海3
サブタイトルが雑!!!
ビーチバレーもどきで遊び尽くしたあと、満を持して俺への罰ゲームがはじまった。
「いえーい! 埋めろ埋めろ―!」
砂浜でひたすら砂を盛られる。まなみの小さな身体のどこにそんなパワーがあるのかとおもうほどすごい勢いで埋められた。
そして俺が身動きできなくなったら満足したようでいまはカニと戯れている。自由過ぎる……。
「で、いつまで俺、埋められてんの」
「ふふ」
解放されるかと思ったら、まなみに代わって、愛沙がペタペタと俺に土を盛り始めていた。
「えっと……」
「今康貴、動けないのよね」
「そりゃそうだけど」
「そう……ふふ……」
ちょっと愛沙が怖い。
まなみに助けを求めて視線を送るも、なぜか投げキッスをしてどこかへ走り去っていった。何なんだ一体……。
「助けてほしい?」
「そりゃまぁ、そろそろ出たい」
「じゃあ何かお願い、聞いてもらおっかなー」
なんて理不尽な……。
「冗談冗談。今日はありがとね」
「何だ突然……」
柔らかい表情で笑う愛沙は、どちらかというと昔の愛沙に近い。
「覚えてる? 私が海に行きたいって騒いだとき」
「あー……あったな……」
多分まだ小学生くらいのときだ。あの頃の愛沙はまぁ、当然ながら結構子どもで、今の姿からは考えられないくらいわがままを言って両親を困らせていた。
懐かしい。
「道もわからないのに家を飛び出して、康貴に見つけてもらうまで公園で泣いて……」
「あの頃の愛沙はお転婆だったからなぁ……」
いまとなっては物怖じせずにパワフルなまなみも、家ではお母さんに、外に出れば愛沙、誰もいないと仕方なく俺にしがみついて離れないという人見知りの塊のようだった。
それに比べれば当時から気が強く男子にも負けじと暴れていた愛沙はなかなかにやんちゃだった。
「何年もかかったけど、やっと来れた!」
海に向けて手を広げる愛沙。
絵になる立ち姿だった。
「これまでも別に来てただろ?」
「んーん。康貴と来たのは初めて」
「まぁ……そうか」
なんだかんだ家族で出かけるときも海はなかったか。
「そうか。ようやく約束が果たせたわけか」
「覚えててくれたの?」
「思い出しただけではあるけど……」
公園で泣いてる愛沙を慰めながら言った「俺が海に連れて行く!」という言葉を。
「えへへ。そっか。そっか」
「むしろあれだ……遅くなってごめんな」
「んーん。いいの。少しずつで」
子供の頃の話をしたからだろうか?
今日ずっと感じている愛沙の幼さがより一層強まる。かと思えば次の瞬間には十分に魅力的な大人になっていて、そのギャップにドキドキしてしまう。
「さて、そろそろ出してあげよっかな」
「そうしてくれ」
戻ってきてからも「どうしよっかなー」と楽しそうに笑って、抵抗できない俺の顔をペチペチ叩いてみたりしながら、少しずつ砂をどけていく。
そんな愛沙にさっきまでは懐かしさとドキドキをかんじていたわけだが、角度が変わった瞬間に状況が変わる。
愛沙の水着はスカート状で、俺は寝転がっている。
別に前回見てるし見ちゃいけないわけじゃないんだが、隠れてるものがちらちら見えるというのはこう、あまりよろしくない光景だった。
「んー? どうしたの? 康貴」
楽しそうに柔らかく笑う愛沙にばれないようにこの高ぶりを隠して砂から脱出するためにどうすればいいかと、必死に考えながら砂をどかす幼馴染を眺めていた。