ハーレム疑惑
玄関開けたら照れ顔後藤がいた。
バタンッ
とりあえず扉を閉じた。
ん?なんだ?幻か?なんてこった!俺の右手にはなんかそんなものを消す不思議な力はないぞ?
「お、おい!閉めるな!俺だ。後藤だ。」
どうやら本物のようだ。もう一度開けて外に出ると確かにそこには後藤がいた。
「ごめん、俺、男はちょっと……お前の気持ちは受け取れないかなー?」
「あほう!俺だってお断りだっつーの!」
「ならなぜそんな照れ顔【オエッ】してるんだ!」
「会話の最中に嗚咽をはさむな。こうして友人の家に迎えになんて初めてだったからな。にしてもお前の母親相変わらず可愛いな…」
「お前そっちが本音だろ!この年上好きが!人の母親に色目つかおうとすな!母さんの歳だってもう【ドンッ】……いや、なんでもない。つか、なんで迎えにきたんだ?」
「昨日、西宮に頼まれたんだよ。迎えに行って、言われたルートで学校に向かってくるようにな。」
西宮何を考えてんだ?
「イヤな予感しかしないんだが…まぁ、しょうがない。行くか。」
「だな」
「こうちゃん待って。私も一緒にいくわ。いいでしょ?後藤君もあらためておはよぉ。」
ニコッ
「あっ、はい。香苗さんおはようございます。いいですよ。むしろ光栄です!」
「フフッ、ありがとっ」
この猫かぶり姫がっ!
とりあえず後藤についていって三人で歩いていく。
「なぁ、お前が聞いてた道ってなんかやたらと交差点多い道なんだな?」
「あーたしかにそうだな。なんの為なんだか」
「あいつ美人の割に結構ポンコツだからなー」
「それな」
その時、目の前の交差点の角から声が聞こえてきたのと同時に香苗も口を開いていた。
『━━━━遅刻遅刻ぅ~~』
「ねぇ、さっきから話してるあいつって、もしかして西宮さんの[グフゥッ]……」
あっ……
「ごめんなさ~い、急いでたらぶつかっちゃって思わず上に乗っかっちゃったぁ~♪……って、あれ?」
「に、西宮さん…これはどうゆうつもりかしら?」
目の前でパン咥えた西宮が香苗の横っ腹に突っ込んでいって、香苗の上にまたがるようになっていた。おいおい、まさかこれを好きな相手にやるつもりだったのか?ベタすぎるだろ。そして威力ありすぎだろ。香苗のやつグフゥッって言ってたぞ。グフゥッって!
「後藤、これも聞いてたのか?…後藤?」
後藤はうずくまって腹を押さえて震えていた。
お前…笑ってばっかりじゃね?
「おい、西宮何やってんだ。香苗も大丈夫か?」
西宮の腕を持って引き上げ、香苗の手をつかんで体を起こした。
「えーっとね、少女漫画の出会いの再現からのドキッ!をやろうとしてました。はい。あっ、香苗先輩おはようございます。すいませんでした。大丈夫ですか?」
「西宮さんおはよう。私は横腹が重症よ。このまま手を繋いで学校に行かないと治らないわねぇ。」
「えっ、学園のアイドルの香苗さんが誰かと手を繋いでいたら大変な事になりますよ?相手が《《ただの従兄弟》》だとしても。だからあたしが支えますよ。あたしのせいですし」
「あら、あなたもとても可愛いって私のクラスにまで聞こえてくるわよぉ?そんなあなたが《《ただの友達》》と腕なんて組んでいたら大騒ぎよぉ?」
「「うふふふふふ」」
いい加減離してくんないかな?両腕とも胸に包まれてて理性がやばいんだけど。
「佐々木君なにしているの?」
「あっ、姫川。」
姫川夏希はうちのクラスの委員長だ。ショートカットの小柄な子で胸も控えめだが、足がすごく細くて綺麗だ。男同士の腐った物が好きらしい。残念だ。
「ハーレム作ってないで早く行かないと遅刻するよ?」
「なっ、ハーレムじゃねーから!どっちとも付き合ってないからな!勘違いすんなよ!」
ドシャッ
グシャッ
あっ、二人とも崩れた。流行ってんのか?
その後は姫川も加えた五人で学校に向かって行く。俺と後藤が並び、その後ろに女三人が並んで歩いている。なんかボソボソ聞こえるけど知らない知らない。
「邪魔さえ入らなければ朝からドキッだったのに…」
「やっぱりこの子要注意だわぁ」
「うーん、後藤君×佐々木君も中々……」
怖い怖い
昇降口に付くと香苗とはそこで別れる事になる。が、別れ際に爆弾落としていきやがった。
「じゃ、こうちゃん今夜も一緒に寝ようねぇ?」
!?
西宮に肩を捕まれた。
「どーゆーことかなぁー?」
ひぃ、昨日の西宮再び!?