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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第三章 特別生のお兄様

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四時限目:ダンジョンGO!

 

 世界樹について深く学んだところで、特別生一同は学園の外に出て、とある場所に来ている。


 世界樹の地下迷宮。


 某ゲームとは関係無いが、途轍もなくデカいダンジョンだ。

 現在、わかっている階層数は84階層。

 まだまだ最下層まで先があるらしい。


「では、これより迷宮探索を始めます。ということで、ここからは2人の担当教師にバトンタッチしますね。では宜しくお願いします」


 リダ先生が話を振ったのは、二メートルを超える身長とはち切れんばかりの筋肉を軽鎧に収めた青髪に巨漢の教師と、右目には眼帯をつけている細身の柔和な青年。


「俺の名前はゴードンだ!学園の迷宮実習を担当している、元冒険者だ!今日からお前らが授業で来るときは、俺が居るんでな!宜しく頼む!」

「私はモルトと言います。同じく元冒険者です。宜しくお願いしますね」


 前者が巨漢、後者が細身だ。

 随分と対照的な2人である。


 にしても、元冒険者か………怪我や年齢で冒険者を辞した人達の次の職場は、ギルドの社員や学園の体育教師に転職したりする。


「ゴードン先生とモルト先生は、元Aランク冒険者で、かの有名な『鉄剣』様とパーティを組んだこともある人です。ダンジョンにとても詳しいので、しっかりと話を聞きましょうね」


 ………あのリョーマの知り合いか。

 そういえば、ここに来てから彼とも会って無いな………今度凸してくるか。


 俺がそう考えてると、ゴードンは生徒全員を見渡し、俺とニーファに目を向ける。


「………なるほどな」


 何か納得したらいが、説明が欲しい。

 達観したように首を振らないでもらいたい。


「よし、これから班分けをする!事前に通達した通りに並んでくれ!」


 今回つくる班は3つ。


 A班:フェメロナ、ミラノ、ステラ、クロエラ

 B班:フィリップ、フリエラ、ティターニア

 C班:ミカエラ、アレク、ニーファ


 どれも三年生が班長を務めている。

 俺とニーファはC班。

 従者組は班について行くも良し、ここで待機するのも良し。

 うちのメリアとプニエルはついてくることを選んだ。

 だから、うちの班は4人と一匹となる。

 既にメリアはやる気のようだ。うんうん、やる気があって何より。


「よし並んだな!それじゃあ、リダ先生はA班、モルトがB班、俺がC班の指導役をする!」

「では、ここで一旦解散として、迷宮の実習を始めましょう」






 世界樹の地下迷宮。


 壁と床、果てには天井も、木の壁で出来た迷宮。

 張り巡らされた根の如く、道別れしている広さトップクラスの巨大なダンジョン。

 ここでは炎系統の魔法を使ったら死ぬ……わけでもなく、木の壁に火がついても、燃え広がらないし、数秒で鎮火してしまうらしい。

 そこは迷宮、なんでも不思議パワーで解決してしまうのだ。


「んじゃあ改めて、この班の指導役をするゴードンだ!よろしくな」


「「「「よろしくお願いします」」」」


「さて、そんじゃあまず迷宮での動き方を説明するぞ」


 迷宮を歩きながら、説明を始めるゴードン。

 さて、彼は冒険者としての先輩でもあるのだから、しっかりと話を聞いておこ―――――








「おい、アレク、アレク!起きんか!」

「…………んあ?」


 どうやらいつのまにか寝ていたようだ。

 …………やばい、何も聞いてなかった。


「がはははは!やっぱり肝があるな!」

「主様、歩きながら寝ないでください……」

「ここで器用さを見せないでくださいませ」


「眠いのは仕方ないよね」

「いや、仕方なくは無いぞ?」


 さて、ゴードン先生の話を聞いた後(約一名歩きながら寝ていたが)、迷宮探索を開始した。


 全員の武器は、

 俺が魔神杖カドケウスと獄紋刀。

 ニーファは素手。

 メリアは黒いメイス。

 ミカエラは赤い宝石のついた杖。

 ゴードンは大剣を装備している。


 メリアは見かけによらず、力任せに攻撃ができるメイスを選んだ。

 もちろん、俺特製の武器である。


 轟砕の爆戦棍:魔王の兄が作った黒の戦棍。爆発と重量増加、軽量化の魔術式が刻まれた特別製の武器。如何なるものも破壊し、己が覇を突き進む。ランク-S。


 文字通り力任せに振り、当たれば爆発、もしくはその重さで砕ける武器。製作者である俺か、所有者認定してあるメリアが持つと、軽量化によって軽く感じる仕様である。


「なぁ、アレク。なんで二刀流なんじゃ?……正確には杖と刀じゃが」

「ん?………あぁ〜、いやさぁ、この杖とも長い付き合いだし、この頃出番なかったからさ」


 意思を持つ杖、魔神杖カドケウスを長らく放ったらかしにして、獄紋刀ばっか使ってたもんだから、アイテムボックスからも滲み出る不満のオーラ的な何かが溢れてたんだ。


 魔法を使う際、発動体としてこの二本とも有能である。

 しかし、大規模な魔法や、魔力の流しやすさから言うと、魔神杖の方が使いやすい。

 獄紋刀でも魔法発動の媒介にできるのだが、改めて考えると魔神杖使えばよかったんじゃね?って思える場面が多いなぁー。


 そうして、とりあえず順調な滑り出しでダンジョン攻略を行っていると――。


「あ、宝箱だ」

「む……ほんとじゃ」


 通路の隅っこに、隠されるようにして置かれた一つの宝箱。


 所々にいるモンスターをみんなで気楽に倒していたら、普通に見つけた。


「あんちゃん、気を付けろ。宝箱ってのは、五割が侵入者をハメるための、侵入者の気を逸らすための罠だ。中身が入っている場合しかり、入っていない場合しかり、な。まぁ、流石にこの階層じゃないかもしれんが。ものは経験だ」


 と、宝箱に気を引かれている俺を見て、注意などを促してくるゴードン先生。


 む……まあ、ゲームじゃないんだし、そりゃそうか。


 俺だって貴重品は家の方にはおかないで、アイテムボックスに入れるし、それでも途中で宝箱を設置したとなれば、十中八九罠とするためだろう。


「オーケー、十分気を付けるよ。ま、けど任せろ、こういう時のためにいいモン持って来てんだ」


 見逃す手もあるが、初めての宝箱だしな!

 仮に罠だとしても、これは是非とも開かなければならんだろう。


 索敵系の魔法が反応を示さないので、コイツがミミック的な魔物ではないことは確定。

 だが《罠感知》で見ると、……何か仕掛けられてはいるようだな。内部に魔力が一定箇所で固まっているのが確認出来る。

 錠前も、宝箱自体の内部に組み込まれているものが一つ。フタを開きたければ、コイツもどうにかしなけりゃいけない。


 しかし、俺はそんな、罠なんかを解除するような技術は持っていない。


 ならば、どうするか。


 俺の魔力を使うのだ。

 正確に言うと、俺の魔力を凝縮させ、鍵穴に突っ込んで、魔力の形状を感覚で合わせる。ここ重要。感覚ってのが大事。


 言葉通りに、可視できるほど凝縮された魔力の塊を使って、いじり続け――――やがて、カチャリと宝箱の内部から音が鳴った。


「よし、開いた!」


「「「「おぉ……」」」」


 様子を窺っていた後ろの連中が、感心した声を放つ。


 俺は、さぁ初めての宝箱だ、例の音楽と共にとワクワクしながら宝箱のフタを開け――。






「…………え」


 ――俺の視界に飛び込んできたのは、宝箱いっぱいにビッシリと詰まった、大  量  の  虫  さ  ん。


 開いた瞬間、フタの裏側にくっついていたソイツらが、何匹も俺の指を伝って掌を上り始め――。


「んぎゃああああああああッッ!?!?!?」


 俺は、悲鳴をあげて宝箱のフタから手を離し、腕をブンブンと必死に振って引っ付いた虫共を払い、転げながら大慌ててで後退あとずさって、たまたまそこにいたニーファに抱きついた。


「ヒック………ニーファあぁぁぁ……」

「あー……よしよし」


「ちょっとあの虫を片付けてきますね……ミカエラ様、燃やせます?」

「…えぇ。流石にこれはね……」

「虫なんて出んのか……俺でも初だぞ、虫が出んのは……」


 しばらくダンジョンに行かないと決めた瞬間だった。


 ……この世から虫を全滅させようかしら?





よくよく考えたら、

ここの特別生の名前って『〇〇エラ』が3人もいる件。

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