表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/119

看病6 

 しばらくソファで待っていると2人がようやくでてきた。

 出てきたのは良いんだがなぜか正座させられて2人の前に座らされていた。


「康貴にぃ、お姉ちゃんの裸を見た罪は重いです」


 まなみが前に立ち愛沙が後ろでコクコク頷いている。というか愛沙はなんでダボダボのTシャツ一枚だけなんだ……裾を必死に引っ張って伸ばしているが色々際どすぎる……。俺、ちゃんと下も持ってきたよな? あれ? ちゃんと確認してないから自信はないな……。


「ちゃんと聞いてますか! 康にぃ!」

「はい!」

「お姉ちゃんに見惚れてる場合じゃないよ! こんな際どいのしか持ってこないなんて!」

「いやわざとじゃ……」


 愛沙が裾を引っ張ったまままなみの後ろに隠れるように一歩下がる。やっぱり俺が持ってきてなかったせいらしい……。いやわざとじゃないんだ。


「とにかく! 康貴にぃは私達の要求をのむ義務があると思います!」


 一歩下がったものの愛沙もコクコク頷いて参戦してくる。


「えっと……今度埋め合わせをするので……」

「だめです!」

「だめなのか……」


 どうすればいいんだ……。


「康にぃはさっき何故か帰ろうとしてましたが今日は帰しません」


 コクコクうなずく愛沙。いいのか? 裸を見た罪は重いとかいうなら普通、遠ざけるものなんじゃないのか……。


「というわけで、康貴にぃはお風呂に入ってくること!」

「いや、着替えとかさ」

「キャンプのときの荷物、うちに置いたままでしょ!」


 そういえばそうか……。帰りは愛沙もまなみも家の車で帰って荷物を高西家の車に積んだんだった……。


「いや……えーっと……」


 俺としても愛沙の裸を実質2回も見ておいて平常心が保てる自信がない。


「康貴、いや……?」


 それまで後ろに下がって裾を引っ張るだけだった愛沙が声をかけてくる。ほんとに愛沙、ずるいよなぁ……。


「いやでは、ないけど……」

「はい! じゃあお風呂に入ってきてくださーい! あ、シャンプーとか説明するね!」


 まなみに引っ張られるままに風呂場に向けて歩き出す。

 去り際になぜか知らないけど何か言わなきゃと思って愛沙にも声をかけた。


「愛沙! 暖かくするんだぞ!」

「ふふ……ありがと」


 なんだ今の、おかんか。


「はいはい行くよ康にぃー!」


 引っ張られるようにまなみに風呂場に連れて行かれた。


「これがボディソープで石鹸もあるよ」

「どう使い分けてるんだ?」

「さぁ……?」


 まなみは適当である。


「で、シャンプーとコンディショナーはこれがお姉ちゃんので、これが私とお母さんので、これがお父さんの」

「え? なんで3つもあるの?」

「さぁ……?」


 まなみは役に立たない。


「で、どれ使って良いんだ?」

「どれでもいいんじゃないかなぁ? あ、お姉ちゃんの使ったらお姉ちゃんと同じ匂いが1日楽しめるかも?!」

「なんだそれ……」


 その理論でいくとまなみとも同じことが言える。そう思うとやたら距離の近いまなみの髪からの匂いも意識させられてしまった。

 いやでもこれ、絶対シャンプーだけじゃないよなぁ……。同じもの使ったってこうはならないだろ。なんで女子ってこう、不思議といい匂いになるんだ……?


「康貴にぃ、流石に風呂上がりでもちょっとはずい……」

「あっ、わるい……いや別に他意があるわけでは……」


 しどろもどろになるが他意がないっていいのか? この場合悪いのでは?!


「私の匂いが良かったならこれ使えばいいと思うよー!」

「あ、あぁ……」

「はーい。じゃ、出たらお姉ちゃんの部屋に来てねー!」

「わかった」


 そう言って洗面所から出るまなみ。

 すこし頭を冷やす意味で、1人になれたのはありがたかったかもしれない。


「あ! 康貴にぃ!」

「おい! もう脱いでるから!?」

「あっ、ごめんごめん」

「なんなんだ……」


 ほんとに自由だな、上半身だけでよかった……。


「お背中、流しましょうか?」

「早く上に行ってくれ……」

「むふふー! はーい! また後でねー!」


 ほんとにまなみは……。

 あいつはやりかねないしブレーキ役の愛沙はいま動けない……。


 襲撃に怯えながらの風呂はあまり落ち着かなかった。

みなさんは髪フェチですか?

匂いフェチですか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ