女子会
愛沙視点
「さあキリキリ吐くがいい!」
「なんなの……」
突然腕を取られて莉香子に連れて来られたのは吹奏楽部の部室。部長は鍵を持たされているらしいけど、間違いなくこんなことのために持たされてるわけじゃない。職権濫用もいいところだ……。
「でも、私も気になる」
「美恵まで……いやそれより藍子、あなたは止めなきゃダメでしょ……」
「私も委員長である以前に1人の乙女だからねー」
「はぁ……」
要するに逃げ場はないのね……。
「で、何を話せばいいのかしら」
「それはもちろん、急接近した康貴くんとの仲だよー」
「……」
康貴の名前が出てきた瞬間に自分でもちょっと顔が赤くなったのを感じた。
「別になにも……」
「ふーん? あんな大胆な水着でアピールしてたのにー?」
「なっ!? 見てたの!?」
いつ?! それよりどっち!
海ならまなみもいたからいいとしてプールだと……。
「まあまあ、で、それ以外にも色々してるよね? もちろん?」
「気になる……」
ニヤニヤする莉香子と悪ノリする恵美……。助けを求めた藍子も諦めろと目で合図するだけだ。
「うぅ……」
「ほれほれ、他にどんな嬉し恥ずかしエピソードがあったのか教えなさい!」
「別に何にもないわよ!」
そう。別に何にもない。
あいつと一緒なのは今まで通り。ちょっと最近がおかしくなってただけだもん……。そう……だよね?
「ほうほーう……なるほど……」
「愛沙……可愛い……」
「こんな乙女の表情するなんてねえ?」
なんか3人が言い始めたけどほとんど耳に入ってこない。
「で、いつから付き合ってるの?」
「付き合っ?!」
「え……まさかあれでまだ付き合ってないの?」
「何を見てそう思ったのよ」
「いや……ねえ?」
目を合わせる3人。何なのこれ……。
「今日も仲良さそうに一緒に来てたよね」
「あれはまなみが言うから……」
「と、言いつつ愛沙もにこやかだった」
「教室着いた途端無理してしかめっ面になってたけど」
どこまで見てるの……。
「でもまだ付き合ってなかったかぁ……そのしかめっ面を治せば康貴くんももうちょっとちゃんと相手してくれると思うけどなぁ」
そういいながらグリグリおでこを指で押してくる莉香子。
「やめなさい」
「そうそう。そうやってた方が可愛……また戻った」
そりゃ好き放題やられたらそう言う顔にもなる。
「でもねえ、康貴くんの前だといつもそんなだからなぁ。言われない? 怖いって」
怖い……?
「確かに愛沙、藤野くん見るときだけやたら表情かたいもんね」
「うん……」
藍子と美恵にまでそう言われる。
確かにちょっと緊張することはあったけど、最近はそうでもなかったはず……だよね?
「そんなに顔、ひどい?」
そう確認すると何故か莉香子が呆れたような表情になる。
「その顔を見せてあげればイチコロだと思うんだけどなぁ……」
「うん……愛沙、可愛い」
そんなにひどかったかな……?
でも康貴は大丈夫だよね? 前からこの顔だし……えっと……。
「まあでも、真面目になんとかしなきゃねー」
「もう愛沙から攻めないとダメなんだろうね……」
莉香子だけじゃなく藍子まで……。
「攻めるって言っても……」
「ふふふ……迷える子羊のためにひと肌脱いであげますか」
「いや、莉香子の案は怖いからいいけど……」
「なんでよー!」
その後もやいやいアドバイスという名目で弄ばれきって、開放されたのは結構経ってからのことだった。
風邪で更新止まってすみません……まだ本調子でないので明日も怪しげ
3連休でしっかり治して進めます!
宮野隼人
サッカー部エース、イケメン
榎本真
剣道部主将、漢気
秋津莉香子
吹奏楽部長、ショートカット、人当たりよし、小悪魔
加納美恵
フィギュア、クール、マイペース
東野藍子
生徒会副会長、ムードメーカー、まとめ役