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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第二章 冒険者のお兄様

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奴隷巫女メリア

 

 先日、仕事(暇つぶし)帰りに倒れた奴隷少女を一人拾って、騎士団に救出を求めた俺達一行は現在、王城の外側にある近衛騎士団の詰所に来ている。


 既にあれから1日が経過し、やっと彼女が目を覚ましたので、と騎士からお呼び出しを受けた俺とニーファ、プニエルは一応そこに出向いている。


「えっと……助けてくださりありがとうございました」


 少し怯えと敬いを帯びた風体で礼をする少女。


 名前はメリア。兎人族の奴隷。


 身長は165cmありそう……てか、今の俺よりも背が高いかな?絶対に抜かしてやる。

 救出時には薄い貫頭衣を着ていた為、ボディラインが非常に良くわかってしまったのだが、今はゆったりとしたワンピースを着用している。

 腰まで伸びた薄いピンクの髪を下ろし、垂れた白兎耳と兎のような赤い目が特徴的。


「どうも。体調はいかがですか?」


「は、はい。問題ないです」


 ……………何故かぎこちないのだが。疑問。


「アレク殿、ニーファ嬢に少しお願いがあってお呼びいたしました」


「「お願い?」」


 お願いってなんだ?

 まさか、この娘を買ってくださいとかじゃあないよね?

 あ、やべ。フラグを折らな…………


「彼女を買ってもらいたいのです」


 うぇーい!やったー!想像通りだね、チクショー!

 買うってなんで?奴隷なんて買ってもさー……戦力的には十分なんですけど!?

 規格外なドラゴン娘が此方には居ますし!!


「何故、買わねばならんのじゃ?」


 ニーファは、目の前に販売対象が居るにも構わず問いただしている。

 度胸あるよなぁ。


「いえ、彼女の職業…いや、加護が問題でして」


「夜天神か?」


「……………既にお知りになっていましたか」


 あー………まぁ、王城の魔道具なら簡単に加護とかステータスを見れるか。

 魔王城にも鑑定の玉とか言う魔道具が有ったし。


「夜天伸の加護に問題ですか?」


「はい、神話で上級神の一柱である夜天神の加護持ちを奴隷として扱うと、その、宗教的な意味合いもあって色々と大変でして………」


「あー……宗教はめんどくさいですねぇ…」


 この世界の主要な宗教は主に二つ。


 ソレイユ教とアンテラ教。


 太陽と光の女神ソレイユを崇め、方や月と闇の女神アンテラを崇める二大宗教。

 大昔はこの二大宗教同士の戦争が勃発し、大陸を巻き込んだ戦に発展したらしい。現在は世界都市の東と西に本部を置き、所謂監視状態でお互いを牽制しているらしい。まぁ、昔よりも関係は良好らしいが。


 ……ん?……アンテラ?どっかで聞いた気が…


 いや、そんな事はどうでも良い。今はメリアの奴隷の件だ。


「で、俺達が彼女を買わなければいけない理由は?」


「……実は…」


「そこは我から話そうじゃないか」


 ドンっと勢いよく扉を開けて現れたのはヘルアークの国王陛下。


「へ、陛下っ!?」


 その場にいた騎士やメリアは跪き、俺とニーファはめんどくさいと訴えるような眼で彼に目を向ける。プニエルは先程から状況がわかっていないのか、プルプル震えているだけだ。冷たい。


「で、何故国王ともあろう方が此処に?」


「いや、説明が居ると思ってな。我から話そうと来た次第だ」


「いや、スタンバイしておったろ?気配を薄くまでして」


「ん?バレておったのか」


 え?俺は気付かなかったけど。てか、そこまで気配に用心してなかったわ。今度から気をつけよう。てか、俺達の無礼は無視ですか?床に平伏している騎士達がプルプル震えてますよ?

 反感買ったかな?


「まぁ良い。騎士諸君、楽にしたまえ。無礼講だ。此奴らに礼儀などは必要なかろうて」


 王の言葉で渋々立ち上がる騎士達。

 少し俺達の対応に納得していないようだが………気にしても意味が無いな。

 奴隷のメリアちゃんは緊張でガチガチに固まってますね。


「まぁ、そこの少女……いや、巫女と言えば良いか、お主らの手の届く範囲に居れば問題ないのでは無いかの、と思った次第だ…………お主らも加護持ちであろう?」


「「サッ」」


「………二人して目を晒すな」


「何故知っているのか、尋も……質問しても宜しいですか?」


「耳に入れてはいけない単語が聞こえた気がするが……まぁ良い、この城に出入りする際に通る門があるであろう?その門自体が巨大な鑑定魔道具でな。入城してきた者、退城した者を簡単に把握できるのだ。そこでお主らの加護を知ったわけだ」


「そ、そのようなものが……」


 あれ、近衛騎士でも知らない新事実。


「まぁ、鑑定の事を知り得るのは王族と五大臣、近衛騎士のトップ二人、そして鑑定結果を確認する部署の者のみだからな。それに一応諸君らのことは箝口令を出しておるから、広がる恐れはあるまい。あ、お主らも黙っておれよ?」


「は、はい!」


 場に居合わせた騎士にも箝口令を軽くし、俺は説明を促す。


「そこで、同じ加護持ちの二人に少女の買取を頼みたいのだ」


「奴隷解放は無理なのか?」


「無理じゃ。如何なる手段を使ったのかわからんが、術式が異常でな。手が出せん。まぁ、実害は無いと結論を宮廷魔術師が出したから、問題は無いだろう」


「………どうする?アレクが決めて良いぞ」


「ニーファはどう思う?」


「いや、我はどちらでも構わんぞ」


 二人で目の前の少女、メリアを見る。


「……………君は俺に買われたい?それとも……」


「か、買ってください!お願い、します」


 間を空けずに答えるメリア。


「………いくら?」


「お主らに引き取ってもらうようなものだ。金は取らんよ」


「ふーん。じゃあ、宜しくメリア」


「は、はい!」


 奴隷少女……もとい、奴隷巫女のメリアが仲間になった。







 場所は変わって俺らが借りている宿の一室にいる。俺は新たに一人分の追加料金を払ってメリアが住めるようにして、部屋に戻ってきた。


「よし。じゃあ取り敢えず自己紹介をしようか。俺はアレク。Bランク冒険者だ」


「ニーファと言う。アレクとは同業者じゃな。で、この金と白が入り混じったスライムがプニエルだ」


『ぷるぷる〜宜しくね〜』


「えっと、奴隷のメリアです!宜しくお願いします……えっと、旦那様と奥様?」


「「ぶっ」」


 何言ってんのこの娘。吹いちゃったじゃ無い。


「違うぞ?断じて否だ。俺とコイツはそう言う関係じゃ無い」


「シュン……」


「……ん?ニーファどうした?」


「………何でもない。気にするな……」


「そ、そうか」


 うん。顔が真っ赤だぞ。これは気の所為じゃないな。絶対。だがまだ俺は11歳。恋愛沙汰に巻き込まれるのは早いのだよ。だから俺は鈍感主人公を演じる。


「あはは…えっと、できることは少ないですけど、宜しくお願いします」


「あぁ。俺の呼び方は好きにして良いぞ」


「………では、御主人様?」


「えっ………いきなりレベル高くね?」


「えぇ?…じゃあ、主様?」


「あぁ……んー」


 悩むねぇ。呼び方って一番困るよね。

 御主人様って、自分よりも年上っぽい人に言われても何かね。


「妥協点ではないか?それで良かろう」


「えっ……あ、はい」


 何故か発せられた無言の圧力に耐えきれませんでした。まぁ、『主様』でも問題ない、か。


「まぁ………これから宜しく」


「はい!」



肉うどん、美味しいよね(唐突)

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