ヘルアーク武闘大会-VS聖王子round2
大腕と大剣、燃える紅剣の連撃。
巨質量の無骨な剣、土龍骨剣が対戦相手のミラノを潰そうと襲い掛かる。
太陽を宿す紅い剣、紅陽剣シェメッシュが腕ごと俺を焼斬しようと舞う。
死神アレクと聖王子ミラノの死闘は終幕へと近づく。
これまで両者、無傷とはいかなかった。
燃え広がる炎が《黒鉄巨人》を掻い潜って俺の身を焦がし、竜の大剣と太陽の剣がぶつかり合い、吹っ飛んだ衝撃で傷を負うミラノ。両者、一方も譲らずに武器を振るう。
先程の勇者マサキとの戦いでは、神光の輝きと虹色の弾丸の演舞だったのに対し、今回は紅緋の陽炎と黒色の巨腕の演舞。
アレク達の戦いに、観客者や出場者、貴賓席の上流階級達も固唾を呑む。
「そろそろ終幕といこうか!!」
「なら、勝たせてもらうよ!!」
俺が終幕を宣言し、ミラノが世の女性が頰を染める笑顔で俺に斬りかかって来る。
…………熱い!本当に熱い!
あの剣がマジでヤバいんだよ!さり気無く鑑定して見たら、内容がヤバいんだよ!
紅陽剣シェメッシュ:太陽神ソレイユの加護が宿る神造級の神剣。溢れ出る陽の炎は善を癒し、悪を裁く。ヘルアーク王国王族に代々受け継がれ、この剣を持てる物は神に選ばれた事と同義。ランク-SS。
俺は悪か!?悪は裁かれるという事は悪なのか!?てか、道理でミラノの傷痕が回復魔法を使ってる訳でもないのに癒えてるわけだよ!!
あの剣が魔神杖カドケウスと同じ神造級でSSランクってことは、あの杖も同じランクだが……相変わらず魔神杖を鑑定する事が出来ないんだよなぁ……同じ神造級なのに。
なんでだろう?
そんな疑問と苦悶を覚えながら、俺は炎から逃げる様に魔力で巨人の腕を動かす。
剣と剣がぶつかるたびに火花が散り、火が此方に伝線してくるから、この巨腕を用意しておいて本当に良かったよ。
昔の俺、ナイスグットっ!!
そして、俺は終わりとばかりに。
「行くぞ……《筋力増強》《物質硬化》そしてトドメの《黒鉄巨人・限界突破》っ!!」
同時に三つも魔法を詠唱する。
筋力増強は、その名の通り俺の筋肉をはち切れて使い物にならなくなる程パワーアップさせて、剛力や瞬発力が飛躍的に上がる。
物質硬化は、ただでさい硬い土龍骨剣と黒鉄巨人の腕に使われている部品そのものを強化させ、耐久値、防御力を上げる。当たると痛そう。てか死にそう。
最後の長い奴は、黒鉄巨人そのものの限界能力を超えて、使用後は再整備&修理が必要になるレベルの強さを一時的に上げる魔法。生憎、今回は両腕だけなので、楽なのが幸い。
…改めて考えると、俺の魔法って万能だよね。
異常と呼ぶお方もおられますが。
メキメキと音を立てる俺の四肢と、紅いラインが猛々しく煌めいて不吉な音を立てる巨腕。そして真っ黒に染まった骨の大剣二本が、ミラノを倒そうと構え直す。
「《太陽の紅剣》っ!!!」
ミラノは紅陽剣を空高く掲げ、聖句を唱える。
聖句。この場合は、神造級……所謂、神器の真の力を解放する為の言霊。
しかし、まだ彼はその本質を引き出せてはいないらしい。まぁ、俺は魔神杖に聖句があるかも知らんが。残念。
身体中から嫌な音を鳴らしながら走り、巨腕を操作して剣を振り下ろす俺。
聖句により先程よりも紅く輝く炎を纏う女神の神剣を下から斬り上げるミラノ。
「うおおぉぉぉぉぉ!!!」
「はあああぁぁぁっ!!!」
二人の咆哮が重なり合い、衝撃波が会場を揺らす。残念……奇跡的に結界が破られる事は無かったが、決着は付いた。
カランカラン。
後方に紅陽剣が転がって。
ズドン!ズドン!
巨腕と大剣の鈍い落下音が響いて。
グラっ……ズザッ
聖王子ミラノがその意識を手放す。
ドサッ
俺は全身の筋肉がヤバい状態に身を悶えながら膝をつき、余計に苦しみながら勝利の手を掲げる。
「しょ、勝者、死神アレクぅぅ〜〜!!!」
司会の叫び声と共に、会場は大歓声に包まれ試合は終了したのだった。
「んっ………」
リングから降りる前に気絶から目を覚ましたミラノ。
「うっ……あぁ、負けたのか……」
少し揺れる頭を抱えながらも、負けを認める。
「ま、お疲れさん……楽しかったよ」
俺は正直に思った事を伝え、彼に手を伸ばす。それを聞いたミラノは一瞬、キョトンとした顔をしてから、嬉しそうに顔を歪めて、
「それは良かった…僕も普段よりも楽しめたよ」
俺の手を掴んで起き上がった。
瞬間、それを見ていた人達からの大歓声が、再び会場を熱く包むのだった。
そのまま同じ方向に向かってリングを降りる俺たち。
結界内での傷痕は出た後に巻き戻しの様に元どおりに治るので、本来なら医務室に行かなくて済む。
まぁ、大事を取って一応向かうのだが。
武器なんかも修復されて戻ってきた。
今回の戦いは結構キツかった。
勇者マサキとの試合もキツかったが、別の意味でヤバかった。
まだ、マサキもミラノも成長途中……俺の方が若い(11)なんだけど、まだ全力を出し切れていなかった。これからの戦いに期待。
「ねぇ、アレク…君」
「なんだ?」
「君と私は……友達って事で良いのかな?」
少し不安そうに尋ねてくるミラノ。何?今まで友達が居なかったの?仲間じゃん。
「さぁ?友達で良いんじゃないの?」
何気なく俺が答えたら、彼は顔からパアッと光が出るような笑顔になって、
「うんうん!そうだな!友達だね!これからもよろしくね!アレク君!」
凄い破顔して俺の手をブンブン振りやがるもんだから凄い痛い。さっきの試合で結界があったから筋力増強の魔法を使ったけど、もう腕とか脚がはち切れる様な痛みを他で味わいたくないぞ……
なんか、今も脳が麻痺して幻痛がするし。
後、今のミラノはまるで犬ように思えたのは言うまでもなかった。
無論、この俺達の姿を見た俗に言う腐った婦女子達(主に貴族令嬢や夫人)が鼻血による大量出血死(死は冗談)した話は今大会で上位に入る話題に並んでしまったのは、また別の話。
後、三百文字ぐらいで10万文字達成!かも!




