結果発表
結果だけ言えば俺が出たタイミングは割と盛り上がってくれた。
まなみの解き放たれた獣のような動きをさばく姿は絵面としては面白かったらしい。
当然ミスターコンテストとしては顔も重要になってくるので予選落ちみたいな扱いだったが。
「おめでと、隼人」
「ありがと……いやでもこれ、なったらなったで面倒だぞ?」
本戦は上級生も含めて5人が出ていたが、一位は隼人がとった。
隼人はベタなと言ったがあのリフティングは普通じゃなかった。足だけじゃなく肩やら頭を使うのは一つのパフォーマンスとして成立している。
ちなみに予選みたいな扱いの方は割と毎年賑やかしみたいなのも入るらしく、野球部が大声で校歌を歌わされたりしていた。そのおかげで俺も薄れたというか、まなみの付属品くらいの扱いでいけたからよかった。
「とりあえず俺は無事に終わってよかった」
「康貴はめちゃくちゃ緊張してたもんな」
隼人は笑うが仕方ないだろう……。ステージに立つことなんか普通の生徒にはないことなんだから。ほんとに思いつきでまなみの相手というポジションに落ち着けたのはよかった。
「で、女子か」
女子の本戦も男子と同じく5人が残る。
「まなみちゃん、普通にしてれば残れたのになぁ」
「普通にできないところがまなみだからな」
「えへへー」
愛沙と有紀がステージに残る中、客席の俺の隣にまなみの姿がある。俺と出たときのノリのままに自己アピールタイムを迎えたせいで暴れすぎて途中退場となったわけだ。ごめんな司会進行の東野……。
「ま、どうせ来年からも出るだろ」
「どーかなー?」
ミスコンに興味がなかったら今日来れてない生徒がいることを考えたとしても、上級生の抜けたときにまなみが残らないことはあまり考えられなかった。
「で、康貴は誰が勝つとおもう?」
「愛沙」
「即答かよ」
5人の参加者は愛沙と有紀以外上級生だ。それぞれ確かに綺麗なんだが、中でもやっぱり愛沙が可愛く見えた。
別にこれはきっと誰が見てもそうだろう。
「だってなあ?」
「いやー、結構接戦になるとおもうけどな」
「そうなのか……?」
隼人の同意は得られなかった。
「運動神経抜群ですでに運動部に熱烈なファンを作った謎の美少女転入生、絶大な人気で当選した生徒会長、新体操全国大会出場の天才、女子票を集めるモデル経験ありのギャル……このラインナップでいうと、高西のインパクトって、あんまりないだろ?」
冷静に本戦の参加者を説明されるとそうだな。
「でも、見た目は圧倒的に愛沙じゃないか?」
「それは康貴にぃがお姉ちゃんのこと大好きだからだね」
「なっ」
俺はあくまで客観的にそう思っただけで……え?
なんでまなみはニヤニヤしてるんだ!
「ま、悪いことじゃないよ」
「やめろミスター」
「変な呼び方するな!」
なんか妙に生暖かい目をして肩に手を乗せてきた隼人を払い除ける。
おかしい……。俺の目がおかしいのか?
いや、見た目だけ並べれば誰が見たって愛沙が一番……あれ?
「愛沙ってこんな可愛かったのか」
「重症だねえ、康貴にぃ」
「ま、いい傾向なんじゃないか?」
その後の投票でも生徒会長とギャルの一騎討ちになったことから、俺の目が少しおかしくなっていたことが浮き彫りになってしまった。
◇
「なによ……」
そのせいで戻ってきた愛沙とろくに目も合わせられなかった。
「んふふー。康貴にぃはお姉ちゃんが一番綺麗だったって言ってたよ!」
「「なっ!?」」
まなみの落とした爆弾に二人しておろおろさせられたのは言うまでもなかった。
新作短編自信ありですぜひ
我ながら可愛い後輩キャラが書けたと思ってます
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創作のために文芸部の後輩と付き合うことになりました 「先輩、私ラブコメが書きたいです」「そうだな」「じゃあ私たち、付き合っちゃいませんか?」