鍋
毎日更新間に合わなかったあああああああああああああ
「なるほど、鍋になったのか」
「それでも材料は1/3くらいしか使えてないけどね……」
どれだけ買ってきたんだろうかまなみは。
「おいしそー!」
「まなみはお皿とか準備して」
「はーい」
勝手知ったる他人の家なのでまなみは迷うこともなく食器を取って並べていく。
俺もなにかしようと台所に近づいたら愛沙に止められてしまった。
「康貴はまだ体調悪いんだから座ってて」
「いや、もうほとんど……」
「座ってて」
「はい……」
有無も言わさないとはこのことだろう。
まぁ仕方ないからおとなしく座っておく。
まなみがつまみ食いして怒られたりしてるのを眺めているとあっという間に食卓に美味しそうな鍋が並んだ。
「今日は向こうで温めてきちゃったけど」
「ああ、ありがとな」
待ちきれないまなみが箸を伸ばすが愛沙が制してとりわけ始める。
「一応全員風邪の可能性があるから分けてから食べます」
「むぅ……」
「むしろこうなるとまなみは伝染るんだろうなあ……」
「えー、まだ試合シーズンなのにー」
愛沙が風邪をひけばまなみは必ず感染っていたし、逆もそうだった気がする。
後からかかるほうがひどいのもお決まりだった。
「昔はほら、私が風邪引いてるのに心配だーって離れたがらなかったから……」
「あー、そういえばそうか」
ちっちゃい頃のまなみは家族以外になかなか懐かない分、家族にはベタベタだったからな……。
「愛沙は愛沙で、寝かせとけって言われてるのにあれもこれもしたがって離れなかったんだよな」
「あははー。お姉ちゃんも一緒だー」
まなみが笑い愛沙が恥ずかしそうに目をそらしていた。
「あれ? 風邪で思い出した……いや何か思い出した気がするんだけどなんだったか思い出せない……」
まなみが何か考え始める。そんなことしながらでもすごい勢いで皿に盛られた鍋の具材はすごい勢いでなくなり、愛沙がまた取り分けてあげている。
「あっ! そうだ! 有紀くん!」
「あー、いたなぁ……」
「懐かしい……」
何歳の頃だったかは忘れたが、本当に短い間だけ一緒に遊んだやつがいた。もちろん俺たちはそれぞれ一緒に遊ぶ相手もいたにはいたんだが、当時まなみが身内以外で馴染めた稀有な相手だったから印象が強い。
「康貴にぃが風邪引いたときなんか変だったよね。有紀くん」
「変だった?」
有紀は妙に人の懐に入るのが上手だったことは覚えてる。引っ越しが多いから人当たりは良くなったみたいなことを言っていた気はするけど、当時のまなみが2人になっても固まらないというのはそれだけレアな存在だったわけだ。
「有紀くん、康貴にぃのベッドに入って寝ちゃったせいで次の日から風邪引いたんだよね」
「何やってんだあいつ……」
風邪引いたやつの隣で寝てたらそうなるのはわかりきってるだろうに……。
あいつそんなにアホだっただろうか……?
「今何してんのかなぁ」
「親同士はまだつながってるかもな? 年賀状くらいなら」
「帰ってきたら聞いてみよー!」
それから他にもいろんな名前を出して懐かしさに浸った。
考え直すと意外と愛沙とまなみ以外にも遊んでいたのがいたなと思った。そして今となってはどうしてるかわからないのも……。
「私達もさー。もうちょっとしてたらこうやって一緒にご飯とか食べずに、どこで何してるのかわからなくなったりしてたのかなー?」
まなみの言葉にハッとする。
「そうか。確かにあのまま進学したりしてたらどこにいるかもわからなくなってたかもな」
「えへへー。康貴にぃに勉強教えてもらえてよかったよ―、ね? お姉ちゃん!」
「えっ? あ、ああ……そうね。ほんとに……」
「愛沙……?」
ぼーっと考え込む愛沙が心配になって覗き込む。
「本当に良かったなって、思っただけよ」
「そ、そうか……」
顔をあげた愛沙の顔を見て、俺も改めて、このつながりが消えなかったことに感謝した。
そのくらい愛沙の表情が綺麗で、魅力的に映っていた。
ハイファンのほうとあわせ、ストックが一切ないです、来週間違いなくどちらか止まると思いますがしっかり進めますー