてるよね?
ヘレナ:ええ…でも、最近やり取りして無いでしょ。向こうも忘れてるんじゃない?
…そんなわけないでしょ、その言葉がすぐに出て来るはずだった。そのはずなのに、そう信じきれない自分がいるのだ。
ノア:ヘレナの言う通りだ。既に芸能人になった以上、安易に地上をうろつくのは危険だ
パパもママと同意見で、私の意見に味方してくれなかった。私はミサキとの繋がりが失われていく様な気がして、不安になっていた。
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ミサキ:eLNA…頑張ってるなぁ
私は彼女がデビューしてから、ずっと曲を追い続けている。しかし曲を聴くたびに、エルナがどんどん遠くなっていく感覚に襲われていた。
ミサキ:私は…ただ何となく生きてるだけだ…
取り敢えず高等部に進学していたけど、特に目的は無い。ただ単に、最低でも高卒以上が良いんだろうなと思っただけだ。
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ハヤト:ミサキ…近々、家族みんなでエリア020に引っ越す事になるかも知れない
ミサキ:え…どうして?
ハヤト:…エリア060が他のエリアに宣戦布告を行った。私達も、対処しなければならん…
次回はまた数年時間が経った後の話になります…
舞台設定
エリア020
100年前に建造された比較的新しいエリアで、空中の居住区だけでなく、地上にも居住区が建てられている。
人々が暮らす居住区となる前は兵器工場が多く存在していた。現存する機体は、今でもエリア防衛軍が使用している。