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クラスの打ち上げ

 あのプール以降、愛沙の態度が劇的に変わる、ということは全く無かった。


『今日、暇?』


 変化といえば、こうしてたまにメッセージが飛んでくるようになったことくらい。


『暇……だと思う』

『じゃあ放課後、クラスの打ち上げやるから』


 そうなのか……。とりあえずスタンプだけ返しておいた。


「ついにお前もメッセージをするようになったんだな……」

「そりゃ使うだろ……このくらい……」

「ちげえよ。相手だよ相手。チラチラ見てたってことは高西さんとだろ? 違うか?」

「それはそうだけど」


 いつもどおり話し相手は暁人。ただ今日を最後にしばらく会うことはなくなる。

 先程終業式も終わり、残すところ簡易のホームルームのみ。それが終われば念願の夏休みだ。


「暁人も行くのか? 打ち上げって」

「打ち上げ……? なんだそれ?」

「愛沙が言ってたけど」

「そりゃお前、クラスのと言うか、あの辺りのやつらの打ち上げってことだと思うぞ?」


 顎を向けて指す方向には、いつもクラスを牽引するメンバーが勢揃いしている。

 愛沙を中心に女子が4名、男子が2名。それぞれ部活のエースだったり、生徒会だったり、外の活動で表彰されていたりと各分野で遠い存在だ。


「嘘だろ……?」

「いや、そもそもクラス全体でやるならこのタイミングで告知されるの、おかしいだろ?」


 そう言われればそうだ。てっきり俺への連絡だけ後回しになっていたのかと思っていた。


「そうか。じゃあ暁人、この後暇か?」

「諦めろ。俺は高西さんに恨まれてまでお前を連れ回したくねぇし、俺も俺で用事がある」


 暁人をダシにして難を逃れようとするも見破られていた。


「ま、いいだろ。お前の存在をアピールするにはいい機会だよ」

「なんでアピールしないといけないんだよ……」

「なんか知らんけどこないだから、妙に仲良くなってるだろ。あそこのメンバーが納得してりゃ変ないちゃもんはつかねぇから」


 言わんとすることはわかる。

 ただ別に愛沙とそういう関係になる予定はないし、むしろ家族認定を受けてそういうフィルターから外れているからこその距離感だと思うんだが。


「そんな事情は周りは知らねぇんだ。お前と高西さんが何故か仲がいい。お前でいいなら俺でもってなるより、お前なら仕方ないって思われたほうがいいだろ。高西さんにとっても」

「それはまぁ……」

「ちゅうことで、ちょっとは仲良くしてこい。別にお前、嫌いじゃないだろ? あいつら」

「そりゃまぁそうだけど」


 距離があって話す機会が少ないだけで、別に何もない。お互いに接点も興味もない存在というだけだ。


「ということで、じゃ、終わったら起こしてくれ」


 そう言っていつもどおり机に向かった暁人を見送り、これから始まる得体のしれない打ち上げとやらに胃が痛くなってきていた。

ブクマ評価いつもありがとうございます

次のイラスト回は4つ先くらいです


最新話下から評価もできるので良かったらよろしくお願いします


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