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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第三章 特別生のお兄様

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多人数旅路録 肆『世界の中心』

 

 いくつもの寄り道をして、結果的に4週間……つまり一ヶ月程の長旅をアレク達は終えた。


 そう、終えた。


 既にここに来た者達は例外として、アレクとメリア、プニエルは、その場所を見て言葉を失っていた。


 水平線先まで広がる蒼き海に浮かぶように見える真っ平らな大陸と、それを繋ぐ4本の陸続きの道。その大陸を囲うように真っ白な城壁が広大な敷地を囲んでいる。

 その中で最も目に映るのが、この場…中央大陸の象徴であり、未発見も含めて世界に10本存在すると言われる世界樹(・・・)が、大陸の空を覆い隠すように、見事な緑葉を広げている。


 世界同盟の本拠地が置かれ、世界最大の学園で皆が切磋琢磨して、自然と人工物の調和を成した世界の中心地。


 世界都市ユグドラシルに、アレク達一行は到着したのだった。




 ◆プニエルを抱き枕にして寝てる主人公アレク


 ………なんか、この景色を眺める前に、何故かに悪意を感じるのは気のせいだろうか?

 ま、まぁ兎も角、俺達は世界都市に無事着いた。

 なんの問題もなく。


 途中でダンジョンに寄ったり、近場の盗賊を壊滅させて売り払ったり、間違えてニーファの尻尾を踏みつけて追いかけっこをしたり、と楽しいことが沢山あった。

 あ、いや。ニーファの件は楽しくもなんとも無いわ。滅茶苦茶怖かったもん。辛かったし。


 で、だ。

 話を戻して、俺は世界都市ユグドラシルのある中央大陸を眺め直す。

 ニーファは世界樹を既に何度も見ているらしいので、感動も糞も無いらしいが、俺にとっては新鮮なものだ。

 だが、一番勝るのはいくつかの疑問点。


 その1。

 あんな大樹が真ん中にあったら洗濯物干せないし、地上はとても暗いんじゃね?と。

 日照権の欠片も無いのかと。

 それを、マサキに質問した、解答はこれ。


「あれ、原理もよくわかってないんですけど、あの樹の下に影が出来ないんですよ。確かにそこに形としては存在しているのに、影だけは無い。世界都市に住む研究者達にとって一生の研究対象らしいですよ」


 その2。

 一応、四大陸に挟まれ、もとい囲まれているが、津波で亡びやしないかと。だって、どう見ても海の上にある丘程度の高さだし。

 それも、マサキに質問した、解答はこれ。


「あの城壁も、街の建物も、全部特殊加工が施された魔鋼煉瓦なんです。魔鋼煉瓦と言うのは、魔法や物理的攻撃などに強く、耐震性、耐水性、耐火性にも優れた最強の煉瓦らしいです。昔はそんなに作れなかったらしいですけど、色々と技術が進歩したおかげで、世界都市全体に回せる程には増えたらしいです。まぁ、輸出には向いてませんけど。あ、一応、僅かながら輸出はしてるみたいですけどね」


 その3。

 潮の満ち引き的に、あの陸続きの道は常時存在してるの?それとも、時間で消えるの?

 同じく、マサキに質問した、解答はこれ。


「あぁ、あの道は確かに潮の満ち引きとかの影響を受けやすいですけど、問題はないです。まぁ、昔はよく沈んでたらしいんですけど、近年は防波堤を築き、道に土を盛って整えたりした結果、今のところは問題ないと言う話ですね」


 結論。世界都市すげぇ。以上。


「はぁーん。要するに、俺はここに住むと」

「そういうことじゃな」

「ほへぇ〜」

『おっきいねぇ〜』


 三者三様……と一匹が、それぞれの感情で見上げる。いやー壮観だね。


 その後、何の問題もなく、というかしょっちゅう問題が起きるはずもなく、俺達は門を抜けて無事都市に入ることができた。

 まぁ、都市を中心に活躍する勇者に最強の鉄剣、そして仮にも王族(たまに忘れるが)が居るので、問題が起きたら色々と面倒なんだが。


「それじゃあ、アレクさん!何かあったら呼んでくださいねー!」

「バイバイ!」

「また会いましょう?どうせ近くにいるんだし」

「……またね」


「じゃあな、お前ら!……待ってろよ、クレアーーー!!」


 健全な勇者パーティと欲望ダダ漏れなリャーマと別れ、俺達はユグドラシル学園に向けて歩を進める。街の風景はとても綺麗。まぁ路地裏に行けば普通に汚れてるんだろうけど、頻繁に各国の上層部が訪れるだけあって清潔感が保たれている。


「そう言えばアレク。お主、学園では特別生として入学するのじゃろ?」

「うん」


 てか、何でニーファも入学するのだろうか?

 君は別に学ぶことなくない?神竜だよね?

 いや、まぁあれか。余興的な感じかな?


「自分が魔族の王族と周囲に知らしめながら生活するのか?」

「いや?全然」

「え?違うんですか?」

「何故じゃ?」

「いや、俺が王族だからって好き勝手に出来るわけないじゃん。それに、王族だとわかった上で気軽に接してくる奴はいるか?俺は居ないと思うぞ。それに、ただの庶民で特別生だと思われた場合、いや無理があるかもしれないが、全面的に俺達が有利な状態に出来る自信がある。つまり、俺は『ただの庶民』として入学する!」

「ただの庶民が私のような奴隷を持ってませんよ?」

「謎の自信じゃな」

「…………」


 そういうのは気にしない方向で。


 まぁ、兎も角。

 世界都市ユグドラシルでの新たな生活が始まりを告げるのだった。



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