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契約の証

リアムが馬を止め、右腕を指し示す。リアムの右腕には、花のようなアザがあった。そして、今度は私の腕を指し示す。私の右腕には、先程までなかったはずのリアムと同じ形のアザができていた。


 「これが、契約の証です」

「そんな……」


 契約、というのは先程の命令だろうか。私の疑問が顔に出ていたのか、リアムは頷いた。

「ええ。巫女が察している通り、命令をすることで騎士と巫女の契約は完全に結ばれます。とにかくあなたは巫女で、私はあなたの壱の騎士だ。覚えて頂きたい」


 天音巫女。女神ティヴァーシアの血をひき、その歌声で人々に安寧をもたらすという、この国にはなくてはならない存在。そして、その巫女には五人の騎士がついている。

それぞれ名前は簡単で、壱の騎士、弐の騎士……と呼ばれる。ここまでは、私でも知ってる。


 「詳しいことは、先代いえ、まだ今代でしたね──の巫女にお聞きになさるのがよろしいかと」


 そういって、リアムは再び馬を走らせた。






 神殿につくと、リアムは私を馬から下ろした。

「ご自身で歩かれますか?」

「ええ」

リアムと一緒に来ていた大人の人たちは、神殿の中に入らないようだ。なんでだろう。疑問に思いながらも神殿の中に入ると、リアムは驚いたように目を見開いた。


 「何か、感じませんでしたか?」

「何か? 特になにも」

この神殿にはティヴァーシア神を信じないものには、罰でも与えられる罠でもあるのだろうか。私は別に熱心な信者でもないから、月に一度お祈りをするか、しないかだけど。


 「神力の無い者は、少し痛みを感じるはずですが。まだ代替わりの儀が終わっていないのに、既にその年で神力が……。ああ、流石は我が巫女」

そういって、リアムは蕩けるような笑みを向けた。


 神力。風や火や水、果てには天候まで操ることもあるという力のことをさす。確か、巫女が一番その力を持っているはずだ。


 その力で魔物と呼ばれる獣を退ける結界を張る役割も、巫女と巫女の騎士は担っている。



 「──ついたようね」

凛とした声に視線をあげると、美しい装束を着た女性がたっていた。リアムは女性を見ると、頭を垂れた。巫女の騎士は、王が相手でも、頭は垂れない。そうするのは、そう、巫女相手だけだ。つまり。


 「こんにちは、新代の巫女。けれど、今は説明している時間がないの。早速だけれど、代替わりの儀を行うわ」

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