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第17章
「ユーリ、カウンター見てた?」
「あ、おつかれさまです。あの、え?あの、なんか、凄い」興奮してるようで、何を言ってるのかわからない。
ユーリは顔が上気していて、ティーシャツの腋のとこだけ汗でびしょ濡れ。
「あっちがまだやるんなら、二ラウンドからはもう一方的に殴るつもりだけど。ユーリ、これが見たいっていう動き、ある?」
「ぜ、全部、すごく勉強になります。速くてちょっとわからないですけど」
「あー、でもわたしの動きはだらしないとこ多いからな…次のラウンドは教科書通りにやってあげようか」
「教科書…はいっ」
板頭会長がやたら熱心にまくし立てている。丸戸は首を縦に振りながら聞いている。十万円と、世間体がかかってるもんね。
まあ、うちに喧嘩売ってきたのがそもそも間違いなんだけど。
ただでかいだけ、男に混ざったら四回戦も怪しいレベル。こんなんでプロスポーツ名乗るなよ。
一分のインターバル終了、二ラウンドのブザー。




