一時限目:世界の歴史
明くる日。
本格的に始まったユグドラシル中央学園の授業。
まず最初の授業は、この世界フォルタジアの歴史からだった。
「遥か昔……三千年程前、地上の民である全種族はとある神々によって窮地に立たされました」
その話はとても有名。
三千年前、後に『神魔大戦』と呼ばれる戦争で。
四人の神が世界をそれぞれの目的で攻撃し始めた。
人族と魔族、獣人族、エルフもドワーフ、精霊も全てが狂わされ、混沌の淵に陥ってしまった。
特に、我ら魔族は神の洗脳によって全世界に宣戦布告し、悪の権化に成り下がった。
大地も空も海も、全てが死の淵を渡って行った。
世界に害をなす神々を、人々は《四堕神》と呼び、畏怖してきた。
全ての魔を支配し統率する《魔統神》
異界の謎技術を詰め込んだ《機甲神》
この世の禁忌を知る欲深き《禁帝神》
世界の生命体の父とされる《天父神》
この四堕神を迎え討とうと散った英雄は数知れず。
人族は多くの戦術と技術で戦うも、異界の科学力に勝つことは叶わず。
魔族は神の洗脳で全世界に宣戦布告し、悪の権化に成り下がった。
獣人は神の遊びで獣に堕ちた者と、正気の者との内戦が勃発し。
精霊は世界の滅びと共に荒れ狂い、徐々に姿を消していった。
それを救ったのが、二柱の神と五人の英雄。
今や神のトップを飾る《太陽神》と《夜天神》。
そして、《五英雄》と呼ばれる、
《天焔の戦乙女》セリカ=ヘッドアーク
《蛮勇なる獅子》グラジオ=ライオンハート
《精霊の寵愛児》レイシア=セルクチェアリ
《魔に反する者》アード=ルノワール
《奇跡の異邦人》名称不明
彼等は世界を救うためにその身を捧げ、《四堕神》を封印することに成功して世界を救うことになったのだった。
………という、遥か古代の実話。
《蛮勇なる獅子》は初代獣王となり、現在もその血と思いは受け継がれているらしい。
この際、魔族は《魔統神》の洗脳により過激となり、世界に攻撃し始めたのだが、唯一洗脳を寄せ付けなかった《魔に反する者》は魔族を救うためにその身を投じたという。
…………それに、《奇跡の異邦人》。
こいつが一番気になって仕方ないのはダメなのだろうか?
何だよ。名称不明って。
伝承に残されてないのか?
……かわいそうに。
しかし……もしこの《四堕神》とやらがこの時代に復活したら……どうなるんだろうな?
(なぁなぁニーファ)
(むっ!……念話か?アレク)
俺は魔法による《念話》を使ってニーファと脳内会話を始める。
(ニーファは古代の戦いの時いたの?)
(うーむ……確かその時代の我は幼子じゃったし……昔のこと過ぎて覚えとらんな)
いや、ここでわかったことは1つ。
ニーファは3000sa………いや、何でもないです。




