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風呂上がり

「そういやまなみ、宿題は終わったのか?」

「んー、もうちょい! でも今日は頑張った!」


 そう言って宿題を広げて今日の戦果を報告するまなみ。確かにかなり頑張っていた。

 この分だと明日には終わりそうだ。


「よく頑張った!」

「えへへー」


 ねだるように頭を差し出してきたので撫でてやると嬉しそうに笑った。


「それより康貴にぃはどうだったの! デート! 楽しかった?」

「そうだな。楽しかったよ、ありがと」

「えへへー。お姉ちゃんも楽しかったみたいだし、頑張ったかいがありますな」


 ほんとにまなみには感謝しないとだ。結局今日愛沙も俺も楽しめたのはほとんどまなみのおかげだからな。


「いつもありがとな」


 改めて撫でながらお礼を言うとまなみがうつむいた。


「どうした?」

「うぅ……改まって言われるのは、なんか、ちょっとこう……」


 なるほど照れたのか。


「可愛いなぁまなみは」

「うぅー!」

「よしよし。いつも頑張ってるな」

「もうっ! 遊んでるでしょ! 康にぃ!」


 ついに耐えきれなくなったようで手を払いのけるように顔を上げた。

 赤くなっていてちょっと涙目で可愛かった。


「もうっ! そういうのはお姉ちゃんにやってあげて!」

「ええ……愛沙にこんなんやったら俺、次の日五体満足でいられる気がしない……」

「お姉ちゃんを何だと思ってるの……」


 いくら仲良くなったかなと思っていてもこんな距離感で近づこうものならまたあの凍てつく目線を送られる日々に逆戻りではないだろうか。


「今度やってみたらいいよ」

「勘弁してくれ……」


 まなみは俺をどうしたいんだ。仕返しだろうか。


「まぁまぁそれよりっ!」

「どうした?」

「明日で合宿は終わっちゃうし私はしばらく部活のお手伝いにでかけちゃうんだけど」

「そうだな」


 まなみの部屋のカレンダーを見ると、もう夏休み明けまでびっしり助っ人の予定が入っていた。


「お姉ちゃんはそんなに忙しくないみたいです」

「そうなのか?」


 秋津たちとどっか行ったりするのかと思っていた。


「私を除いて今一番家族に近いのは康貴にぃだよね?」

「それは……そうかな?」


 家族に近い。なんとなくしっくりくる愛沙との関係値な気がする。


「よろしい。じゃあお姉ちゃんに寂しい思いさせちゃだめだよ?」

「どういうことだ」

「ほら、毎日何気ないことでメッセージしたり、通話したり」


 なんだそれ。たまに愛沙からメッセージは来るようになったけど、特段用事がないのに送るためのものという認識がない。


「それ、迷惑じゃないか……?」

「世の中の仲のいい男女はみんなそうなんです!」

「そうなのか……? まなみも?」

「私のことはいいのっ!」

「おう……」


 説得力がない。


「とにかく! ちょこちょこ連絡してあげてね!」

「どんなこと連絡すればいいんだ……」

「そうだなー……あ、私の活躍とか?」

「それ、愛沙から送るもんじゃないか?」

「あ……」


 結局何をすればいいかよくわからなかったが、とにかく夏休み後半、定期的に連絡するようにとだけ厳命を受けた。

 まぁまなみのやることだ。きっと愛沙もなにか言われているだろうから、あわせてもいいかもしれない。


 あわよくばもう一度くらい、映画に行くのも、もしタイミングがあれば行きたいなと考えるようになっていた。


まなみも自分のことになるとポンコツになる可能性高いです

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