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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第三章 特別生のお兄様

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天才魔法学者と脳筋獅子王女

 

 自己紹介タイムが終わった後、特別生組は交友関係を深めるための時間となった。


「アレク君、ニーファ君、同じ一年としてよろしくっ!!」

「おう。よろしくな、クロエラ」

「うむ。よろしく」


 隣の席に座るクロエラがまず話しかけてくる。ボサボサの灰髪を掻き、黒縁の丸眼鏡と新品の白衣を纏う姿は、まさしく科学者である。


「クロエラって、何を研究したり、開発したりしてんの?」


 俺が純粋な質問をすると、クロエラは嬉しそうに頰を染めて、語りだす。


「よく聞いてくれた!ボクは魔法学を中心に研究しててさ!そりゃあもう、好き勝手やらせてもらってるんだ!例えば《不可能技術(ロスト・スキル)》と呼ばれる迷宮の霊素皮膜結界を再現した《擬似霊素防壁》とか、禁忌と呼ばれて封印された人体錬成の再現とかーーー」

「ちょ、ちょいまて。お前の偉業はよぉーくわかった。ありがとな」

「おう!わかってくれて嬉しいよ!いやぁ〜これを理解できない爺婆共は文句しか言ってこなくてさぁー。それなら、研究室から出てこの学園で研究すれば面倒にならんと思ってさぁ!」

「んー……器物破損とか面倒ごとは起こすなよ?」


 心配だ。こいつ。

 やっぱり研究職っぽく、一度話し出したら止まらないタイプだな。

 てか、俺と違う方向のヤバい奴だなぁ……


「ふむ……古代魔法も再現したのか?」

「あぁ!魔法に関することは色々と手を出したら、できるんじゃね?と思ってすっね!まぁ、まだ出来ないこともあるけど」

「ほう……お主、凄いではないか。褒めてやろう」

「おぉう……女の子に始めて褒められた……」

「良かったな。これからも頑張ればもっと、ホメラレルカモヨ」

「うーむ……ちょっと考えてみようかなぁ……」


 俺の悪ふざけで悪堕ちしそうなんだが。

 クロエラは、俺達を忘れたように思考の海に沈んでいったようだ。


「おい、貴様等。アレクとニーファと言ったな?」

「「ん?」呼んだ?」


 次に現れたのは獣王国の姫、フェメロナ=ライオンハートだ。


「貴様等、ヘルアークの武闘大会の決勝で殺りあったのだろう?」

「え、そうなの!?」

「はい。フェメロナ先輩の言う通りですね」

「まぁ、そうだな」


 クロエラは俺達の実績を知らなかったらしい。

 まぁ、研究職でひきこもってたんだろう。まぁ知らなくても良い情報なんだが。

 フェメロナの大声で、教室中の視線が集まる。


「そういうことで、だ!!」


 いや、どういうことだよ。本当に、どういうことだよ。


「武勲のある貴様等……特にアレク!貴様に、決闘を申し込む!!!」


 そんな、戦いたいオーラを出しまくっているフェメロナに、俺はーーーー


「いえ、結構です」

「はぁっ!?!?!?」


 堂々と断る。

 いや、当たり前でしょう。

 なんで入学早々、面倒ごとを引き起こさんといけんのだよ。

 戦闘狂か?コイツ。さては脳筋だな?


「なんでだ!!強き者として、私と戦え!!」

「メリットは?」

「は?……メリット?」

「そう。俺が戦ったことによる有益な結果がありますか?無いですよね?貴女に用意できるのですか?ってことで、お断りさせていただきます」

「………………」

「うわぁ……凄い度胸だねぇ……」

「それがアレクなんじゃよ。うん」


 脳筋対策、発動!

 適当にそれらしい事を支離破滅的に?言ってみれば相手は硬直する!瞬時に理解できる頭がないから!!

 もうコイツ確定だな!脳筋娘だコイツ!


「利益……むー……私が用意できるもの……うーん……」

「……えっ、ちょ……悩むならやめましょう?」

「いや、私は強者と戦いたいのだ!」

「………めんどくせぇ……」


 本当に戦闘が大好きなご様子。

 まぁ、獣王国の王族は、代々戦闘を好む者が多いって、噂を聞くしなぁ……実証済の。


「まぁまぁ。アレク君も彼女の為に戦ってあげなよ」

「むっ……理想の王子様像第1位のミラノ先輩じゃあないですか」

「……なんだい?そのランキング……ま、取り敢えず戦ってみなよ」

「えー」

「私は大会で君の武を見たけれど、他の人は見てないから、疑問を持つわけだよ。言ってしまっては失礼なのだけど、君達見た目は子供だから」

「身長が低いっていうんですかねぇ!!」


 まぁ、身長云々は兎も角、実力がわかってないねぇ……まぁ、懐疑的な視線を送る奴も少なからずいるわけだし。


「………はぁ……仕方ないですね」

「た、戦ってくれるのか!?」

「えぇ。仕方なく、仕方なく、ですが」

「そうか!じゃあ、今すぐグラウンドに……」

「えっ、ちょっ、先生!空いてる時間はいつですか!」


 俺は傍観している担任、リダ先生に聞く。


「そうですねぇ……では、次の授業で2人の模擬戦をしてもらいましょうか。あ、場所はグラウンドではなく、闘技場を使えるように、今から学園長達に打診してきますね」


 そう言って、リダ先生は颯爽と教室を出て、職員室…いや、学園長室に向かっていく。


「あぁ……まためんどくさいことになった」

「アレクが承諾したのだろう?まぁ、がんばれ」


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