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INVISIBLE!!!  作者: 奥山颯
3/5

03 RESTART!!

僕ははっと目が覚める。

時計の針は午前8時を指していた。

遅刻だ。

僕は急いで制服に着替え、朝食も手を付けずに家を出た。

スマートフォンで時間を確認すると、

2019年8月23日

  8:32

と表示された。

あと10分で朝のホームルームが始まる時間だ。

校門をくぐり、教室に入るとまだ担任は来ていないようだった。

「おう、遊が遅刻ギリギリなんて珍しいな。どした」

「おはよ、和樹。いや、別に。まだ夏休み気分が抜けなくてさ」

和樹が頭にはてなを浮かべたような顔をする。

「何言ってんだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()てか今週いっぱいは講習だろ。まだ寝ぼけてんのか」

「あれ、そうだっけ」

そう言われてみれば機能も講習に来た気がする。

なんだか少し違和感があり、スマートフォンを確認するが、8月23日と表示されていた。拭い切れない違和感はあるが、気にしてもしょうがないと思い、話を続けた。

「そいえば俺さ、今日何年かぶりに夢を見たんだ」

「へえ、どんな夢?」

「よく覚えてないんだけど夏休みにみんなで海に行ってさ」

と話し始めたところで恵梨がどたどたと近づいてきた。

「海!いいね!今週で後半の講習も終わりだし、みんなで海行こうよ」

「いや、俺の夢の話…てか、そんなこと言ってて大丈夫なの?恵梨は東京の大学行くんでしょ」

「だってさー、せっかく高校最後の夏休みなのに勉強ばっかじゃない?」

受験生なんだから当たり前だろ。と僕は思った。

「高校最後の夏をこんな風に終わらせたくないじゃん。私はもっと遊びたい!」

「そんなこと言ったって、僕泳げないし」

「湘南とかなら泳げなくても楽しめるでしょ?」

「そうかもしんないけどさあ」

彼女の誘いに困惑していると、和樹も乗り気のようだったらしく

「湘南かあ、いいね。他にはだれか誘う?」

「んー、沙良に声かけてみようと思ってる」

「これで4人か」

恵梨と和樹の二人で湘南への旅行計画が着々と練られていく。

僕はまるでその空間には2人しか居ないかのように、すっかり取り残されてしまった。既に断れないことを悟り、諦めていた。

その時、恵梨が突然立ち上がった。

遊と和樹はびくっと肩をあげる。

「じゃあ、今週の土曜日の、25日ね!」



2019年8月25日


僕たちは13時に鎌倉駅の東口で集合した。

一番最初に話し始めたのは和樹だった。

「よし、これで全員揃ったな。じゃあ、行くか」

「湘南なんて初めてだから楽しみ」と恵梨が鎌倉駅のあたりを見渡して言う。

「私も小さい時以来だなー、松本君は?」

沙良に声をかけられ考える。確かに鎌倉も湘南も久しく来てはなかった。

「俺も小学校以来。だけど、そんなに懐かしいって感じがしないんだよなあ。なんでだろ」

会話をしていると、僕のスマートフォンに着信が来た。

「ごめん、電話鳴った。すぐ戻る」

画面を見ると、非通知からだった。

誰だろと思い、電話に出る

「はいもしもし、松本です」

電話に出ると酷いノイズが耳元を通過した。

咄嗟に僕はスマートフォンのスピーカー部分から耳を離した。

「なんだよ・・・」

恐る恐る耳を近づけると

「・・・RESTART」

「は?どちら様ですか?リスタートってどういうこt」

ツーツーという音が、僕の脳内をぐるぐると駆け巡る。

電話は僕の返答を聞かずに一方的に切れたようだ。

 「ごーめん、たぶんいたずら電話だと思うんだけど・・・あれ・・・」

振り返ると3人の姿が見当たらない。

遊「あれ、なんだっけ・・・これ・・・」

遠くでセミの鳴く声が響いていた。

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