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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第三章 特別生のお兄様

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多人数旅路録 弐『寄道迷宮即攻略』

テスト勉強なんて、やってられっかよ!

ってことで、前回の発言を一時撤回して投稿(笑)

 

 ◆寝人アレク


「おーい。起きろー」


 蕾の花畑を移動してから早三日。

 相変わらずやることがないので寝ていた俺達と違って、周囲の安全を確保、もとい暇つぶしに出ていたリョーマが大声で起こしにきた。


「………なに?」


 まったくもって頭が働いていない状況で起きる俺とその他数名。


「いや、ダンジョン見つけたぞ」

「なに!」


 ダンジョン。

 冒険の舞台となるさまざまな神秘や謎や宝が埋もれている危険な地下領域。その様態は洞窟であったり人工的な建築物であったり、怪物の巣穴であったり、時には森や山道であったりと様々。ダンジョンには必ずと言っていいほどならず者や獰猛な魔物、魔獣が徘徊し、時には罠や何らかの装置が設置されて、侵入者、もとい冒険者を阻むために待ち構えている。

 冒険者がそこに行く理由は簡単。

 一攫千金、地位名誉、強くなる為、様々な思惑の元彼らは集う。


「よし、行こう」

「「いやいや待て待て」」


 俺が衝動的に馬車を飛び降りようとしたら、マサキとニーファに背中を引っ張られて一回転。

 邪魔をされた。


「なんだい?行っちゃダメなん?」

「いや、準備しましょうよ」

「単騎で突っ込んで死んだら身も蓋も無いわ」


「いや、元から皆んなで行くつもりだし。ってことで、おっさん、そのダンジョンは何処に?」


「話を聞いとらんのか?待てと言ってあるのだぞ?」

「あ、え、はい」


 流石にドスの効いた声で言われては何もできません。はい。


 その後。


 馬車を俺のアイテムボックスに仕舞い、リョーマ自ら近場の森に案内されて、ダンジョンの入り口にやってきた、のだが…………


「小さくないかしら?」

「小さいです」

「小さいですね」

「……生まれたてね」


 勇者ハーレム勢に文句を言われる程、入り口が小さいのだ。このダンジョン。

 リョーマが膝立ちになって通れるぐらいの狭さ。

 生まれたて、つまり生成されたばかりのダンジョンは非力で小さい。

 だが、ここで潰せば今後の周辺被害とかを考慮して安全になると思われる。

 まぁ、兎も角。


「ここって入れんの?」

「………プニエル、いけるか?」

『はーい』


 ニーファがプニエルを偵察隊として死地に送る。

 いやまぁ、生まれたてのダンジョン如きに素晴らしいレベリングをさせたプニエルが負けるわけないんだけど。

 そして、プニエルはすぐに帰ってきた。


『見てきたよ〜』

「「「早っ」」」

『あのね〜、入ったらすぐに突き当たりがあったんだ〜』


 文字通り、生まれたての赤ん坊ダンジョンだったらしい。

 うわ〜〜。やる気が失せたわ。萎えたわ。


『でも、壁に空いたヒビから風がふいてたよ〜』

「「「なに!」」」


 つまり、実は道が続いていると?


「………取り敢えず」

「行きましょうか、ね」

「もっと入り口は広がれねぇのか…?」


 いや、基本的にダンジョンの壁は壊さない。

 神的パワーだか何だか知らんが、新旧関わらずダンジョン全体に『霊素皮膜結界』という古代技術の結晶が施されており、物理的、魔術的な変化や破壊を完全にシャットアウトする。

 俺の全力でも破壊できる気はしない。


 ……あ、一人だけ例外がいたわ。


「ん?なんじゃ?」

「いや、ダンジョンについて考察してただけ」

「……そうか」


 兎に角、その霊素皮膜結界とは、近代の魔術師にはどんな理論でどうやったのか、まったく理解不能な得体の知れない古代の遺物ということだ。

 まぁ、お約束通りの奥に設置されたダンジョンコアを破壊したら消滅するのだが。


 そして、小さな入口を通り抜け、早速ダンジョン内に踏み込めば………


「ゴブ、ゴブ」

「ゴブー!」

「ゴ、ゴブー!」


 ボロい貧相な装備を付けたゴブリンの集団と遭遇。汚い茶色の腰蓑を付けてるだけだし、武器は木とか石の棍棒だけ。

 ………もしここがそれなりに栄えたダンジョンだったら、死んだ冒険者とかの装備品を身につけてるんだろうけど。

 てことで、はい、サクサクサクーーー

 魔王子に神竜、勇者に人類最強が集った謎集団に勝てるわけがないのだよ。

 場に居た全てのゴブリン、計七匹を潰した。

 なお、ダンジョン内で死んだ魔物はすぐにドロップアイテムを残して消滅する。

 うん。ゴミですね、腰蓑なんていらねぇよ。


 そういえば、そこに挑む冒険者や、コアのエネルギーを求めて入り込む魔獣とかは数時間は消えないんだけど。

 ダンジョンで生成されたかされてないかの違いかな?

 どっちにしろ、消滅するから知らんけど。

 一応、南無。


「……確かに風が通ってるな」

「うむ」

『そよかぜ……でもなぁい』


 うん。本当に若干感じる程度の微風だ。

 逆に、よく気付けたと思うよ?流石プニエル。

 そうやって褒めながら頭を撫でてやれば、嬉しそうに体を押し付けてくる。かわゆい奴め。


「………結界が張られてないな」

「そう、ですね。壊せますね」

「てことは、ダンジョンの壁じゃ無い?」


 まぁ、見た目からして崩落したかの様な壁だし。

 この奥に道が続いていると信じて!


「《側面掘削》《側面硬化》」


 適当に魔法を作って壁を掘る。

 掘った場所、その周辺を崩落を防ぐために固める。


「本当に便利な魔法ですね」

「いや、普通あり得ない代物なんだけど……」


 周りの声なんて気にしなーい。

 そして、約二分ほどで人が通れるほどの穴が出来た。


「「「「「「……………………」」」」」」


 はい。攻略完了ですね。

 目の前に鎮座する小さな青い球の結晶体。

 ダンジョンコアだ。

 ……しかし、拍子抜けというか、予想通りというか、つまらん。


「壊すか」

「そうですねそうしましょう」


 マサキからの許可を得たので、俺は獄紋刀をコアに向かって振るいーーーーーー


「グガアァ!」


 コアから現れた虎型の魔物の奇襲に驚愕する。


「「「「な!?」」」」

「あっ」

「グギャアァっ!?!?」

「「「「あ………」」」」


 えっと……うん。

 多分、コアが壊されるのを防ぐために目の前に魔物……いや、ボスを召喚したっぽいけど、俺の獄紋刀で綺麗に真っ二つ。

 コアごと獣を真っ二つしました。はい。

 虎さんは消滅して毛皮を残して、真っ二つのコアはその場に落ちたまま。


 …………しまらねぇ!!!


「いや、まぁ……攻略できましたし、ねぇ」

「う、うむ……大人げないがな」

「流石にその終わり方はねぇわー。この虎が可哀想だ」


 こうして、寄り道ついでのダンジョン攻略は呆気なく終わりを迎えたのだった。


 もっと、頑張れよ、ダンジョンさんよ…

 今度ガチでデカイダンジョンがある所に行こうかな。

 あ、ダンジョンコアは回収できるんで回収。

 後で冒険者ギルドに提出すれば攻略、もとい破壊が認められて、昇格の道が近づくのだ。


 まぁ、どうでもいいんですが。


 世界都市への道のりはまだまだ続く。



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