文化祭デート?
というわけであっという間に文化祭当日を迎えた。
ちなみに合唱はもう終わってる。
「秋津、泣いてたなぁ」
「康貴はもう少し何か、ないの?」
昨日の話を思い出しながら愛沙と文化祭で盛り上がる校内を歩いていた。
外部からも人はそれなりに来ており、学園生は半分くらい。愛沙を見て見惚れる人や何故か道をあけてくれる人、こちらを憎らしげに睨み付ける人と様々だ。
「いや……んー……頑張った、と思う」
みんなをまとめる隼人や秋津を陰ながらフォローした、はずだ。主な機材を運んだり暁人をなんとかやる気にさせたりと、そんなレベルだが。
「まあ確かに、莉香子も感謝はしてたわね」
「なら良かった」
なぜか上級学年が毎年独占する総合賞でも3位に入るほどだった。学年ではもちろん1位。
大勝利に違いないんだが、秋津は本気で総合賞まで見据えていたようで嬉しいのと悔しいので複雑な顔をしていた。
まあ、そんな秋津となぜか二人で買い出しに行ったり隼人たちと過ごす時間が増えたりしたせいかおかげか、俺がこうして愛沙と歩いていてもクラスメイトの反応だけは柔らかくなったように感じていた。
その点だけは合唱祭に感謝しようと思える内容だった。
「誘ってくれてありがと……」
「え……?」
突然すぎて何言ってるかわからずまじまじと愛沙を見つめてしまった。いやわかるんだけど頭で理解が追いついていなかった。
まあうん。頑張って誘って良かった。文化祭は明日もある。本番は明日ということになっていたが、今日もなんとなくこうして二人になった形だ。
「なによ……」
「いや、なんでも……」
久しぶりに聞いた気がするな。
そういえば行事で忙しくて愛沙と話す機会、減ってたかもしれない。相変わらずまなみの家庭教師で顔は合わせるけど挨拶程度だったしな……と、考え事をしていると後ろから声がかかった。
「見つけたー!」
「え?」
愛沙が振り向くのも待たず飛び込んできたのは東野だった。生徒会副会長が廊下を爆走しないで欲しい……。
「探してたよー、愛沙ー」
「ちょっと……抱きつかないで」
「ごめんね? 藤野くん。せっかくのデートなのに邪魔して」
「で、デートじゃ――」
「はいはい愛沙はいいから。お詫びにこれをあげるので好きに使いなさい」
渡されたのは文化祭期間使える商品券のようなもの。各クラスからサービスがもらえるチケットだった。
「ありがと?」
「と、いうことで愛沙は借りていくんだけど……ん? んんんー?」
何故か東野は俺の顔を覗き込んできてうんうんうなっていた。
「ちかい」
「あーごめんごめん。うん! いいと思う! 藤野くんもきて!」
「は?」
「いいからいいから」
問答無用だった。手を引かれる愛沙について東野を追いかけた。
お久しぶりです!
書き始めると進むので書き溜めがひっさしぶりにできました!
秋津の活躍が見たいというリクエストをもらいそうだなと思いながら断腸の思いで合唱はカットしました
一旦メインヒロインを頑張らせつつサブキャラを小出しに入れていきます
修学旅行編に向けて
おさこわも書籍化したい!!!