多人数旅路録 参『一度帰郷』
みんな、ただいま!帰ってきたよ!
馬車に揺られて既に三週間。
俺たちは道先の町や村を転々とし、世界都市へ向けて進んでいた。
が、今日は俺にとっても色々と重要な日なので一度、魔王城に帰ることになった。
俺とニーファとプニエル、そして俺の従者としてメリアが行く。
メリアは、魔王に会うということで緊張している。
ということで、勇者&鉄剣達とは1日だけ別行動。
彼等は、わざわざ泊まっている町で待っていてくれるらしい。優し。
はい、それじゃあ、トウ!転移!
「兄様、お帰りなさい!」
「うん。ただいま」
「あ、ニーファ様とプニエルちゃんも!」
「うむ」
『ユメねぇ!』
次期魔王ユーメリア……俺の妹のユメがわざわざ城の門まで出迎いに来てくれた。
かれこれ一年ほど経っているが……そこまで変わってない、な。うん。
「……貴女が、メリア、さん?」
「は、はい。初めましてユーメリア様。主様…アレク様に買われた、メリアと申します」
「ふぅん。……よし、わかった!兄様のことよろしくね!メリアさん!」
「はい!…………さん付けはやめてほしいんですけど…」
「えぇ〜〜」
二人も仲が良さそうですなにより。
「ユメ、魔王の勉強はどうだ?」
「はい!大丈夫です!」
「いやいや〜いつも、顔が死んでるわよね〜」
ユメの発言を正すように、のんびりと声を出して現れたのは、エリザベート母さん。
「母さん、ただいま」
「お帰りなさい、アレクちゃん。あ、プニエルちゃんにニーファちゃん、それに、メリアちゃん、だったかしら?アレクの母です。よろしくね」
「よ、よろしくお願いします」
あーー。今日のメリアは腹が痛いだろうな。
そして、母さんに誘われるように城に入り、長い通路を歩く。そして、俺達は父さんの執務室前に到着し、入る。
「よく帰ってきたな。アレク」
「ただいま帰りました、父さん」
魔王シルヴァトスは相変わらず覇気を纏って魔王としての厳格さを保ちながら、政務を執っていた。
「もうすぐ、この書類も捌き終わる。それまで待っていてくれ」
「はい」
その後、政務を終えた父さん達と共に、俺達が歩んだ一年間を軽く話し、メリアとの出会いも話しながら、日が暮れたのだった。
その後、俺の12歳の誕生日を祝われ、夜は更けていく。
「アレク。お前が行く学園のことだが」
「はい」
「ニーファ殿と二人で入学してもらう事はわかっておるな?」
「はい。あ、メリアとプニエルは……」
「無論だ。メリアはお前の従者として。プニエルは従魔として、な」
「ありがとうございます」
父さんと学園の入学時の話を聞く。
一応、ここにはニーファとプニエル、メリアもいる。
ユメと母さんは既に自室に戻り、ここには俺たち5人しかいない。
「二人には学園の特別生として入学してもらう」
「「特別生?」」
はもった。
そして、父さんからの説明をざっくり訳すと、
基本的に特別生は学費免除。
王族やそれに値する方々が集う集団クラス。
学園は三年制だが、この特別生クラスは学年の壁が無いのが特徴だ。
そして、場合によっては授業が免除。
希望する者は一般生徒に混じり、カリキュラムに沿った授業を受ける事は可能。
月に一度のホームルームにさえ出席すれば、基本的に校内で何をするのも自由。
研究棟の一室を借りて研究に没頭するもよし。
修練棟の一室を借りて修行に明け暮れるもよし。
学園の大図書館に赴き、読書に明け暮れるもよし。
食堂でひたすら飯をかっこむのもよし。
大学の敷地から出て、冒険者として活動するもよし。
色街に繰り出して、適当に遊んでくるもよし。
ただし敷地外での出来事に関しては自己責任で、だそうだ。
生徒と名はついているが、研究員に近いのかもしれない。
もっとも、特別生にも色んな形態があるようだ。
他の特別生は基本的に授業免除というわけではないらしい。
俺とニーファはかなり自由を認められているようだ。
もちろん、禁止されている事はある。
例えば、世界都市において犯罪とされる行為全般。
学校に対する犯罪的破壊活動や、世界同盟に唾吐く行為等。
詳しいことは校則を読んでくれと、冊子サイズの薄い本を一冊渡された。
その場でパラパラと四人で読んでみたが、
基本的に、俺の知る常識に則った行動をしていれば問題はなさそうである。
まぁ、種族も年齢も性別も、全てが様々で自由な風体の世界規模の学校というところか。
「楽しみだな」
「じゃな」
「私は授業を受ける側では無いのでわかりませんが」
『ふみゅ〜』
次の日、俺たちは家、城を出て転移。
また世界都市へ向けて旅を始めるのだった。
次回は本格的に学園編です。




