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Record dealer.  作者: Mikazuki3242
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1.

認識する者がいない場合、それは認識していると言えるのか。否、それはいないに等しいのだ。

 ただっ広い。そんな言葉がこの場所には似合うだろう。見渡す限りの草原で見えるものは一本の木と木陰で本を読む人影。その他には草を食む動物一匹見つけることはできない。読んでいるのはイワン・セルゲーエヴィチ・トゥルゲーネフの「初恋」だ。

 突然の強風にフードが脱げ、「彼女」の銀の髪と瞳が見える。顔を上げると、いつの間にいたのか、彼女と同じ黄褐色のフード付きコートを着た少女が立っていた。

「やっぱりここにいたのね。仕事よ。享年17歳、名前は池田翔太。生まれつき体が弱いらしく、病死よ。可哀想にね。死亡まであと3日よ」

「わかりました。行きます」

 再び強風が吹くと、彼女の姿はもうなかった。

「全く、あの子はずっと不愛想ですね。あら?…初恋、ですか。珍しいですね、ノクターンがこんな本を読むなんて」



 とある総合病院の一室

「なー翔太、お前大丈夫なのか?だいぶ痩せたよな、死ぬんじゃねーの?」

「あー、そうかも、死ぬような気はする」

「本気にすんなよ!お前は生きるんだろ?治るんだろ?また学校こいよ、授業中にレイドクエストやろうぜ。こないだは田中がバレてさ、大変なことになったんだぜ?俺もばれかけたわ」

 そんな他愛ない話を暫くした後、同級生は帰っていった。

 死ぬかもしれない。それは冗談などではなかった。直感でしかないが、確かに死ぬことを理解した。不思議と悲しくはない。ただ虚しい。そんな気がしていた。

 一人の病室は慣れないものがある。トイレに行くときくらいしか外には出ないのだ。やっぱり個室じゃなくていいと言えばよかったと今更ながら後悔する。そんなことを考えていたら急に睡魔に襲われた。


「初めまして。私、レコードディーラーのノクターンと申しまふ。ほふへんへふが、あなは…んぐ、あと3日の余命です」

 目が覚めると、ベッドの横には見知らぬ少女がミ〇ドのドーナツを食べながら立っていた。

「あの、座ってたべません?」

「では失礼して」

これは夢なのだろうか。然し夢にしては意識がハッキリとしている。そういえば前に明晰夢というものを聞いたことがある。恐らくそれだろう。夢なら夢で何故自分はベッドに寝ているのだろうか。夢くらい元気にさせてくれてもいいのに。そんなことを考えていると、ドーナツを食べ終わった少女が立ち上がる。

「先に言っておきますが、これは夢です。やっぱり、とでもいいたそうな顔をしていますね」

「そりゃあ余命3日を宣告されたら誰だって夢だと思うさ」

「正確には3日と5時間14分32…今29秒になりましたね」

細かいよ、とだけ呟き、再び目を閉じる。

「寝るのですか?」

「いや、夢の中で寝たら起きるのかなと思ってね」

薄目を開けると、どこから取り出したのか、便箋が差し出されていた。

「これは?」

無言だが、開けばわかりますと言われたような気がした。

開いてみると中には展覧会の招待状のようなものが入っていた。展覧会のタイトルは[池田翔太-Record-]

「れこーど?」

「さあ、行きましょう。手を貸しましょうか!」

「1人で歩けるよ」

病室を出るとそこは昔住んでいたアパートだった。

「覚えていますか?」

「うん、ここはね──」



小さい頃から体が弱かった。サッカー選手や野球選手のような夢を持つことさえできなかった。そんな幼少期を過ごした我が家だ。

幼稚園でみんなが校庭でサッカーをしているのを眺めて先生に訪ねた。なんで僕は外で遊べないの、と。

その度に先生は悲しそうな顔で、翔太君は何も悪くないんだよとだけ言う。怒りと悲しみで暴れるところなんだろうが、当時からあまり怒らなかった、いや、自分に絶望していたんだろう。とにかく暴れるようなことはしなかった。

そんなある幼稚園を休んで母と一緒に過ごした日だった。僕が昼寝をしている間に母は夕飯の買い物に出かけたらしい。らしいというのはそう聞いたんだ。目が覚めて何気なく窓際に行くと、同じくらいの年の少年が1人でサッカーをしていた。ついうやらましくて見ていると、ふと目が合った。

彼は笑顔で「一緒にやろうぜ!一人だとつまんないからさ」と叫んだ。でも僕は断った。本当はやりたかったけど彼に迷惑をかけてしまうと思ったからだ。

 彼と次に会ったのはわずか二時間後だった。今日アパートに引っ越してきたのだという。それから彼とは

よく遊ぶようになった。その時初めて名前を知ったんだ。「伊藤宗吾君」。今でも学校が同じでね、週に三回ほどお見舞いに来てくれるんだ。

 この家を引っ越したのは小学校三年生の時、引っ越しはいきなり言われた。引っ越す先は1kmも離れていない近場だったんだけど、当時の僕はもう二度と会えないと思って引っ越しを嫌がったのを覚えてる。お互いに別れを惜しんでね、また一緒に遊ぼうとか絶対忘れないでねとか言い合ったんだ。次の日に学校で会ったんだけどね。



「成程、幼少期を過ごし、親友と知り合った家…ということでいいですね」

「そうなるね」

「ふむ…では先へ進みましょう。どうぞ、この車へ」

 ノクターンがの視線の先にはいつの間にか一台の車が止まっていた。黒子のような運転手が少し不気味だ。

「ねえ、ノクターンさんは何故僕の昔住んでいた家や病室を知ってたの?」

「仕事だからです。私たちの仕事はもうじき亡くなる方の記憶を走馬灯(レコード)として保存すること。なので対象者の大まかな記憶は調べているのです」

「レコードディーラーだったっけ。商人(ディーラー)ってことは誰かに僕の記憶を売るの?」

「そこまでは知りません。私の仕事は保存までです。」

 ただずっと前を見続けている彼女の横顔は何の感情も読み取れず、人というよりは人形のように見える。


 時間にして10分程度たっただろう。到着したのは通っていた中学校。

「つきました。ここが会場です」

「ここが?」

 校舎にも校庭にも、電灯こそついているものの人の気配が微塵もない。車は降りるとすぐにどこかへ走り去ってしまった。

 暫く近くも通っていなかったが、通っていた頃の記憶が蘇ってくる。

「懐かしいのですか?」

 気付くとノクターンはもう昇降口の近くに立っていた。

 校舎に入って驚いた。そこは変わっていないどころか翔太が通っていた頃の通りだった。掲示板に張られた掲示物の一枚は彼が入学した日の、その隣の一枚は卒業した日のものだった。

「うん、なつかしい。そう時間は経っていないはずなのに、ずっと昔のようなきがするよ」

ノクターンは不思議そうな顔をし、そういうものなのですかと呟く。彼女は聞かない限り自分のことを話さない。必要なことしか喋らない。一体何を考えているのだろう。夢に出てきたただ1人の「キャラクター」にそう思った。

昇降口から階段を登ると2年の教室がある。この学校は北校舎、中校舎、南校舎とあり、来たから3年2年1年の校舎になっている。ただ、北校舎と中校舎は三階建て、南校舎は二階建てとなっげいるのは北校舎の一階には職員室や会議室、校長室、保健室があり、中校舎には科学室、科学準備室があるからだ。音楽室と調理室は南校舎の隅にあり、図書室は昇降口の真上にある。入学したての頃は休み時間に歩き回っただけで楽しかった。

2年4組の教室は窓ガラスが1枚割れていた。クラスでも明るいグループが遊んでいて誤って割ってしまった窓だ。当時の翔太の席は丁度その窓の隣...とまではいかないが、少し前にあった。



|□←クラスメイトの机

|←窓

|□←翔太の机

|


いきなり目の前でガラスがわれると、驚くほど反応できないものだ。本を持ち薄ら笑みのまま固まった自分が用意に想像出来る。その後、割った生徒の親が家まで謝罪に来て、母の「さすがにガラスが割れた瞬間を見ただけで...」という呟きを覚えている。



Next…

初めましての方は初めましてなろうでは初投稿ですMikazuki3242和名[カゾクデヒトリダケラガン]と申しますハイどもども〜

本作は私の突発的な思い付きで書き始めちょっと疲れたから数回に分けちまえーってことで変なとこで終わってる作品になっております。

まだまだ物を書くことが下手ですのでアドバイス等いただけますとこちらとしてもとても嬉しいです。

さてさて、今考えるとヒロインの描写が少ないですね。クール系にしたかっただけですけどね。


というわけですので、一時の暇つぶし程度で読んでいただけると幸いです。

それでは皆様、のっちよー

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