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出逢い

百合作品を作るのが初めてなので、多少変な所もあるかもしれません…


キャラクターの台詞は「ボイコネ」というアプリに対応した表記にしています。


二人の少女の出逢い、それはありふれたものだった。


ミサキ:はぁ…空の方が良いんだろうなぁ…


西暦6010年9月9日、今は殆どの人類が空の居住区で暮らしているのに、私…ミサキ・モモセは未だに地上に縛られている。もちろん、エリア012にも空中居住区はあるが、私の両親は地上の方を選んでいた。


ミサキ:軍人なんだからいくらでも融通が効くはずなのに…


両親はエリア012の軍人であり、他のエリアからの信頼もあった。もっと良い家に住めるはずなのに、何でこんな地味な家にしたのか、本当に分からない。


ミサキ:広い家じゃなくても良いから、せめて空中居住区に住みたい…


ーー


カリン:ミサキおはよーっ

ミサキ:おはよう


エリア012の地上にある第四アカデミーの教室の風景は、今日も変わり映えの無いものだった。地上にある第四アカデミーは空中居住区のアカデミーと比べると、綺麗で整った校舎では無かった。


ミサキ:せめてあんな古い黒板使うのをやめたら良いのに…


他のエリアのアカデミーは、複数の立体映像を同時に展開できるディスプレイが導入されている。私が通う012第四アカデミーはお金が無いのか、古い時代の物をそのまま流用している。


ダイゴ:そういや今日、このクラスに転校生が来るらしいな

マサキ:マジ?

クリス:急に決まったらしいね


転校生…わざわざ地上に来るなんて、どんな事情があるんだろう。大半の人間は整備が行き届いていて、綺麗な空に住みたがるのに…


ーー


ツヨシ:突然だが、今日このクラスに転校生が来る

ミサキ:本当なのね…


担任の先生が告げた報せに、多くの生徒が驚いていた。生徒の転入などは、事前に伝えられる事の方が多いからだ。


ツヨシ:そろそろ…来たみたいだな

カリン:わぁ…

ダイゴ:すげえ綺麗…どこのエリアから来たんだ?

ミサキ:綺麗な子…


その転入生…少女の瞳は、深く美しい翠色をしていた。ブルーアッシュのツインテールも手入れされているみたいで、綺麗としか言いようが無かった。


ツヨシ:では、自己紹介を

エルナ:エルナ・ヴィルハイントです。前はエリア060のアカデミーに通っていました

クリス:エリア060から来たのか?!

ツヨシ:静かに!


私も内心では驚いていたし、他の子達が騒つくのも無理はなかった。エリア060は既に崩壊寸前で、いつ内戦が始まってもおかしくないからだ。


ーー


1週間前…


ノア:準備はできたか?

エルナ:大丈夫だよ、パパ


私が住んでいたエリア060の居住区は、老朽化が進んでいた。そのせいで、あちこちでエネルギー供給が遅れるトラブルが起きていた。


ヘレナ:大丈夫よ、あなたはこんな所では終わらない。素晴らしい才能があるのだから


ママは私の歌の才能に、かなり期待しているみたい。私はママとは関係なく歌が好きだから、それを仕事にしてみたいと思ってた。


ヘレナ:ねぇノア、どうしても012じゃないと駄目なの?もっと他に良いエリアが…

ノア:ひとまず隠れるには、012が一番だ


012が地上にある寂れた田舎だって事は、割と有名な話だった。ママはそんな場所じゃなくて、もっと栄えたエリアが良かったみたい。


エルナ:私は楽しみだよ。他のエリアとは全然違う景色なんでしょ?

ノア:ああ、どのエリアも空中居住区は似た様な建物ばかりだからな


060を離れる為の最低限の準備は、すぐに終わった。持って行くのは、必要最低限のものだと決まっていたから。


エルナ:今日も騒がしいね…

ヘレナ:いつ居住区が崩壊してもおかしくないって噂まで立っているわ…恐ろしい


060の設備は表向きには整備が行き届いている様に見せているが、実際には老朽化が進んでいるのは、誰が見ても明らか。崩壊を恐れる市民が暴動を起こしていて、私達のように他のエリアに逃げる人は増えるだろう。


ーー


ヘレナ:ちょっと!こんな列車に乗るの?!

ノア:我慢して。エルナは大丈夫?

エルナ:うん


私達が012へ行くのに使ったのは新型リニアやエアレールでは無く、旧型の鉄道だった。乗客用の車両は最低限の数しか無く、それ以外は貨物を乗せる列車だった。


エルナ:向こうにつけば、もう大丈夫かな…


私は列車の窓から、居住区を支える複数の柱が立ち並ぶ、荒野の景色を眺めていた。ママの方は乗り物酔いのせいで、かなり大変だったみたい…


ーー


エルナ:名前は…ここに書けば良いんですか

ツヨシ:ああ


エルナは慣れてない手つきでチョークを持ち、黒板に自分の名前を書いていた。"エルナ・ヴィルハイント"と書き終えた彼女は、指についたチョークの粉を気にしていた。


カリン:すごい綺麗だよねあの子

ミサキ:うん…


正直言って、私のクラスには飛び抜けて顔が良い人はいない。そこに他の子と比べて、髪と瞳の色が綺麗な子がくれば、どうしても注目してしまう。


エルナ:特技というほどでは無いですけど…歌うのが好きです

ミサキ:歌…


私は歌うのは下手だったけど、歌を聞く事は好きだった。エルナちゃんは、どんな歌が好きなのかな…私は早くも彼女の事が気になり始めていた。


ーー


カリン: 060ってどんな感じだったの?

エルナ:みんな苛立ってて怖かったよ


やはりというか、休み時間はエルナへの質問の時間になった。エルナとしても予想通りだったみたいで、質問に淡々と答えていた。


リンコ:居住区そのものが崩れる可能性があるって、ホントなの?

エルナ:…分からないよ


リンコが余計な事を聞いたせいで、一気に気まずい空気になった。咄嗟にマサキが、エルナの持っているデバイスについて聞いたので、何事もなく進んだけど。


マサキ:それって最新式のやつですよね

エルナ:うん、パパが買ってくれたの


エルナが持っていたのは最新式で様々な機能を備えたタブレットデバイスだった。私や他のクラスメイトが勉強などに使っているのは、電話とめーる、メモやノートぐらいしか機能がない旧式のデバイスだった。


ミサキ:どんな歌が好きなの?


私は思い切ってエルナに聞きたい事を聞いてみた。他の子のようにグイグイ行くタイプでは無いから、まだ覚えられていないと思うけど…


ーー


エルナ:みんなしつこいな…少し放っておいてよ


新しいクラスメイトから質問が予想以上に多くて、私はうんざりしていた。そりゃあまぁ、この辺りじゃ目立つ瞳と髪色なんだろうけど…


ミサキ:どんな歌が好きなの?


歌…さっきの自己紹介ちゃんと聞いてくれてたんだ。髪は黒髪でロングでもショートでも無い髪型、瞳は…紅っぽい?


エルナ:ゲーテ・ジャムのsnow nightかな

ミサキ:私も好きだよ!ゲーテさんの曲は何度も聴いていて…


ゲーテ・ジャムはアーティストの活動が活発なエリア019でも、特に人気がある女性歌手。取り敢えず有名な歌を答えたけど、この子はどれくらい音楽に関心があるのかな。


ミサキ:エリア019ってすごい綺麗な街並みだよね!

エルナ:…行った事あるよ。少なくとも060よりずっと治安が良い


エリア019の空中居住区には様々な高層ビルが並び、夜になると美しい夜景を作り出す。郊外にはレトロフューチャーと言える街並みが広がっていて、多くの人々が憧れるエリアだった。


ミサキ:私、ずっと012から離れたいと思っているの…もっと他のエリアの事、聞かせてくれないかな?


この子、多分ミーハーだ…このエリアから出たくてしょうがないんだろう。確かにこのエリアは寂れてる所もあるけど…060に住んでいた私からすれば、落ち着いていて良い場所に思える。


エルナ:えっとあなたは…

ミサキ:ミサキ・モモセだよ。これから覚えてくれれば大丈夫


ーー


ミサキと一緒に過ごす時間は、何だか心地良かった。他の子が群がってくる事は無いから、質問攻めされる事もない。


ミサキ:また家に来る?エルナが来てくれるから、頑張って料理しちゃうよ

エルナ:うん、ミサキが作ってくれたポトフ、食べたいな


仲良くなる内に分かった事だけど、ミサキは料理上手だった。たまに失敗する事もあるけど、私からすればとても美味しい料理を作れる人だ。


ミサキ:エルナの歌も聴きたいな。いい?

エルナ:もちろんだよ。もっともっと上手くなるんだから


私とミサキはいつの間にか、友達になっていたのだ。彼女と過ごす時間は、私にとって大切なものだった。


急遽、ボイコネに対応した表記に変更したので、変な所もあるかもしれません…

次回以降は気をつけます。


キャラクター設定


エルナ・ヴィルハイント

スポットライトを浴びる為に生まれて来たかの様な可憐な容姿の少女で、歌う事が大好き。

一方で作詞する事は苦手。

瞳は翠色、髪はブルーアッシュ、髪形は少しパーマがかかったツインテール。


崩壊寸前だったエリア060から、両親と共に012に引っ越して来た。


同じ学校に通うミサキとはとても仲が良く、一緒にラーメン屋に行ったり、エリア011の居住区が見える夜景スポットに行ったりしている。


ミサキ・モモセ

エリア012出身。穏やかで優しい少女で、エルナと仲が良い。

髪は黒で、瞳は紅色に近い色である。


料理が好きだがまだまだ練習不足で、失敗する事も多い。


両親は軍人で、他のエリアにおいても発言権を持っている。


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