表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

117/119

有紀の告白

「ここなら大丈夫か……」


 暁人からのアレな場所リストは結局役に立ってしまった。

 本人の意図とは違うだろうけど、人目を避けるという意味では確かにうってつけだった。


「康貴……?」

「あ、ごめん」


 なにも考えずに握っていた手を慌てて外す。


「ぁ……」


 う……。

 残念そうな顔をされると申し訳なさが……いやとりあえず今は集中しないと。


 覚悟は決まった。

 部屋を飛び出した時はまだはっきりしなかった気持ちも、途中で有紀に出会ったおかげで明確になっていた。


 ◆


「やっほ」

「うぉっ?! なんだ有紀か……なんでこんなところに……」

「うーん。ここにいれば会えるかなって、ね?」

「おぉ……」


 高西姉妹のおかげで耐性がついてるとはいえ、いまの有紀は相当可愛い。

 それが風呂上りで上気した表情でこちらを見つめてくるのは、それなりの破壊力があった。


「多分これが最後のチャンスだと思うから言うんだけどさ」


 ぐっと顔を近づけてくる有紀。


「ボクも康貴くんのこと、好きだよ?」

「なっ……」


 突然の告白。

 なんでいま?

 いやそもそも有紀が俺を……?

 いつもみたいにからかってるだけか?

 いやでもそんな雰囲気もない。


 どうしよう……。


 何を言えばいいのかわからず戸惑っていると、有紀の方が声を上げた。


「今さ。きっと、どうやって断るか考えてたでしょ?」

「それは……」

「大丈夫。わかっちゃうんだな、康貴くんがなに考えてるのか。……昔から」


 有紀と過ごした期間は思い返せば実は短い。

 だが俺や愛沙、そしてまなみにとって、期間に関係なく一番印象的だった共通の友人がこの、有紀だ。

 昔から、の部分に重みがあった。


「あーあー! もうちょっと早く転入して来ればよかったかなぁ……」


 わざとらしく声を出して有紀が言う。

 どうやって断るかを考えていたのは、図星だった。

 不思議と有紀と、いや他の誰からそう言われても、いまの俺にその相手を選ぶ選択肢はないことがわかったのだ。


「行きなよ。ちゃんと迎えに行ってあげて」

「わかった」


 まさかこんな形でとは思ったが、今までボヤッとしていた思いがようやく、形になったような気がした。

後二話

あしたでなろう版完結となります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ