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魔王の兄は転生者  作者: 民折功利
第二章 冒険者のお兄様

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ヘルアーク武闘大会-貴賓室観戦

 

 聖王子ミラノとの激闘を終えた俺は、控室に一度戻ってくる。


 一度、と言うのはミラノに


「一緒に貴賓室で見ないかい?君は後決勝戦だけしか無いんだし」


 と、誘ってきた。最初は断る雰囲気を醸し出していたのだが、ミラノが子犬の様に強請るように迫ってくるので、俺から折れた。


 結局、ニーファが次の試合に出場するので先に挨拶してから行くことにした。

 彼は控室前で待っているらしい。


「む、帰ってきたか」


「よぉ!小僧、お疲れさん!」


『おつかれ〜』


 ニーファとプニエル、そしてまだ居座っていたリョーマが入室した俺に気づいた。


「派手に振り回してたな〜!」


「最後のは見ててヒヤヒヤしたぞ……」


「勝ったし、良いじゃん……あ、俺これからミラノと貴賓室でお前の試合見てるから、頑張れ!」


 サムズアップで用件を伝える。


「……そうか、なら上から仕方その目に焼き付けるが良い」


「んじゃ、俺は一回屋台巡ってくるわ、明日会おうぜ」


「「お前って別に仲間じゃ無いぞ?」」


「ハモんなよ……悲しいな、おい」


 ニーファと綺麗にハモりながらリョーマを罵倒してから、プニエルを抱えて控室を出ようとする俺。


「ま、しっかり、見てるから頑張れよー」


「ふん。言われなくても勝つに決まっとるわ」


 最後まで駄竜ちゃんはツンデレでした。






 そのままミラノと合流して貴賓室に向かう俺たち。

 道中、やけに慌ただしい係員を見つけたのでミラノが理由を聞いたのだが、貴族様一人と護衛九人が行方不明で現在、係員数人で探しているらしい。


「貴族が行方不明か………何があったんだろ?」


「しーらね。俺らに関係はないでしょう」


 ※この時のアレク君は本当に自分がやったことを忘れています。可哀想な……えっと…………作者からも名前を忘れられた小デブ。


 俺達は疑問を抱きながら貴賓室に入る。

 直後、中に居た貴族連中や大商人達の視線が此方を射抜くが、ミラノは慣れたように会釈し、俺はどうでも良いから無視を決め込む。


 ここは、貴賓()と言っても、屋根があって、入るためには扉を開けるという、メンドくさくて少し特殊な観客席だ。

 昔、平民と同じように座るのが嫌だとほざく馬鹿貴族がいたらしく、それを機に席がソファに、絨毯が引かれる……など、普通の観客席よりも差別化されている。


「おぉミラノ、負けてしまったようだな」


 その中で、最も豪華に色付く区画に座る者達の一人、ヘルアーク王国の国王、獅子王ハイリッヒ=ヘルアークがミラノに労いの言葉を掛ける。


「申し訳ございません、陛下。しかし……自分は十分楽しめたかと思います」


「そうか………ん?後ろの者はもしや……」


 そこで、俺の存在に気づいた国王。


「はい、紹介します。私の友人のアレクです」


「お会いできて光栄です。獅子王陛下」


「よいよい。そんなに固くならなくても良い。まぁ、息子が世話になったな」


 誰にも隔てなく接する姿は、理想の国王として素晴らしいだろう。この手の人は密かに尊敬できる………かもしれない。


 さて、ここで問題です。デデン!


『今、アレク君は非常に困っています。それは何ででしょう?』



 1,神を水に流しに行きたいから(暗喩)。

 2,見覚えのある男が此方を見ているから。

 3,周りの貴族の視線が痛すぎて死ぬから。



 答えは〜〜〜〜〜、ジャン!



 2番の『見覚えのある男が此方を見ているから』でーーす!


 3番はまず無い。眼中にないし。視界の端にある生温かいゴミのように思ってる。


 一番はワロタ。トイレの神様に向かって別の神を流し入れるとか愚行すぎです。


 で、俺がさっきから気になってるは、俺に微笑ましい目線を送るお父様(・・・)が。


「………お久です、父上」


「うむ。楽しんでいるようで何よりだ」


 俺と父……魔王シルヴァトスとの挨拶に、聞き耳を立てていた金持ち連中が驚きに目を開く。


『マオパパ〜』


「おぉ、プニエルお前も来たのか」


『うん!』


 仲が良さそうでなにより。

 一応、護衛で来たのであろう《秤》のブロッケンにもお辞儀をして、ニーファの試合の観戦準備を始める。


「アレク……ニーファ殿は勝つと思うか?」


「逆にアレに勝てたら生物ヤメテルネ」


「そ、そんなになのかい?」


 俺と父の会話に上手く入り込むミラノ。こいつはやはり、親子関係を知っていたらしい。後ろの獅子王も何も言わないし。


 やはり大国の王族は侮れんな!


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