愛沙視点 期待を込めて
◇
「はぁ……ここにいろって言われてもなぁ……」
ホテルのラウンジに浴衣で一人。
手持ち無沙汰で仕方ない。
「というか、なんか見られてるし……」
何かおかしいところとかあるのかもしれない。
髪もまだ乾ききってないだろうし……あー! 何で追い出すのよ! みんな!
今どこかおかしい状態で康貴に見られたらどうするのよ!
「有紀は有紀でどこいったかもわからないし……」
それに、康貴からも連絡はない。
もしかしたらって期待して言ったのに、結局康貴は誘ってくれなかった。
まあ、今は会いたい気持ちとちゃんと髪を整えておきたかった気持ちが入り混じってるんだけど……。
「……大丈夫、だよね?」
もう多分、絶対、康貴だって私のことは意識してる! ……はず。
でも今日何の連絡も来なかったのはちょっと……凹む。
部屋から追い出されるって言ったよね?! 心配じゃないのかな?!
モヤモヤする……。
「うー……いっそ他の男子と喋ってるとこ見せつけたら嫉妬とかしてくれないかな……」
ぼそっと言葉にしてすぐに首を振った。
だめだ。康貴は絶対そんなことした途端普通に真に受けて身を引く。絶対引く。
だめだめ。せっかく稼いだポイントがなくなる。
でも……。
これ以上どうしたら気を引けるか、わかんないよ……。
「康貴……」
「あれ? 気付いてたのか?」
「へぁ?!」
変な声出ちゃった。
え、なんで?
なんで康貴が……。
「ここだとあれだから……」
「えっと……うん?」
突然現れた康貴に手を引かれる。
周りにわざと見えるように、私は康貴の手を自分からギュッと握り直しておいた。
夜また更新しますー
何時がいいですかね!