ヘルアーク武闘大会-閉会と宴会
「ーーーーこれにて、第三十二回ヘルアーク武闘大会を閉幕とするっ!!」
ヘルアークの獅子王により武闘大会の幕が下りる。
決勝戦であった俺とニーファの戦い後、閉会式が行われ、優勝者である俺と準優勝者のニーファはトロフィーと豪華商品を手に入れて闘技場の外を出た。
その際、国でもトップに位置する貴族達に勧誘されたが、鼻で笑いながら却下&無視をきめた。
そして、今夜王城で祝いのパーティーが行われる予定だ。
そこに、俺とニーファは勿論のこと、鉄剣リョーマや勇者マサキと愉快な仲間達などの大会で良い成績を収めた者、参加すべきものが特別招待枠として集まる。
俺とニーファは宿に戻った後、父さんから「今夜に必要だから持ってけ」と言われて渡された二つの袋を開ける。
「「うわ………」」
中に入ってたのは、黒を主体とし金の装飾が施された礼服と、銀白の煌びやかで上品なドレス。
………………確かに、パーティー参加の為の礼服は持っていなかった。盲点。
そして、ありがとう父さん。褒め称えます。
「………これを着るのか?我が?」
「………頑張れ、ニーファ」
「………気が乗らん……あ、アレク覗くなよ」
「絶壁が何を言う」
「いや、あるぞ?あるからな!?」
試合後の変化と言えば、何故かニーファの俺に対する二人称が変化したこと。
「お主」から「アレク」に変わっていた。
まぁ、他の奴には貴様とか言ってたし、マシな分類だったけれど……何があった??
帰る途中に勇者ハーレム勢と仲良くしていたのは見ていたが…………そこでか??
「ま、いいか」
「?……何がじゃ?」
「んんや。なんでも」
さて、早く着替えて城に向かいますか。
◆王城パーティー会場にて
「皆の者、よく集まってくれた。これより、パーティーを開催する。乾杯っ!」
物凄く簡潔な獅子王の音頭でパーティーは始まった。
王城のイベント用の大部屋に、貴族と特別招待客合わせて数百人程が参加しており、獅子王の言葉で皆一斉に動き出した。
今俺が居る場所は会場の隅の方で、ここには俺と同じ特別招待客が集められており、貴族達から離れた位置になっている。
これは、特別招待客と貴族を同じ場所に開始まで待機させるわけにはいかないのと、一種のエスケープゾーンになっている。これは貴族側にも同じような場所が作られていた。
これは主に、貴族の強引な勧誘から特別招待客を守る為のものだ。たまに逆のパターンもあるが、その場合は地下牢に直行になる事が多いので、貴族側は余りエスケープゾーンに引きこもる事は無い。
そして、ここにも料理は用意されているので、わざわざ出て行かなくてもいいのだ。
しかも、両方の場所に立ち入る事ができるのは、主催者側が用意した給仕の者達のみなので、ここに居る限りはトラブルに巻き込まれる事がほとんど………と言っていいと思いたい。
「うん、これ美味しいね。マサキ君も食べるかい?」
「あ、じゃあお願いします」
『むしゃむしゃもぐもぐ』
「おぉ……この城の料理人も良い腕をしとるのぉ」
「うわ……湯水の如く飯が消えてく………アイツの食費やばいだろ……大変だな、お前」
「あぁ……ここで腹を埋めてくれるとありがたいんだが……広がる気しかしない」
今現在、この一角には会話の順にミラノとマサキ、プニエル、ニーファ、リョーマ、俺が居る。
他の勇者ハーレム勢はすぐ近くで上品に食べる者と欠食気味に食いまくる幼女に分かれて楽しく食べている。
……………あのミュニクっていう獣人幼女、ニーファとタイマンはれるかもしれんな。主に大食い大会で。
「あれ、ニーファさん、アレク様に名前呼び、ちゃんとしましたか?」
「………ま、まぁな」
「へー……どういう反応だったの?」
「あ、ミュニクも気になります!!」
「お、お主ら、はしゃぎすぎじゃ……」
「みんな落ち着いて、ニーファさんが話せない」
あっちも何故か盛り上がっているようだ。珍しくニーファが頰を染めて照れてるしな。
こうして、つつがなくパーティーは終わったのだった。




