表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

85/119

勝負の日

愛沙視点

 おかしい。

 康貴がこっちを見てくれない。


「ねえ」

「おう……」


 なんでなの! 浴衣を着たら康貴は釘付けって言ってたのに!

 どうしたらいいのまなみ?!


「花火、どのへんでみる?」


 とにかく話題を繋ごう。何としても今日、告白まで持っていくんだ。

 来年康貴と一緒に花火に行くのが別の子にならないようにっ!


「あー……無難なとこと、穴場狙いと、現地まで行くの、どれがいいかだな」

「そうね……現地まではこれで行きたくはないわね」


 浴衣は歩きにくい。康貴にしがみつけるよとは言われたけどそれどころじゃないし、人が増えちゃうともうそんな雰囲気は作れないし。


「だよなー。そしたらまぁ、地元民のメリットを……いやだめだな」

「え? なんで?」

「人が少ないところを狙ったら絶対学校の奴らに見られるぞ」

「そっか……」


 康貴は私と一緒にいるの、見られたくないんだった。


「一緒にいるの見られたら愛沙、困るだろ?」

「え? 私?」


 私は別に良いんだけどな。


「……いやまぁ見られるか。大丈夫か?」

「私はいい」

「そうか」


 やっぱりあんまり見られたくないのかな。嫌かな、私と付き合ってるとか言われるの。


「いいの?」

「だめなら来てない」

「よかった」


 康貴はなぜか私を避けてるというか、私と一緒にいるのをみんなに見られたがらないなと思ってたけど、今日はそうじゃないみたい。諦めてるだけにも見えるけど、まぁいい。まなみも言ってたけど、こうやって既成事実を作るのが良いはず! 

 今日はいける……!


「じゃ、もう周りは気にせず楽しむか」

「うん!」


 よし、今日の康貴は大丈夫。

 あとは私が頑張るだけ。


「バス停、二つ前でいいんだったっけ?」

「うん。でも、降りれるかしら」


 普通みんな終点まで乗るけど、回り道をすれば屋台はもうその辺りから出てる。

 ただ今日はもうバスが混み始めていて降りられるかわからない。


「ま、降りれたらでいいよ」

「そうね」


 二人がけの席に座っているから肩はぶつかる。康貴はそんなに嫌がらないから、せっかくならもうちょっとくっつきたい。


「ステージで何やってるか、一緒に見る?」

「ああ、そっかステージがあったか」


 毎年花火大会の日は駅付近にステージができて、そこで地元の学生や有志の人たちの出し物がある。

 去年はまなみがバトントワリングの応援でステージに上ってたから見た。


「なんかあるか?」


 康貴が自然と肩を寄せてきてくれる。

 どうせならもうちょっと混んでくれれば、ギリギリまでこうしてくれるのに。そんなことを思っていたら願いが通じたみたいで結局終点まで降りられるような状況じゃなくなってくれた。

 今日はほんとに、運も背中を押してくれてる……! そんなことを思いながら康貴とお祭りの情報を一緒に調べ続けた。


毎日投稿頑張ってるので褒めてください

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ