ミニ男子会
まなみの水着まであと2話予定!
ひとしきり歌いきったところで、運ばれてきたピザやポテトを手に休憩に入った。
秋津と東野がたまに曲を入れているがいいBGMという感じだ。モニターに近い位置に歌う2人が座り、今は男女が対面に座り合う形になっていた。曲が流れ出せば隣同士でしか声は通らない。ということでいま、真と隼人に囲まれた俺たちは擬似的に男子だけの集まりを作り出していた。
「藤野……っていうと他人行儀だな。康貴でいいか?」
「いいけど」
「よかったぁ。あんま話もしないしちょっと嫌われてるかと思ってたんだよな、俺」
そう声をかけてくるのはサッカー部エース宮野。お調子者ではあるが、恨まれるようなタイプには見えなかった。
「ほら、俺ってちょっと勢いで生きてるからさぁ。あ、隼人でいいからな!」
「わかったよ」
勢いで生きてる人間は輪をかけてひどい例を知ってるからな……。隼人のはいらぬ心配だった。むしろ俺みたいなのに何を思われてるか少しでも気にしてたのが意外だったというか、なんというかという感じだ。
「いやぁでも、いつも高西を取ってるような感じだったからな。どう思われてるかは不安だった」
「なんだそれ」
真も一曲終わったときにはお互い下の名前で呼び合う仲になっていた。
「実際のところさ、どうなんだよ。高西とは」
「お前らまでそれか……」
暁人とそんな変わらない安心感で少し打ち解けたが、少しうんざりする部分もある。
「いやぁ、気になるだろ。俺もやり玉にあがるから嫌なのはわかるんだけどさ」
「あー……」
隼人はまぁ確かに、顔面偏差値で学年で最も愛沙に近い男子。人気も申し分ない。
多くの男子は隼人が相手なら諦めるだろう。そういう意味でよく話題に上がる1人だ。
「だけどなぁ。近くにいたらわかる。あいつにその気はない」
「まぁ、愛沙だしなぁ」
当たり障りなく関わっているうちは好きとか嫌いの概念はない。ちなみにこれまで見てきて好きだったんだろうなと思うのは女友達数人とまなみくらいだ。
「それがわかるのが、さすが幼馴染というか……お前ら早く付き合ってくれと思う」
「なんでだ……」
隼人がため息を吐くが意図が見えなかった。
「俺がそういう噂になることはほとんどないが、まぁ明らかに高西がお前を見る目は違うからな」
真が言う。そりゃそうだろう。あんな目を俺以外に向けたら怖い。俺でも怖いんだから。
「「はぁ……」」
2人してため息をつかれる。
「なんだよ」
「いや、まぁいい。あとは女性陣に任せた。頑張れ」
「俺たちじゃ無理だったってことだ。まぁなんだ。今後も仲良くしようや」
それは全然いいんだが、何やら嫌な予感が拭えないままカラオケは終わり、ファミレスに向かうことになる。
いつもどおりなのかもしれないが、女性陣にからかわれて顔を赤くした愛沙が俺を睨みつけていた。
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