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高西家報告会

まなみ視点

「で、どうだった?」

「落ち着いてって、お姉ちゃん」


 帰ってきてゆっくりする間もなくお姉ちゃんに捕まる。


「ごめん……で、えっと……」

「大丈夫だよ。お姉ちゃんに誘われたらちゃんと言うように、念を入れて言い聞かせたから」

「そっか……」

「あとはお姉ちゃんが頑張るだけだー!」

「うん……」


 水着を買ったときにちゃんと康貴にぃから誘ってもらえるように段取りをつけた。


「って、そうじゃなくて! まなみは楽しめたの?」

「えへへー。それはもう、もちろん!」

「そう……よかった」


 そう言って息を吐くお姉ちゃんは、妹の私でもドキッとするほどきれいでちょっと見惚れてしまう。

 多分、お姉ちゃんは私と康貴にぃがくっついても、ショックは受けると思う。それでも、それ以上に私が楽しそうにしているのを喜んでくれるし、だから多分、もしそうなってもなんだかんだ言いながら祝ってはくれるんだろうなって思う。私がそうだから、お姉ちゃんもそうならいいなってだけだけど。

 そのあたり、すごく複雑なんだと思う。お互いに。


「でもね、ちょっと気をつけたほうが良いかも」

「気をつける……?」

「うん。今日ね、クラスの子にあったんだけどさ」

「クラスのって……まなみの?」

「うん」


 男子と会ったときのことは今思い出してもちょっとドキドキする。多分やりすぎたけど、許してくれたし。


「でね、立て続けに女の子たちにも会ったんだけど」

「なんとなくわかったわ……」


 さすがお姉ちゃん。

 あのときのことをちょっと振り返って説明する。


 ◇


「わぁ! まなみ、お兄ちゃんいたのー?」

「えー! お姉ちゃんだけだと思ってた!」


 どうやら男子と違って私達はカップルには見えなかったらしい。ぐぬぬ……。


「違うよー! 家庭教師のせんせーなんだー!」

「えー! じゃあ歳上のお兄さんとデート?! やるー!」

「まあねー」


 ちょっとアピールできたから良しとしよう。

 康貴にぃは微妙な顔してるけど。


「あれ? よく見たら先輩じゃ……?」

「あ! ほんとだ! じゃああれかー。お姉ちゃんもいるのー?」

「いないよっ! 今日はデートなの!」


 牽制も込めて腕を絡ませる。


「えー、先輩あんな綺麗な幼馴染のお姉さんがいるのに、まなみでいいのー?」

「失礼なっ!」


 ぐぬぬ……! 確かにお姉ちゃんは綺麗だけど! 私だって悪くない……はず……だもん!


「あはは。冗談だってー。まなみ怒らせると後で仕返しされそうで怖いからこのくらいにして……」

「ほんとだよ! 学校で覚えといて!」

「はいはーい」


 いつもこうやってからかわれて、やり返して、何だかんだで良い友達だと思ってる。


「で、お兄さん。まなみで良いなら私はダメ?」

「へ……?」


 私が絡めてた腕の反対に抱きついた。


「え! ずるーい。私もどうですかー?」


 調子に乗ってもう1人くっつこうとしてる! ダメダメ! 康貴にぃは私の……じゃなかったとしてもせめてお姉ちゃんのなのに!


「あはは……あんまからかわないでやってくれ」


 そう言って康貴にぃは寄ってきていた友達の腕をするりと抜けて、ポンポン頭を撫でてなだめていた。

 歳上の余裕を見せつけられた気がする……。あ、これダメだ。ちょっと顔が赤くなってるじゃん! あの子達!

 多分私をからかうだけだったのに思わぬ反撃を受けてる。誰も喜ばない形で。


「そ、そうだよ! 今日は私とのデートなんだからあげません!」


 ぎゅっと、もう片腕も持ってかれないように全身に抱きついて守った。


「ふふ……まなみかわいー!」

「そうだね。今日はまなみのものだもんね。またゆっくり話聞かせてねー!」

「お兄さん、お姉さんも良いけどまなみも可愛い子だから、よろしくお願いしますね!」

「あ、でも私たちもデートのお誘い待ってまーす!」


 言いたいことだけ言って嵐のように去っていく友達たち。


 思わずぎゅっと抱きしめていたことに気づいて慌てて離れたが、康貴にぃは気にする様子もなかった。


「仲が良さそうでよかったよ」

「むー」

「なんだよ」


 余裕綽々の康貴にぃにちょっとムカついて、少し強めに腕を組んでデートの続きをした。

 康貴にぃはそれでも柔らかく笑って、いつもみたいに頭をポンポン撫でてくれていた。


 ◇


「ということがありまして……」


 康貴にぃは顔も悪くないし私の相手に慣れすぎてて歳下の扱いがうますぎる! お姉ちゃんと話す時と違って余裕が見えて、それが歳上のお兄さんらしさを演出するせいで魅力的になってしまう。


「このままだと年下キラーとして1年生の間で人気になっちゃ……お姉ちゃん?」


 そこまで言ったところでお姉ちゃんの様子がおかしいことに気づく。


「羨ましい羨ましい羨ましい……」

「ちょっと!? お姉ちゃん!」

「はっ! ごめん。えっと……なんだったかしら」


 康貴にぃとくっつくどころかまともに話すら出来てないお姉ちゃんには刺激が強すぎたかもしれない。

 またああなられても困るので今日はもうこの話はおしまいにしよう!

 その後はお姉ちゃんのデートのアドバイスに強引に話題を逸らしてことなきを得た。


 先が思いやられるけどね……。

康貴の見え方はまなみ補正が強くかかってます


次回以降で愛沙も頑張るので見守ってあげてください



ハイファン、日間3位になりました!

ありがとうございます!

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