抵抗
そうして
散り散りと
夕陽は放たれた
あらゆるものを
緋色に透かすために
痺れるような暖色の
包囲網に覆われれば
ひび割れたブロック塀に
張り巡らされた電線に
見慣れた屋根の合間に
それは
満ち満ちて
有無を言わさず
侵食する
指先の爪の小さな面積も
声になる前の吐息も
まだ道筋を見出だせない思考も
貪るような色で
どこか冷めた光で
瞳の中で赤々とある
まばたきなどでは到底
追いやることも出来ない
目蓋の裏側に貼り付く
原始の煌めき
感傷よりも暴力的な
絶え間ない揺さぶりを
気にもせず
広がり支配するそれに
立ち向かうはひとつ
綾なす雲の隙間で
うっそりと
こちらを見下ろす星に
助けを求めることなく
私の足下
重い輪郭を背負う
硬い影が伸びる